002 足りないもの
「そういえば、これで今まで集めてきた武器や防具やアイテムが戻ったけど、どれくらい貸してたんだろ?」
僕は自分の『異次元の道具箱』をもう一度開けて中を確認することにした。
中にはかなりの量の武器や防具、アイテムが戻っていた。
「こんなに沢山貸していたのか、まぁ意外と一緒にいた期間も長かったしなぁ~」
少し昔のことを思い出す。
僕が一人でダンジョンの宝箱を開けて回っていた時、たまたまそこに初級装備を付けた弱腰の『
アイテムを見つけてきた僕をシャングが気に入って、そこからパーティー入りしたんだよなぁそういえば。
シャングたちはたまたま僕がいいアイテムやいい武器を見つけて集めていると思って、アイテム回収役として僕を採用したみたいだった。当初はあんなに僕に対して怒りをあらわにする連中じゃなかったんだけどなぁ。
僕も暇だったし、アイテム集めで色んな場所に行く機会が出来ると思ってパーティーに参加し、アイテム回収役に徹していた訳だけど。
いつの間にか『
ちょうど出てきたかったんだけど、その口実が思い浮かばなかったところタイミングよく追放してくれて助かった。
彼らなら、まぁ武器や防具、アイテムが無くても何とかやっていけるだろうし。
道具箱の中を覗くと最上級回復アイテムが9999個もある。魔法力を上げる装備のランクも全てSS級。これだけあったらダメージ食らうこともないな。
その他にも、攻撃や魔法を跳ね返す伝説の盾『セイクリッドシールド』や、どんなモンスターや植物でも能力を確認できる『世界樹の双眼鏡』などもあった。
「これだけあれば、もう今後新しい宝箱も遺跡巡りもしなくてもいいかもな」
しかし、ここで一つだけ「無い物」に気づく。
「あ、金が…無い………」
そう、依頼を受けたりした報酬は全てシャングたちの物だ。僕の分け前もここ最近は少なくなっていたし、田舎で大きい家と畑を買って暮らそうと思ったが今の財布の中身だけでは到底買うことも出来ない。
「うーん、もうこの国ではギルドから依頼を受けること出来ないだろうしなぁ…どうやって稼ぐか…」
まぁとりあえずこの国を出て一番近い街へ行けば依頼を出している小さいギルドもあるだろうし、そこを目指すかな。
「よし!そうと決まれば出発だ。この武器や防具を使って稼げるだけ稼いで田舎暮らしをするぞー!」
僕は意気揚々と国を出て街を目指して歩き出した。
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