018 ~シャングの黄金の道⑤~
「おーーーーい、大丈夫かーーー??そろそろ起きろよ―――??」
誰だ?
「ったく…こいつら…
誰かが俺の顔を叩いている。
ゆっくりと目が意識が覚醒してくる。
「う、うう……」
―ズキンッ
「うっ…い、つー」
強い頭の痛みを覚えてたまらず頭を手で抑える。
目を開けるとそこには見知らぬ男が俺の顔を覗き込んでいた。
「ようやく起きたか…まったく、世話かけやがって」
俺は体を起こす。
おぼろげな意識の中、周りを見渡すと、そこにはアンデス、ロッソ、ティメルが横たわっていた。
「何があったのか知らないが、よそのパーティーに助けられるようじゃ、お前らも大したことないな」
男はそう言い残し、立ち去っていこうとする。
「お、おい!お前は!!」
「なんだよ、まだ何か用か?」
「……はっ!?」
俺は自分たちがレギネシア王国の一番大きなギルドにいることに気が付く。
周りは他の冒険者パーティーたちが何人もいて、俺たちをクスクスと笑って見ていた。
「な、なんだ…これは……」
俺は動揺していた。なぜ自分がここにいるのか、記憶の整合性が取れないからだ。
そこにさっきの男がやって来て、俺の前に腰を落とす。
「俺はA級の冒険者だ。お前ら古代の遺跡の入口で積み重ねられて倒れていたから、わざわざ俺らのパーティーが運んだんだよ、ここまでな。ったく、金欲しいくらいだぜ」
「は、は?お、俺たちがそんな!!そんな事!!!」
「まだ気が動転しているみたいだけどよぉ。これは事実だ」
「う、嘘だあああ!!!俺は俺たちは!!S級の冒険者なんだぞ!!!」
「はいはい、お前らさんざん俺らA級をコケにしていたよな。ここでもデカい態度でよぉ。助けてやっただけでもありがたく思って欲しいぜ。もういいよな?」
男は立ち上がりギルドを後にした。
俺はその男の後を追おうと立とうとするが、頭がぐらついて上手く歩けない。
後ろを振り返ると、倒れて動かないアンデス、ロッソ、ティメルと俺たちを嘲笑う他の冒険者たちがいた。
「お、お前ら!!笑うな!!俺は!俺はここのギルドの頂点なんだぞ!!!!」
そう言い放つ。
すると、どこからともなく「頂点がダンジョンの前で倒される訳ねーだろ…」「こいつら、嘘ついてたんじゃねー?」「そういえばもう一人いた様な…そいつのおかげでS級になれたんじゃね?」
「う、うるさい!!!うるさい!!!黙れ!!!黙れ!!!殺すぞ!!」
何処からともなく聞こえる声に罵声を浴びせる。
「奴らの防具と装備。あれ、初心者のD級レベルだぞ…」「これ、俺たちの方が強いんじゃね?」「ああ、もうこんな奴ら怖くねーよ」
しかし、冒険者たちのひそひそ声は消えない。
「ぐぐぐぐ………おい!お前ら!!起きろ!!!起きろ!!!!いつまで寝てるんだ!!!」
俺はアンデスたちを起こしてギルドを出た。
起きるまでずっと嘲笑を浴び続けたが、気にすることはない。こいつらはみんなゴミだ。
俺たちには王がいる。あのソフィ姫の依頼をこなせば俺は、俺は!!!俺のすごさを奴らに見せつけて後悔させてやるんだ!!!
「う、うう、すまない…シャング…」
「私たちが弱いから…」
「シャング……様…」
俺たちは城に向かっていた。その後をついて歩く3人の空気は重い。
「だまってろ…」
俺はそういうしかなかった。
王に言って城の最強クラスの防具やアイテムを狩りてダンジョンに行けば楽勝だ。
なぁに、俺は口がうまい。王は俺たちを信用している。側近もな。
上手く言いくるめて必要経費だと言えば行けるはずだ。
「くくく…その武器やアイテムをもらったらすぐさまギルドに行ってぶち殺してやる…くくく…」
そう言いながら俺たちは城に入っていった。
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