第11話 ヘーンシーン!! ノォォォォ!!!
エクリアの無事に安心し俺は声をかけた。
「お! エクリア! 生きてたか。大丈夫だったか? 何だ、結局天使の顔にしたのか?」
「あれが天使の姿ねぇ。確かに、前よりは髪は真っ白で天使みたいね」
卵から
「大丈夫か? 何処か痛いのかエクリア?」
エクリアは地面が割れるほどの大声を上げた。
「クソガァァァァァァ!! 私としたことガァァァ! ぬわんて、ミスをしちまったんですかぁ!! せっかくの! 流れる様な済んだ黒髪! そして理想の容姿にするチャンスだったと言うのに!! 地獄の激痛から早く解放されたいからって!! こんな
エクリアはユーリの足に、しがみ付き抗議した。
「自分で飲んだんだろうが!!!」
「そ、そうですがぁ」
「それに、元の自分を悪く言うなんてよくないぞ」
「元の……自分をですか。確かに天使ですし、白い髪は……嫌いではないのですが。やはり黒ガァァァ」
エクリアは、両手で髪の毛をわしゃわしゃと、かき混ぜ悩んでいた。
俺はフェイスチェンジポーションを飲むつもりはなかったが。
おバカ天使が勝手に実験台になってくれたお陰で、激痛はあるが、顔や髪は変更できるとわかった!
俺は激痛に耐える為! 力を込め痛くない痛くない痛くないぞと念じ覚悟を決めた。
「ふぅ。よし! 俺も薬飲むか!」
「飲むの?」
イフリータは、心配そうに目をパチパチとしていた。
「あぁ。エクリアのお陰で問題ないのは分かったからな」
「そう」
イフリータは、何かを言おうとしたが。
エクリアがユーリの持つ虹色の小瓶に気が付き声を出した!
「は! それを下さい! ユーリ! ユーリは、今のままでもカッコいいんだし! いらないじゃないですかぁ! 今度こそ! あの顔を潰される激痛に耐え、理想の顔と髪を手に入れてやりますとも!」
「悪いが、俺はのんびり暮らしたいんだ。こんな有名人のままだと、魔王軍に狙われるからな、これはやれねぇよ」
「ぞんなぁぁ!!!!」
俺が小瓶を「ポン」と開けるとエクリアが腕を掴んできた。
「なら!! ユーリも元の姿にして下さいよぉ!」
俺は、エクリアに答えず。
薬を「グビ」と飲み光に包まれ卵に
「なぁ!」
「逃げたわね」
「ユーリのバカァ! アホォ! マヌケェ!」
俺は、光の世界で、ふわふわと
エクリアのやろう、激痛とか言って脅かしやがって。
変な音だけで、何にも感じないじゃないか。
薬欲しさに嘘つきやがったな、まったく。
さてこれからどうするんだ?
脳裏に「おのれの望む顔を想像せよ」と響いた。
俺は先ず顔の
うを! キモ!
頭の中には、髪、口、目、鼻、全てない。能面の顔と元の体が裸で現れた。
気持ちは悪いが、これでゲーム見たいに、自分を作ればいいんだな。
キャラクタークリエイトなら楽勝だぜ!
うーむ、この世界の俺の裸を初めて見たが。
勇者パーティーだったとは思えないほど、ヒョロイし、小柄だなぁ。身長は160センチくらいか?
なら、バランスを考えて、黒髪ショートに、小顔のショタ系にでもしとくかなぁ。
むぅ、これだと、ご先祖様と違いが少ないかなぁ。
ご先祖様は優しい目だったし、少しだけ生意気そうな目にでもするか。
そうそうこれこれ、次はっと。
ユーリが光に包まれてから1時間が経過した。
「ご主人様。遅いわね」
「遅い遅すぎですよぉ!!」
その頃ユーリは、やっと顔を決めていた。
よし! 完成だ! で? 次は? どうすんだ? お!
イメージした顔が消えると、厨房に切り替わった。
お! エクリアの時に聞こえた、料理の音はこれか! おお! 手袋だけが飛び回って料理してるぞ!
マジシャンの手袋の様な物体は、パンを作る様に顔を作ると。
マジシャンハンドは、これでどう? みたいに、アピールした。
いや……そんな、おちょこ口じゃなかっただろ?
マジシャンハンドは、顔を叩き潰した!
バァン! ぐにゅぐにゅ バァン!
いや、叩き潰すなよ、輪郭は問題なかったぞ。
マジシャンハンドが現れてから30分程経過して、卵にヒビが入り。
エクリアと同じ様に、卵から
エクリアは、ユーリの顔を見るなり騒ぎ出した!
「なぁ!!! ぬわんですかぁ! その切れ長の目をした! イケメンベビーフェイスは!!!」
俺は、自慢げに指を髪に絡めながらアピールした。
「ふん、騒ぐな騒ぐな」
「ムカつきますねぇ。そのキザな態度!!!」
ユーリは目を瞑り、エクリアに決めポーズをし挑発していると。
突然。ピコンピコンと音が鳴り、目を開けると。
目の前に浮かぶ文字に、絶句し、崩れ落ちた。
ドサ!!!
「なんだと!」
エクリアは、挑発に
「何してるんですかぁ? 私に望みの顔を見せつけたと思ったら、突然土下座をしてぇ」
「いや、土下座じゃなくてだな」
「じゃあ。なんなんですかぁ」
「あのですね、エクリアさん」
「キンモいじゃないですかぁ! なぜに敬語ですか!」
「あのですね。エクリアさんが、顔を変更してから、目の前に何か文字は出なかったですか?」
エクリアは、顔をゆがめながら悩むと、思い出した様だ。
「あぁ! なにやら目の前に邪魔なのがありましたねぇ。なんて書いてましたかねぇ。忘れちゃいましたよ」
「もしかして『つけていた装備は、全て破棄されました』とかですか?」
「おぉ! そうですそうです。確か、そんなやつでしたよ!」
「なんなんですかぁ? ジロジロと?」
く! ここまでアホとは! いや、俺もアホだな。
エクリアの服が、転生前の天使の服装に変わっている事に、違和感を覚えていなかったからだ!
クソガァ!!! おかしいと思ったんだよ! 顔決めたら服装決めろとかいうから!
アホな俺は! 疑問もなく! 黒のジャケットで黒のインナーにしたわ! 最強のご先祖様装備があぁぁぁ!!!
俺の目の前には、文字が点滅表示されていた。
『スキルがリセットされました』
『スキルポイントを全て失いました』
『つけていた装備は、全て破棄されました』
『ギルド登録が抹消されました』
く! 俺の召喚獣パラダイスが! クソ! 俺の生意気メイドも消えちまった!
「イフリータァァァ!!!」
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