014 ~騎士たちの嘲笑②パーシヴァル~

こ、ここはどこだ??く、暗い。はっ!そうだ!俺はあの時、地下水道の瓦礫に巻き込まれそうになって、急いでそこから離れたんだ

頭を瓦礫にぶつけたのか、意識を失っていたとは…クソ!


「けほっ…けほっ!」


身体をおこして、立ち上がる。砂埃が酷い。

そして意識がはっきりしてくると思い出してくる。あのクソゴミ王子のことを。

この円卓の騎士、第6席。帝国最強のパーシヴァル様をこんな目に合わせるなぞ、許せん!!絶対に許しはせん!!


「と、とにかくここから出なければ…」


辺りを見渡すと、暗い洞窟の様なところだった。

ここを出て市長の金をもらえば、こんな町すぐ出てやる!!


―あれ?


そういえばあの時、市長は瓦礫の下になったんだ。

おい、まだ金貰ってないぞ…てことは…。


「くっ!た、ただ働きさせられたと言うわけか…!!クソが!!」


町に泊まって数日間は市長の金で豪遊出来たとはいえ、ただの小さな町で出来ることだ。

ブルターニュ帝国で出来ることと比べるとミジンコほどの内容と飯だ。


「ここはどこなんだ!!地下水道にいたはずなのに…!」


暗い中何とか壁を触りながら辺りを確認する。すると、壁一面瓦礫で埋まっている場所を発見する。


「こ、これは…そうか、この洞窟は地下水道に隣接していた洞窟か…地下水道が崩れたことで壁に穴があいて、そこに運よく逃げ込めたというわけか」


ふん。俺には神が付いているとしかいえないな。

なんたってあのロンギヌスに選ばれた男なんだぞ。


「とりあえず洞窟の中を進むか…」


ひたすらに洞窟の中を進むと光が見えてきた。

その方向へ歩き進むと森に出た。空に木。辺りを確認すると、近くにさっきの町が見えた。


どうやら助かったようだ。


「ふぅう。なんとかここまでは来れたな。とりあえず帝国に戻るか………いや、ま、まて…」


ここで俺は気づく。

俺はアンブローズから聖杯を探す名を受けていたのだ。しかし、情報源の遺跡にはそれらしき物は何もなく、とりあえず身を休めるかと思って立ち寄った町で市長に会い、そこで護衛の誘いを受けた。


そして、あの死んだはずのゴミ王子に出会い、俺の武器を取られた…

こんな状態で帝国に戻れるわけがない。


「クソクソ!!!取り返してやる!!あのゴミから!」


とりあえず、まずは居場所だ!町へ行けばあいつがいるかもしれない!


俺はすぐに町に戻る。するとそこには何やら和やかなムードと、この町に集まっていた狩人たちが立ち去る場面だった。

俺はそのうちの一人に声を掛ける。


「お、おい!どうした!何があった!」


「ああん?なんだ、あんた?あんたも水の魔獣を狩りに来た人か?残念だったな、水の魔獣は1人の少年が倒したんだとよ。誘拐された人たちも見つかったらしく、もう俺たちはお払い箱って訳さ」


そういうと、狩人は町を出ていこうとする、俺は追いかけて肩を掴む。


「ま、待て!その少年と言うのはどこにいる!!?」


「ああ???知らねーよ!!もう町を出たらしいが、俺も見かけてはない。もういいか?」


男はめんどくさそうに俺の手を払いのけて立ち去る。

少年というのはあのゴミ王子のことに違いない。


ならまだこの近くにいるはずだ!!


俺は駆けだした。あいつは必ず帝国に戻るはず。

ヤツの狙いは円卓の騎士だ。なら向かう方角もわかる。


待っていろ!ゴミクズ王子!!

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