第14話 初めての町イスティリア! 先ずはトイレ!!!


 ペガサスと別れた場所から、10分ほど歩くと町に到着した。


 幸いにも、道中魔物などはいなかった。


 入り口には。

 ようこそ『イスティリア』と書かれている。


 小さい町で、家の多くは、木造で植物のツルが巻きついた建物もある。


 まぁよくある田舎町だな。


 そして、この田舎町に相応しくない、赤と青の貴族の屋敷が2つある。


 次に気になったのが。魔物がいるこの世界で、頑丈な門もなく、町の入り口には、警備すらいないことだ。


 この状況は、この町の周辺に魔物がいない。または弱い魔物しかいない! つまり安全な証拠だろう!


 良くやったぞ! 製作者チェルシー! これから俺の! 異世界日常生活がスタートだぁ!


「さて、先ずは町の探索かな? ん???」


 俺が何処から回るかなぁと、見渡すとイフリータが座り込んでいた。


「ここなら、いいかしら」


 イフリータは短めのメイドスカートを掴むと、町の入り口付近の草むらに座り、何かをしようとしていた。


「ん? あれは! まさか!!! えぇと、何をなさっているんですか? イフリータさん」


「へ! あの……おトイレをだから……あんまり見ないでくれるかしら、ご主人様。恥ずかしくて死にそうなのよ」


 イフリータは耳まで真っ赤に染め、下を向き話していた。


(やっぱりか! 今までで1番可愛いが! 今は! それどころじゃなぁぁい!!!)


 俺は慌てて、イフリータを立ち上がらせた!


「ちょっと! にゃにするのよ!」


 イフリータは頬を赤くし、内股でモジモジと体を左右に揺らしていた。



 イフリータが人間だった千年前は、草むらでしてたんだろうなぁ。


 俺は、今なら! 踏まれた仕返しをできるぞ! と思ったが。ここで盛大に、お漏らしされたら面倒だからやめておいた。


 だが問題は、異世界にトイレなんてあるかだ! 俺は、慌てて辺りを見渡し見つけた!


 町の出入り口、近くの綺麗な外壁には、お馴染みのトイレマークと『冒険者ギルド』ご自由にお使いくださいと書かれていた。


「おぉ! 懐かしのトイレマーク! 異世界にもあったか」


 それにしても、町が田舎作りにしては、綺麗な建物だと思ってたが、トイレだったのか。


 冒険者ギルドが作ったから、町の建物よりも、しっかりした作りなんだろうな。

 俺が納得していると、腕を引っ張られた!「ん?」


「ひゃい?? にゃにぃ! ごしゅじんにゃまぁ! まらぁ! ダメなにょぉ!」


 イフリータは涙目になって、股に手を挟み込み、我慢の限界を訴えていた。


(やべ! 忘れてた! けど! かわいいじゃねぇかぁ! ずっと、このままにしておきたい!!! はぁ、無理かぁ。さて、俺が連れてくわけにもいかないし、エクリアは何処だ?)



 エクリアは、楽しそうに町を見ていた。


「ほほぉ!!! あれは、もしや! お菓子屋さんでしょうか? 異世界にもあるんですかねぇ?」


「おい! エクリア! おい!!」


「は? なんですぅ? ユーリィ?」


 俺は、事情を話した。


「仕方がないですねぇ。これは、貸しにしておいてあげましょう!」


(このやろう、神様に言われた、俺のお世話係なの忘れてやがんな! まぁ今はそれどころじゃないな「わかったわかった」)


「ニシシ、神様に誓ってもらいますからねぇ」


「わかったから、早くしてやれ」


 イフリータが、限界の為、俺はエクリアに(てめぇわ! 神に誓った事忘れてんだろうが!)と心の中で叫び、2人の帰りを待つ事にした。



「にょ! にゃんにゃのよぉ。ゆらひちゃだめぇ!」


「何ですかこれは! なにやら、エロいじゃないですか!」


「うるひゃいのよ! エクリュア!」


「はいはい、行きますよぉ」


 イフリータはエクリアに、手を引かれトイレの建物に入った。


「おやぁ? 見た目は綺麗でしたが、やはりの田舎ですね。今時珍しい和式トイレじゃないですか」


(詳しいなエクリア。てか、異世界に和式とか洋式って、あるのか?)


「にゃににゃぁに? ここにゅ、すわりゅのね?」


 イフリータは、和式トイレに腰を下ろした。


 エクリアは、疑問ぎもんがあり話した。


「んん? パンツは脱ぐんですよ?」


「パンツ?」


「おやぁ? パンツ分かりませんか? イフリータさんの時代には、なかったんですかねぇ? 仕方ありませんね」


 エクリアはイフリータのスカートに、手を突っ込みパンツを探した。


 ファサ! サッサッ


「ひゃぁ! にゃにするのぉ!」


「んん? おかしいですねぇ? 布地が、そんなに少ないとは? 思えないんですがねぇ? んん!!! はは! はいてないじゃないですかぁ!『ロリメイドにノーパン強制とか!』変態なんじゃないですかぁ! どんだけですかぁ! あの人!!!」


 トイレで魔物に襲われた時の対策なのかわからないが。

 トイレの防音は弱く、エクリアの声は外で待つ俺に聞こえていた。


 ノーパンが! 俺のせいかよ!!! いや、イフリータの姿をイメージしたのは俺なんだろうが。


 メイド特集に、パンツは映ってなかったんだからノーパンだったんだよ! って! 誰に説明してんだ! 俺は! つーか声でかいぞ!


 周りには、幸い人がいなかった。


 イフリータはエクリアからしていいと言われ、せき止めていたダムを解き放った。


「はぁぁぁぁ、かいほうされるわぁ。全身から力が抜けて、まるで、空を飛んでるみたいね」


 川のせせらぎの様な音がした。


 エクリアは、口元に手をやり笑顔で。


「ニシシ我慢してたのに、かわいい音じゃないですかぁ」


「聞いてんじゃないわよ!!! おバカ天使!」


「仕方ないじゃないですかぁ。終わったらまだあるんですからぁ」


「くぅぅ、こんなくつじょく、はじめてだわ」


 イフリータは、顔全体を真っ赤にし、ぶつぶつと話していた。


 エクリアは、壁にある装置に気が付き見た。


「えーと、和式だけどボタンがありますが? ウォシュレットはありますかねぇ?」


 やはり外に声が聞こえていた。


 あいつウォシュレットも知ってるのか。

 まぁ人間界で遊んでた天使だしなぁ。


「な! 今度は何する気よ! 変な事したら許さないわよ!」


 イフリータは不安そうに話していた。


 エクリアは、装置を見ながら。


「いえですね。おトイレの後、今は綺麗にする道具があるんですよぉ」


「へぇ? そんな物があるのね?」


「これですかねぇ?『スプラッシュクリーニング』」


 エクリアがボタンを押すと「ピッ! カコ」壁が小さく開き、中から丸い液体が現れると、空中をポヨンポヨンと丸い液体を揺らし、イフリータに近づいた。


「おぉ、水色のボールが浮いてますよ! まさかトイレまでファンタジーだとは、思いませんでしたねぇ」


「エクリア? 何を騒いでるのよ?」


 エクリアはイフリータの背後に立っている為、イフリータにはエクリアが騒ぐ理由がわかっていなかった。


「きゃ! 冷たい! 何したの! エクリア! ちょっと」


 手の平サイズの球体は、形を平たく変え、イフリータに、へばり付き清掃した。


「やぁぁぁぁ!!!」


 エクリアは、体制を低くし観察していた。


「ほほぉ、こうなるんですかぁ。なんだか、エロチックですねぇ」


 液体は清掃が終わると便座にゆっくりと落ちた。


 ポチャン。


「な、なんだったわけ! 今のは。はぁ」


「お! 止まりましたか。最後は、これで拭くんですよ?」


 エクリアは紙を指さしていた。


「それは知ってるけど、ありがと。エクリア」


「いえいえぇ。さぁて見てたらやりたくなったので、連れションでもしますかねぇ」


 イフリータに最後に押すボタンを教えて。エクリアは隣の扉に入った。


「はぁ、生き返りますねぇ。まぁ本当に生き返った人もいますが、こんな気分ですかねぇ」


「トイレと一緒にするな!!!」


 エクリアは、ボタンを押し球体を出した。


「おほぉ! これはクセに、なりそうですねぇ。ふっ! これを考えた人は変態ですねぇ」


(変態は、テメェだ! つーか声がでかいわ!)


「はぁ。マジで人がいなくて助かった」


 町には他にも出入口はあるのだろうが。

 俺達がいる出入り口を使う人はいなかった。


 全員が合流したところで、町の探索を開始した。

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