第2話 くらげ

 ふわふわ。泳いでいる。淡い太陽光が水面で反射してるのを水の底から見上げていた。綺麗だ。キラキラしている。水面には行けない。だってあそこは遠い。手を伸ばしても届かない。

 私はクラゲだった。誰にも気付かれないクラゲだった。ふわふわ。何にも縛られない。自由だ。重力からも解放されていた。ずっと前からこうなりたかったような気がする。

 手を伸ばす。それは手とは呼ばないのかもしれないけれど、そんなことはどちらでもよかった。水の流れのままに全身が揺れる。気持ちよかった。ふわふわ。漂う。誰も私を見ていない。誰も私を見ていない。

 それが、たまらなく嬉しかった。


 私はクラゲ。ふわふわ。

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