第133話 発見
夕食中。
「ふーむ」
「どうしたのだ?」
悩む俺にソフィが問いかける。
「ユーシアの訓練をどうしたものかと思ってな」
「ふむ。そういうことか」
ソフィとの訓練と虫の実戦を経て、ユーシアの恐怖心を少し減らせたと思う。だから、次は他のモンスターと戦わせたいところだけど、近隣でそういうモンスターがいるところがない。
他にちょうどいいところでもあればいいんだけど……。
「そういえば、チャチャのいた山にはゴブリンやオークがいたけど、あいつらは自然にいるものなのか?」
そこでふと思い出したのは、山にいたダンジョン内で出会ったモンスターたち。無の大地にやってくるまで全然そういうモンスターたちとは会わなかったから不思議に思っていた。
「む。まぁゴブリンやオークは何処にでもいるが、あの山にいるのは不自然だな。チャチャ、お主は何か知らないのか?」
「なーん」
ソフィがご飯に齧り付いているチャチャに話を振ると、彼女は顔を上げて顔を振り、再び料理に口を付ける。
全く興味が無さそうだ。まぁ可愛いからいいけど。
「全く自分の縄張りのくせに何も知らんのか。そういう場合往々にしてダンジョンがある可能性が高いな」
「おお!! ダンジョン!!」
呆れるソフィの言葉を聞いた俺は、悩みを払拭してくれそうな内容に気分が上がる。
ダンジョン都市のダンジョン以外は良く知らないけど、深いダンジョンであれば、虫よりも強いモンスターが居てもおかしくはない。
サイクロプスなんて出てきてくれると虫より威圧感があってちょうどいいんじゃないだろうか。
「うむ。獣の山にはダンジョンがあるかもしれぬな」
「それはいい。早速探しに行こう」
「そうだな。明日行ってみようではないか」
次の日、俺たちはダンジョンを探しに獣の山にやってきた。
「ないなぁ……」
「うむ」
この前来た時にゴブリンやオークと遭遇した辺りを重点的に探していくが、なかなか見当たらない。
「なーん」
案内に連れてきたチャチャが、ついてこいと言わんばかりに鳴いてかけていく。
「どうやらモンスターの匂いを辿っているようだな」
ソフィが補足するように言って、俺たちは後を追う。
「ゴブゥッ」
「おっ。ゴブリンだ」
すると、ゴブリンと遭遇した。
「ふんっ」
「ゴブゥ……」
一撃で倒して進んでいく。チャチャの後をついていくにつれて、どんどん遭遇率が高まっていく。
「なぁーんっ!!」
「はっ!!」
「せいっ!!」
俺たちはモンスターたちを吹き飛ばしながら、先に進む。
「あれは……」
チャチャの後を追って走っていると、視線の先に大きな洞穴が口を開けているのが見えた。
その中から次々とわらわらとモンスターが出現してきている。
「あれは……スタンピードの兆候ではないか?」
「それはマズいな!!」
スタンピードとはダンジョンからモンスターが溢れ出す現象。おびただしい数のモンスターが外に出てきて、辺りを蹂躙していく。
壁を超えてやってくることないと思うが、万が一もある。ここで殲滅しておく必要があるだろう。
「いくぞ!!」
「うむ!!」
「なーん!!」
俺の掛け声で俺たちはあふれ出るモンスターたちの中に踏み込んでいった。
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