1章 03話 プロローグ03(前世の記憶の欠片)

いったい僕は誰なんだ。俺は大草原を風を切って駆けていく。

そこには血みどろになった私がいて……。

死臭漂う屍の上に小生は刃を杖代わりにして片膝をついている。


拙者は将軍様を影で支える忍者になってしまったんだろうか?

妖精、獣人、竜、天使、悪魔とゲームに登場する種族が

オールスターで血を流して死んでいる。


相変わらず一騎当千のチート級の働きぶりだ。

さすが学校に行かずに引きこもってゲームばかりしていた賜物である。


これできっと皇帝閣下様も我に勲章を授与することは盟約されただろう。


でも手を胸に当ててもおのれに問いただしても

心は空しく薄いワイングラスようにもろく透き通っている。


こんなにかくれんぼのごとく鬼に見つかったんだから、

悲しいことにきっと忍びとして才能は皆無だったんだろうな?


ごめんにゃちぃご主人様。

お天気だからついお腹を丸出しにしてひなたぼっこしてしまって。


まぁ、優しい主だから相手はヒトじゃなかったってことで

山にこもってまた最初から修業をやり直せって厳しい言葉はかけないだろう。


井戸水からの洗濯のおかげでお肌ピチピチで美しかった手も

あかぎれして荒れまっくて、このままではお嫁に

いけなんじゃないかって思った凍える冬もあった。

でも師匠が「職人の手は傷だけの方が博雅付くって」笑っていたっけ?

正直蹴り飛ばしたくなったがお姉ちゃんに産まれたからぐっと我慢した。

きっと次女に産まれていたら、後先のことも考えず恩師に

ビンタしていたと思う。


こうしてそれがしが打った鉄の塊は刃となり、

多くのヒトの命を奪っていった。

あたしはこんな悲惨な日常は1つも望んでいなかったのに。


最後は誰もわたしの言葉は信じてくれなかった。

弱い自分でごめんね。憎まれるよりもただ愛されたかっただけなのに。


この記憶は雲の上の天界で優雅に目視していた思い出の断片なのか?

はたまた篠染玲音として夢で見たおとぎ話だろうか?


非現実の映画やゲームの未来の姿が現代に

追いついていくように世界は立ち止まらずに動き続けている。


ヒトの意思に神の心は揺るがず、太陽もまた闇に沈み

そして次の光を導く準備をしていた。

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