第12話 イフリータァァァ!!!

「うるっさいわねぇ!!! 近くにいるんだから、そんなに大声出さなくても聞こえてるわよ。で? なにを騒いでいるの? ご主人様」


 スキルがリセットされ、スキルを失ったにもかかわらず、俺の目の前には、普通にイフリータが立っていた。


「なによ? 目をパチパチさせて?」


「な! なんでいるんだ! イフリータ!」


「なによ! いたら悪いわけ!」


「あ、いや、違うんだ」


「何が違うのよ?」


 エクリアは、サササとイフリータの影に隠れ小声で話し出した。


「イフリータさん、イフリータさん、この人何か変なんですよ!」


「てめぇ! エクリア! もとわといえば、お前のせいだろうが!!!」


「はあ? なにがですかねぇ?」


 俺は、顔を変更したデメリットを全てを話した。


「ははーん、まさかそんな事になっていたとは、思いませんでしたねぇ」


「こいつ」


「まぁ、顔を作り替えるなんて強力なアイテムに、デメリットがないとは思わなかったけど。まさか、装備やスキルを失うなんてね」



 俺はスキルを失ったのに、召喚獣であるイフリータが消えていない理由が、分かるか聞いてみた。


「スキルは、術師と召喚獣が連絡をとるための、道みたいな物なのよ」


「みち?」


「そ! 道よ。でスキルという道に魔力を送り、召喚すると、魔力契約になるの。それで私とご主人様は魔力契約中だったから。私は消えなかったんじゃないかしら?」


「なるほど」


「一応、召喚獣リストとか確認してみたら?」


「そうだな」



 俺は言われるがまま、召喚獣リストを確認したが。

 やはり召喚獣はイフリータ以外黒くなり時間表示もなくなっていた。


 装備も確認したが、今着ている物しかなかった。

 マジックバッグに収納した物は、白骨エクスカリバー含めて、全て残っていた。



「ダメだな。クソ! 装備は収納してから、はだかで! やるべきだった」


 イフリータは、顔を少し赤くした。


「は、はだかとか! やめなさいよね。それに過ぎた事は、悔やんでも仕方ないわよ」


「そうですよ! ユーリ! さぁ! 次は街に行きましょう、じゃありませんか!」


「このやろう! はぁ。まぁ確かに気にしても、失った物が戻るわけじゃないしな」


「そうですよ!」


 イフリータが、一応ご先祖様の残りのアイテムを調べたら? と言うので確認する事にした。



 ご先祖様から貰った、ペガサスの形をした、アイテムを出して確認してみた。



 アイテム名


『ペガサスのみちしるべ』


 このアイテムは! なななんと! 貴重なペガサスの羽を使って作り上げました! ペガサスの羽の入手方法はですね! ペガサスの寝込みを襲いぬす、コホン! 失礼。


「盗んだのか」

「盗みですか!」

「盗んだのね」


 もとい! 丁寧に清き乙女である私が! 頼み! ペガサスの羽を、ゆずっていただき! 完成した! 貴重な移動アイテムなんです!


 俺は勇者カイザーとの話を思い出していた。


 確かカイザーも、移動アイテムは貴重だからないとか言ってたが。

 ご先祖様は、この日の為に手に入れたんだろうか。



 使う人に触れていれば、皆移動できる優れものなのですよ! ただ、どこ行きにしたかは忘れちゃった? てへ?



「てへ? じゃねぇだろ!」


「大事なとこが抜けてますねぇ」


「目の前に、いたら灰にしてたわね」


 街にしたのは間違いないから、迷子なら使って損なし! たぶん!


 製作者チェルシー・フロレンス



「最後の一言余計だ! てかまた、チェルシーかよ! 何者だよこいつ!」


「不安しかないですねぇ」


「まぁ、腕は確かなんじゃないかしら? 顔を作り替えるアイテムを作るくらいだし」


「確かに、イフリータの言う通りだな」


「それに、考えれば分かる事だけど、召喚獣である私は、戦闘にしか呼ばれなかったから当然、街の場所なんて知らないし、私の魔法で探してもいいけど、見つかる保証はないわ。そして転生者のご主人様とエクリアも当然、街の場所なんて知らないから、この世界の迷子に違いはないんじゃないかしら?」


「そうだな。適当に歩いて街に、たどり着く保証もないしな」


 エクリアは、胸を張り威張りながら!


「私は歩けませんよ! 天使ですから!」


「威張るのはいいが! エクリア。人前で絶対に! 飛ぶんじゃねぇぞ!」


「ふ、甘いですねユーリ」


「なにがだよ?」


「私が何年、人間界で遊び! もとい! 修行をしていたと思うんですか!」


「しらねぇよ!」


「今だかつて! 見つかったことなぞ、ありませんよぉ!」


「そうか、えらいな」


「そうでしょうとも!」


「俺は殺したがな」


「ははははは」


「はぁ。まぁ決まりだな」


「そうね」


「ははは」


 な! なんだ! なんで2人して俺に……柔らかい。


「エクリア? イフリータ?」


「ははは、なんですか?」


「なによ?」


「べつに、抱きつく必要はないんじゃないか?」


 右からは、エクリア。左からは、イフリータが! 2人で俺をサンドイッチにしてやがる!


「いえ。落ちたら嫌なので」


「そうね。念のためよ」


「そうか」


 クソ! エクリアの胸でけぇ! プルンプルンじゃねぇか! さっき迄の生意気が消し飛ぶ柔らかさだ!


 そして、イフリータは板胸だが。ないからこそ! 直接伝わる柔らかなプニプニ! かん! しょく!


 は! いかんいかん! 今はアイテムだ、ん?



 俺は、手に持ったペガサスのアイテムを見て。


「どうやって使うんだこれ?」


「はぁ? だきつかせといて! なんですかそれは!」


「仕方ないだろ! 使った事ないんだよ! てか勝手に抱きついたんだろうが! エクリア!」


「確か? アイテム解放と言ってから、アイテム名を言ってたわね」


「そうか! ありがとう。イフリータ!」


「流石ですねぇ。イフリータさん」


「ふん、余裕よ」


「アイテム解放!『ペガサスのみちしるべ!』」

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