14.泣いた王さま

一月ほどたったある夜。王さまは夢を見ました。


 


その夢では、あの城のなかで三人の悪魔がなにかをまっているのでした。

しばらくすると、トランペットを持った猫をしたがえたカエルがやってきて、三人にいうのでした。


「ビレトさまからのお知らせだ。悪魔ソラトは本日付で天に戻ることが許された。

出立の支度ができしだい、わたしの城へくるがよい。」


カエルの口上が終わると、猫たちはいっせいにトランペットを吹き鳴らし、口々に


「おめでとう、天使ソラト。」


と、いいました。

知らせを聞いた悪魔たちは、王さまの方を向いておじぎをし、ゆっくりと消えていきました。


三人が消えた後、王さまがぽつんと一人で立っておりますと、そこへやってきたのは大臣でした。

王さまが口を開くよりも早く、大臣は


「ソラトさまがわたしも天上につれていってくれるそうでございます。

わたしもかねてからいきたいと思っていた場所ですし、お言葉に甘えることにいたしました。

王さま、次にあなたにお会いするのは、もうずっとずっと後のことになりましょう。

さようなら、王さま。天上でおまちしております。」


と、わかれをのべて消えていくのでした。


 


王さまは、泣きながら飛び起きると、バルコニーに走り出て叫びました。


「まってくれ、大臣。わしもつれていってくれ、おいていかないでくれ。」


じきに、王さまの声におどろいたお妃や夜警の兵士たちが何事かとあつまってまいりましたが、王さまはそれにかまわず、ずっと泣きつづけました。

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