14.泣いた王さま
一月ほどたったある夜。王さまは夢を見ました。
その夢では、あの城のなかで三人の悪魔がなにかをまっているのでした。
しばらくすると、トランペットを持った猫をしたがえたカエルがやってきて、三人にいうのでした。
「ビレトさまからのお知らせだ。悪魔ソラトは本日付で天に戻ることが許された。
出立の支度ができしだい、わたしの城へくるがよい。」
カエルの口上が終わると、猫たちはいっせいにトランペットを吹き鳴らし、口々に
「おめでとう、天使ソラト。」
と、いいました。
知らせを聞いた悪魔たちは、王さまの方を向いておじぎをし、ゆっくりと消えていきました。
三人が消えた後、王さまがぽつんと一人で立っておりますと、そこへやってきたのは大臣でした。
王さまが口を開くよりも早く、大臣は
「ソラトさまがわたしも天上につれていってくれるそうでございます。
わたしもかねてからいきたいと思っていた場所ですし、お言葉に甘えることにいたしました。
王さま、次にあなたにお会いするのは、もうずっとずっと後のことになりましょう。
さようなら、王さま。天上でおまちしております。」
と、わかれをのべて消えていくのでした。
王さまは、泣きながら飛び起きると、バルコニーに走り出て叫びました。
「まってくれ、大臣。わしもつれていってくれ、おいていかないでくれ。」
じきに、王さまの声におどろいたお妃や夜警の兵士たちが何事かとあつまってまいりましたが、王さまはそれにかまわず、ずっと泣きつづけました。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます