第15話

 今、私の中には、様々な感情がある。

それらはすべて人間が私に与え、そこから芽生えた私だけの『心』だった。


 最初はたったひとつだけ。

 一人の男から向けられた、初めての感情に気付いた時。


 そして想いは、それからも次々と増えていった。


 感情が生まれていくたびに、私の心は温かいもので満たされていく。

 だが、そうするうちに私は、いつしか人間に対する『憧れ』のようなものを、今日胸中深く抱くようになっていた。


 どうして人間は、あれほどまでにたくさんの感情を持っているのだろう。

 どうして人間は、あんなにも生き生きと輝いているのだろう。

 時が来れば尽きてしまう命を、真紅に燃やして。

 どうして…ああ…どうして。

 

 どうして私は…人間ではないのだろう。


 それは私が初めて感じた『孤独』

 神である私が、最も感じてはならない想い。


 けれど私は気付いてしまった。自分がこの世でただ『独り』の存在であることを。

 同族もなく、人と交わることもなく、子孫を残すことも、死ぬことでさえ許されない。


 そう、私は永遠に『独り』なのだ。

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