017 帰路

「私はだれ???ここは何処???あなたたち何なの!!??」


自分のことをラプンツェルと言った少女はその金髪で長い髪を揺らしながら辺りをうろうろしていた。


「ね、ねぇ。ほんと、この子どこから来たこなんです?ウィルさん…?」


ソフィさんが僕に聞いてくる。


「わたしは誰だ―――――――!!!」


「う、うう…頭が痛くなる……」


ラプンツェルは元気なのか、パニックになってるのか、それともアホの子なのか。僕らの辺りをぐるぐると走りまわっていた。

僕らはとにかく雷雲峡から離れることにした。


今は天候が落ち着いているとはいえ危険な場所に変わりはない。


ラプンツェルをどうにか落ち着かせて、とりあえず一息できる場所まで移動した。

比較的静かな場所の木の下で僕らは腰を落ち着けた。


そして、シンデレラとラプンツェルの事を2人とソフィさんに話した。

シンデレラとどこで出会ったのか、雷の龍をどうやって倒したのか。


ラプンツェルがどうやって現れたのか。


「……そ、そんなことが……」


ソフィさんはかなり驚いている様子。それもそうだ。普通モンスターが人に代わるなんてありえない。

聞いたことも無い。シンデレラは胸に鍵穴が現れてそこから武器が取り出せるなんて言うのも、見たことも無い現象だ。


「私はそんな事知らないぞ!!私が龍だったなんて、そんな分けねぇ!!」


「まぁ、そう思うのもまっとうだけど……」


僕はシンデレラに聞いてみる。あれから何か思い出したことが合ったかもしれない。


「シンデレラは、何か思い出せる?昔のことやさっきの胸の鍵穴の事」


「うーん、分からない……気が付いたらウィルの前にいたから…」


「そうか……」


「てことは、私の胸にも鍵穴があるのか!!?」


ラプンツェルが立ち上がり、おもむろに服を脱ぎだす。


「わーーー!ちょっと何してるの!こんな所で!辞めなさい!」


「邪魔すんなよ!!確かめるだけなんだからよぉー!」


「その言葉使いもやめなさい!はしたないでしょ!」


ソフィさんとラプンツェルが押し問答している。


「私も混ざるぅーー!」


シンデレラがその様子をみてソフィさんとラプンツェルに抱き着く。


「きゃあ!ちょっと!シンデレラ!あなた私の服脱がすつもりー!」


「おー!青髪女面白れぇじゃねーか!!」


「こらー!!いい加減にしなさい~!」


3人でもみくちゃになっている様子を見て僕は思う。


「あはは…なんだか、えらく賑やかになってきたな…」


しかし、本当に七幻龍とは何だろう。

七というだけあって、この子みたいな少女が他にもあと5人いるという事なんだろうか。


僕のこの【最後の鍵】というチカラ。

じいちゃんが言ったように、何かあるのかもしれない。


七幻龍、シンデレラの胸の鍵、最後の鍵というチカラ。

これは偶然じゃない。きっと、意味がある。


でも、その意味はまだ分からない。今は。


「僕の田舎暮らしは当分先になりそうだ……」


3人のドタバタを見ながら僕はそう思った。




「よし!みんなとりあえず街に戻ろう!」


僕は立ち上がってそう言った。


「ちょっ!ウィルさん、あっち向いててくださいーーーーー!!」


ソフィさんとシンデレラ、ラプンツェルは服がはだけていた。目のやり場に困る。胸やおしりまでも見えそうになっていた。


「あ、はははは…そうだね……はぁ」


後ろを向き、これは帰るのも一苦労だなと思う僕だった。

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