中編 結集、Xチーム その1


 ノヴァルダーXの正規パイロットとして扱うため、一時的に特務少尉としての軍籍を与えられた翔矢は、羽田空港に用意されていた防衛軍用のジェット機に乗り、舞島大佐と共に海を越えていた。


 アメリカ合衆国のフロリダ州に存在する、世界防衛軍第5宇宙基地。現在はそこに、全てのXメカが保管されているというのだ。


「ここの施設を利用してXメカ全機を宇宙に打ち上げ、そのままビーストガーデンに突撃する。……実にシンプルな作戦ですね」

「到底、作戦などと呼べたようなものではないがな。……早速、『お迎え』が来たようだぞ」


 幾つもの発射場が建ち並ぶ、目的の宇宙基地が機内から見えてきたところで、翔矢が皮肉を溢すと。そんな彼への意趣返しであるかのように、舞島大佐も冷ややかに呟く。


「……!」


 彼の視線を追った翔矢の顔が、強張ったのはその直後だった。

 着陸態勢に入ったジェット機と並走するかのように、基地の滑走路を颯爽と走っている1台のオートバイ。そこに跨っている青年と、目が合ってしまったのである。


「……何発殴られることになりますかね」

「10発以内で済めばいいな」


 黒のフライトジャケットをはためかせ、真紅のオートバイで滑走路の脇を疾走しているその青年こそ。かつて翔矢が巻き込んでしまった、士官学校時代の「同期達」の1人なのだ。


 こちらを鋭い眼差しで睨み付けている同期の視線を浴び、自嘲する翔矢に対して。舞島大佐は冷たくあしらうように、ため息を溢している。


 「巻き込んだ者」と「巻き込まれた者」による、因縁の再会。これは、彼ら同士でしか解決することが出来ない問題なのだから。


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