11.本当

「ごめんなさい、ごめんなさい。」


泣きながらあやまるソラトを羽で優しくなでながら、ツグミは


「彼女をゆるしてやってはくれないだろうか?

彼女はもうずっとずっと、永いこと苦しみつづけてきた。

われら悪魔の行いはただの悪あがきで、人々を不幸にしているだけなのかもしれん。

だが、それが悪魔を悪魔たらしめている原因で、万にひとつの望みもない行いだと

わかってはいても、そうせずにはいられないのだ。

一人では何もできない。悪魔は天使と、ましてや神とは違うのだ。」


と、王さまに頭を下げました。


その時、王さまは、自分が信じてきたものの多くが、信じていたそのままのものではなかったことを知りました。


『本当の自分の目』や、『本当の自分の耳』で知り得たもの。


それが、賢者たちの並べ立てる幾千幾万の言葉よりも、信頼にたる真実。


』なのだと知りました。


「さあ、ソラト。泣いている暇はありませんよ。

今こそ一万の人の悲しみを、一万の人の喜びにかえるのです。」


と、一角獣がいいました。


王さまが


「元の姿に戻るにはどうすればよいのですか?」


と、たずねると、ソラトは


「元の姿に戻るのはかんたんですが、そうして国に帰っても魔法使いに捕まってしまうでしょう。まずは、その姿のままで国に帰ってください。

そして、魔法使いにフンをかけてこういうのです。


ジヴェナ、レぺ、エヘト、カンヘート偽物を与える時には、私たちの物を与える


ジヴェナ、レぺ、レヘエヘト、カンヘート偽物を与える時には、私たちの物以外は与えない


と。そうすれば、あなたが人間に、魔法使いは鳥になるでしょう。」


と、王さまに教えました。


王さまはほかにももっとたずねたいことがあったのですが、


「さあ、わがはいがお前をおくりとどけてやろう。

さあ、いくぞ、魔法使いがこれ以上の人を悲しませる前に。」


と、ツグミが大声で急かしましたので、王さまはしかたなくソラトと一角獣にわかれをつげました。

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