第3話
「誕生日おめでとう。」
送り主の男性の名前を見る。駆の名前を目にし、2年前のあのレセプションパーティーの日を思い出す。
2年前に感じた尊敬と畏怖、、、僅かに思い出す。
あの人にもう一度会いたい。
突然来た連絡に少し戸惑いながらも、春の温かさのようなふわりとした気持ちになったことを頼りに、返信をする。
「ありがとうございます。」
淡々としたやりとりだった。それでも、心を乗せて返信をした。業務用じゃない、ありのままの気持ちで一文字一文字、指をスライドさせた。
薫は自分の気持ちが伝わったかな、今度は返信があるかなと平然を装う心情とは裏腹に騒ぐ胸の内に静かに耳を傾けていた。
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