11.本当
「ごめんなさい、ごめんなさい。」
泣きながらあやまるソラトを羽で優しくなでながら、ツグミは
「彼女をゆるしてやってはくれないだろうか?
彼女はもうずっとずっと、永いこと苦しみつづけてきた。
われら悪魔の行いはただの悪あがきで、人々を不幸にしているだけなのかもしれん。
だが、それが悪魔を悪魔たらしめている原因で、万にひとつの望みもない行いだと
わかってはいても、そうせずにはいられないのだ。
一人では何もできない。悪魔は天使と、ましてや神とは違うのだ。」
と、王さまに頭を下げました。
その時、王さまは、自分が信じてきたものの多くが、信じていたそのままのものではなかったことを知りました。
『本当の自分の目』や、『本当の自分の耳』で知り得たもの。
それが、賢者たちの並べ立てる幾千幾万の言葉よりも、信頼にたる真実。
『王さまにとっての本当』なのだと知りました。
「さあ、ソラト。泣いている暇はありませんよ。
今こそ一万の人の悲しみを、一万の人の喜びにかえるのです。」
と、一角獣がいいました。
王さまが
「元の姿に戻るにはどうすればよいのですか?」
と、たずねると、ソラトは
「元の姿に戻るのはかんたんですが、そうして国に帰っても魔法使いに捕まってしまうでしょう。まずは、その姿のままで国に帰ってください。
そして、魔法使いにフンをかけてこういうのです。
『
『
と。そうすれば、あなたが人間に、魔法使いは鳥になるでしょう。」
と、王さまに教えました。
王さまはほかにももっとたずねたいことがあったのですが、
「さあ、わがはいがお前をおくりとどけてやろう。
さあ、いくぞ、魔法使いがこれ以上の人を悲しませる前に。」
と、ツグミが大声で急かしましたので、王さまはしかたなくソラトと一角獣にわかれをつげました。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます