第13話 ペガサス降臨?

『ペガサスのみちしるべ』を使うと、空から馬の走る音と翼が羽ばたく風切り音が聞こえ、空を見上げた。


「本物のペガサスじゃねぇか!」


 エクリアは、ペガサスをにらみつけ。


「白い翼ですか! 私とキャラが被るじゃないですかぁ!」


「かぶらねぇよ」


「ペガサスなんて私も初めて見たわね」


 話しをしているとペガサスは、距離を取り着地し睨みつけていた。


「どうしたんだ?」


 エクリアは俺を見上げて。


「これ、ユーリに抱きつく必要ないですね」


「そ、そうね」


 抱きついていた、エクリアとイフリータは俺から離れた。


「え、あぁ。そうだな」


 ぐっ! 柔肌が! アイテム説明と違うじゃねぇか!


 俺はペガサスのみちしるべの、アイテム説明を思い出していた。

 確か使用者に触れてたら、触れた皆が移動できるはずだが?


 俺達の目の前には、本物のペガサスがいる。つまり!


 俺が結論を言おうとしたら、イフリータの声が聞こえた。


「これは、あれね! 製作者チェルシーは、資料を元に作ったけど、作るだけで満足して。自分で使った事はないから、移動アイテムと思い込んでて、ペガサスが召喚されるなんて思わなかったんじゃないかしら?」



 エクリアは、頷きながら。


「流石ですねぇイフリータさん。私も、お菓子は捨ててオマケだけ集めてた記憶があるんですよぉ!」


「なんの話だよ!」


「ですからぁ」


「いや、もういい。まぁイフリータの解説で、間違いないだろうな」


「でしょ」


「チェルシーのやろう適当で、アイテム説明書いてんじゃねぇよ!」



「それより。ペガサス待ってるけど行かないのかしら?」


「おぉ! そうだな。イフリータ!

居ないやつなんてどうでもいいか」



 ペガサスが俺達から離れた場所に、着地した理由はわからないが。


 俺はペガサスを見て舞い上がっていた! 理由は簡単だ! 異世界で触れる動物に会えたからだ!


 これまでは、魔王配下や魔法の竜だったりで、確かに異世界らしさはあるが。

 撫でたりはできなかったからなぁ。


 俺がペガサスに、5メートル程の距離まで近寄ると。

 ペガサスは殺意剥き出しの目をした!!!


「な? なんだ。俺なんかしたか?」


 俺が動きを止めるとペガサスは、ぶつぶつと話し出した!


「滅滅々!!! 悪しき男達よ! 我磨き上げられし脚によって! 裁きを受けよ!!!」


【ペガサスが話した!】


「話してるのも驚きだけど。あれは、呪文よ! 魔法がくるわよ!!!」


「呪文?」


「おぉ! 魔法ですかぁ。楽しみじゃないですかぁ」


「いやエクリア。私達はペガサスに、攻撃されてるのよ」


「そうなんですか! イフリータさん!」


 俺が呪文なんてあるのかと、イフリータに聞こうとすると。

 エクリアに妨害され、ペガサスの魔法が発動した。


「世界の男達!! 滅せよ!!」


『馬脚の弾丸ホースブレット



「なにすげぇこと言ってんだ! このペガサス!」


「おほぉ! これが魔法ですかぁ」


 エクリアは、嬉しそうに喜んでいた。


「て! 話からして俺だよな!」



 ペガサスが後ろ足を、後ろに蹴り出すと、蹄鉄ていてつの形をした、煙のかたまりがユーリの顔面目掛けて飛んできた。


 ゴゴォォォ!!!


 イフリータは、悩みながら。


「やるわねペガサス。これは! 速くて間に合わないわね」


「どわぁぁぁ」


 ユーリは、ヘッドスライディングで回避した。


「いきなり! 何しやがる馬やろう! 危ねぇだろうが!」


 ペガサスは、ゴミを見るような目で俺を見て。


「騒ぐんじゃありませんよ。空気がけがれるじゃありませんか。これだから男は」


けがれるか! てか、テメェも男だろ!」


「ふっ。私に、そんな区別はありませんよ」


「はぁ?」


 ん? エクリアが俺の顔を見てるなんだ?


「惜しかったですねぇ。もう少しで、顔面に馬の足跡が付いたんですが」


「足跡ですむわけねぇだろ! 死ぬわ!!」


 イフリータは、ペガサスを刺激しないように話した。


「えぇと、ペガサスさんを呼んだのは、私達なんだけど、何か失礼な事したかしら?」


 ペガサスは歯を光らせ、にこやかに話した。


「いえ、かまいませんよ。お美しいお嬢様方、ささどうぞこちらへ」


「あら。丁寧にありがとう」


「じゃあ俺も」



 エクリア、イフリータが問題なく、ペガサスに近づいたのを確認してから。

 俺も近づこうとすると、ペガサスは唾を撒き散らし怒り狂った!


「男が気安く! 近づくんじゃありませんよ! けがれるじゃありませんか!」


「じゃあどうするんだよ。俺も一緒なんだぞ!」


「く、男も一緒とは、これだから無条件契約なんてしたくないのです。羽さえ盗まれていなければ、こんな屈辱、味合うこともなかったでしょう」


【チェルシー! やはり盗んでたか】


 イフリータは、興味深そうにペガサスを見て。


「えと? 触ったらダメかしら?」


「いえ。お嬢様方は、お気になさらぬよう。どうぞご自由にお触り下さいませ」


「ありがとう。毛並みが凄いわね。ふっくらしていて、なめらかな触り心地だわ」


 エクリアは、羽を触り。


「なんなんですか! これは! 私の羽よりも、羽ツヤがいいじゃないですかぁ!」


 ペガサスは、耳を右左にピクピクさせニヤついていた!


「お嬢様方に、お褒め頂き。このペガサス嬉しさのあまり全てを忘れてしまいそうです」


「ほほう。記憶喪失ですかぁ?」


「ペガサスは、面白いわね」



 俺は離れた所で放置され、頭の中で愚痴をこぼしていた。


 忘れんじゃねぇよ! このエロペガやろうが!

 ただのヘンタイ! じゃねぇか!

 チクショウ! 俺も異世界動物、楽しみだったんだぞ!


「で! ペガサスさんよぉ! どうやって俺達! 3人を移動させてくれるんだ! 忘れるなよ! 3人だからな!」


「はぁ。これも契約仕方ありませんね。お嬢様方は、お背中にどうぞお乗り下さい。足元に、お気をつけください」


 ペガサスは、体勢を低くし。お礼を言う2人を背中に乗せた。


「で、俺は?」


 俺は不貞腐ふてくされながらも、ペガサスから距離をとり待機していた。


「はぁ、まったく! うるさい男ですね」


 ペガサスは、呪文を唱えた。


「我と、共に行かん。いやしき男なぞ嫌気がさしますが。これは、契約というなの定め、仕方がないのです」


「悪かったな!」


 俺はイフリートを召喚した時の事を思い出していた。


 呪文なんて言ったかな俺? 考えていると、ペガサスの魔法が発動した。


 追尾魔法『ホースホーミング』


 俺の体は、何の抵抗も感じる事なく、体が空中に浮かび上がった。


「うぉぉぉ!!! 飛んだぞすげぇ!!! って!!! あ? あれ? これ、どうやって動かすんだ?」


「お嬢様方、振り落とされないように、お気をつけくださいね。でわ!」


 ペガサスが動き出すと同時に、俺の体は勝手に空を飛び出した!!!


「ちょっと待てぇい!!!」


「本当に騒がしい男ですね。なんですか?」


「なんですか? じゃねぇだろ!」


 ユーリは、逆様で空に飛ばされていた。


 エクリアは、口に手を当て。


「ぷふ、ユーリ面白い格好ですねぇ」



 俺はエクリアを無視してペガサスに話した。


「これどうやって飛べばいいんだよ!」


 俺は逆様で、両手両足をバタバタさせアピールした。


 ペガサスは、ゴミを見下すように。


「それは、私の魔法ですから、あなたに操作はできませんよ」


 俺は事の重大さに気がつき青ざめた。


「あのペガサスさん。いえ様!! せめて逆様わ、やめてくれませんか? ね!」


「さ、行きますよ。お嬢様方、振り落とされないように、しっかりと掴まってくださいね」


【はーい】


「この! ペガエロやろうが! 無視すんな!」


「おや、手が滑りましたか?」


 俺の体は、右に高速回転を始めた「うをわぁぁぁ!!!」


「テメェ! 手なんてねぇだろが! がぁぁからだがちぎれりゅゅ!!!」


「おや確かに、これは失礼いたしました。足が滑りました」


「いいなおじでんじゃねぇよ! ぐごかぁぁぁないぞうがぁぁぁ」


 イフリータは、アイテムとはいえ、契約だし、殺されたりはしないでしょ、たぶん、と考えながら。


 風が気持ちいいわぁ、と思っていた。


 エクリアは、リンゴおっぱいを風で揺らしながら。


「そちらは、大変そうですねぇ。ぷふぅ」


「でめぇ、エクリア!」


「おやぁ、口が滑りましたか」


「うまぐねぇよ! ぶふぇ! 目が回って吐きそう」


「おっと、それはいけませんね。世界がよごれてしまいます」


「そんなに、はかねぇよ! うぇぷ。とまった。頭がクラクラしやがる」


 俺の回転は止まり逆様にもどった。


「はぁ、まぁ回転よりはマシか」


 俺は、この扱いを受け入れた。


 飛び出すとペガサスは、呪文を唱え魔法を使った。


 空間魔法


『ホワイトゲート、ペガサスロード』


 空が白く切り裂かれた。


「おぉ、まさにファンタジーですねぇ!」


「やるじゃねぇか。ペガサス!」


「ふ、男に褒められても嬉しくはありませんね」


(かわいげのねぇ、馬だな)


 ペガサスの出した、白い光に飛び込むと。

 すぐに違う場所に移動した。


「お! 光に飛び込んだのに、もう終わりか?」


「そう見たいね。ほら、あれをご覧なさい」


 イフリータが、指差した場所には、小さいが町が見えた。


「おぉ!」


「町ですよぉ」


 辺りを見渡したら。町の他には、森と林が見え遠くには巨大な山があった。


 人影がない、町の近くに着地した。


 俺は死なない高さから逆様に、落とされた。


「うをい! ガハ!! 生きてたか。首がぁぁ。あのペガサス最後までこれかよ」


 2人はペガサスに、お礼を言っていた。


 ペガサスは、他の人には見えないが。

 ごく稀に見える者も居るから、人里には長居できないと話した。


「お嬢様方、別れはとても辛いですが。私はこれにて、失礼させていただきます」


「おう、帰れ帰れ」


「悪いわね。ご主人様は、すねてるみたいで」


「まったく町まで連れてきてもらって、感謝もできないのですかぁ?」


(おれがわりぃのかよ!)


「いえ、良いのです。男はみな同じですから」


(そりゃあんな事してたら。男は皆同じ態度になるだろうよ)


「お嬢様方、良い旅をお楽しみ下さい。でわ、私はこれにて失礼いたします」


 ペガサスは飛び立つと、光に包まれ消えた。


「行ってしまいましたねぇ」


「そ、そうね」


「よし! 町に出発するぞ!」


「ペガサスと別れたのに、もう少し何かないんですかぁ?」


「あるか! 俺は酷い目にあったんだよ! エクリア!」


「あれは、面白い目でしたねぇ。ぷふぅ」


「エクリア!」


「さぁ! 町に行きますよ!」


「仕切るんじゃねぇ!」


「ん? イフリータどうしたんだ?」


 イフリータは下唇を噛み、キョロキョロとし、スカートを押さえていた。



「へ! だ、だいじょうぶよ。心配いらないわ」と言うので町に向かった。

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