最後の鍵の使い手 どんな宝箱でも開けれるので『アイテム回収役』としてパーティにいたけど、必要ないと罵倒され追放されました~えーっと、最強武器やアイテムは貸してただけですけど僕が抜けて大丈夫です?~
MYU
001 追放されたアイテム回収役
「ウィル、俺たちは最強になった。もうお前は必要ない、消えろ」
僕の名前はウィリアム・ベン。14歳の男だ。
今、目の前にいる冒険者パーティーのリーダーから一方的に追放を告げられた。
ここは多くの冒険者が集う、レギネシア王国の中でも一番大きいギルドの一角。
テーブルには今まで一緒に行動してきたメンバーがいる。
全員、僕のことを下っ端やただのパシリとしか見ておらず、虫けらの様な目で見下してくる。
僕の能力は【最後の鍵】というどんな宝箱でもどんな扉でも開けることが出来るというもの。
そのチカラを活用して、このパーティー『
普通は開けることが出来ないSS級ダンジョンの遺跡の扉や、伝説級の最強武器が封印されている宝箱など、このスキルで取り出し回収していた。
そのおかげか、『
今では王様から直々に依頼を受けるほどまで成長したこのパーティーだが、もう僕が必要ないと宣言されてしまった。
まぁ、でも僕の心は騒がない。むしろ、自分の自由な時間が出来ると嬉しく思っていたほど。
「ふーん、もういいの?アイテム回収しなくて」
僕がパーティーのリーダーに尋ねる。
「ああ、もうお前に用はない。用済みだよウィル」
「よかったぁ、これで穏やかに田舎暮らしでもできるよぉ~」
心底嬉しいと言わんばかりに、両腕を頭の後ろで組み椅子の背もたれにもたれかかる。
僕は嘘が苦手なタイプだからね、正直に自分の今の気持ちをパーティーメンバーに伝えた。あ、もうパーティーメンバーじゃないんだった。
まぁでも、もともと彼らは僕のことをパーティーメンバーとして認めてたわけじゃなさそうし、別に気にしないか。
「なっ!?」
驚愕する表情を浮かべるリーダー。僕の反応が思っていたのと違ったらしい。彼は怒りの視線を向けてきた。
何かカンに触ることを言ってしまったかな?とキョトンとした表情で見つめる。
「お前!!何平気な態度取ってやがる!!ウィル!!テメェ状況分かってんのか??ああ!!??お前はこの国最強の『
椅子から立ち上がりテーブル越しに僕に怒号を飛ばしてきたのは、この『
「はっ!そうだぞ、お前みたいなクソチビなガキが、今までアイテム回収役として使ってあげてただけ感謝されたいくらいだというのに、シャングにその態度は言語道断だぞ!!」
そう言ったのはシャングの右隣にいる大男。屈強な肉体を持つアンデスだ。世界最高峰のオリハルコンで作られた武器『蒼天式最終鉄甲』を装備している。無敵のファイターと名高い。
「あんたは用済みなのよ、見苦しいから強がるのは辞めなさい!」
次に言ってきたのはシャングの左隣にロッソ。赤髪の長い女。マグマも焼き尽くすほどの炎弾を打ち出す『豪炎の猟銃』を背中に携えている。
「もーーこんな雑魚ほっといて、行きましょ!シャングさまぁ~!」
同じ様な事を言うのは、シャングの後ろから首に手をまわして抱き着く女。ティメル。黒髪が特徴で、神の雷を操る最強クラスの武器『雷槍ケラウノス』を装備している。
「うーんでも、本当の事だからなぁ~」
平気な態度と言われても、本当に何とも思ってないし、むしろ嬉しいからなぁと思いつつ本音を口に出してしまう。
「お、お前…!!いい加減態度改めねぇと、どうなるかわかってるんだろうな!!??お前は俺の情けでパーティーに居れてやったんだぞ!!!」
「そうだぞ、土下座して謝るなら今のうちにしておけよ!」
「謝りなさいよ、私たちに」
「ほーんと減らず口を叩くガキね!やっちゃってよ!シャング様ぁ」
そんなに怒る事なのかな?
「でも、いいの?僕が居なくなって?困らない?」
ちゃんと居なくなっても大丈夫かの確認はしておいた方が礼儀としては当然だろうとシャングたちに聞き返す。
「ぐっ!!て、テメェ…!!いちいちムカつくなその態度!!戦闘でも役に立たねぇ、ただのアイテム回収しか出来ないクズもう必要ないって言ってんだよ!!」
「えーーっと、そうじゃなくて…あの、武器とかアイテムは…………」
「さっさと消え失せえろつってんだよ!!!クズが!!」
折角ちゃんと説明しようとしたのに。
何故こんなにも怒っているのか分からないけど、説明も必要ないみたいだし、とにかくもうこのパーティーに居なくていいなら清々したな。
僕は席から立ちあがり、ギルドの出口へ向かう。
「もう二度と俺の前に現れんなよ!!おい、お前らこれから新生『
「おお!それはいい考えだ!!」
「やった!雑魚がいなくなってスッキリするわぁ」
「もーーシャング様最高~!重い装備や道具は部屋に置いて祝杯上げましょ!」
彼らが僕に向けて罵声を浴びせて、これから祝杯をあげるみたいだけど、特に気にすることもなくそのまま建物から出た。
歩いてギルドから離れていく。かなり遠くまで来た所で、僕は自分の持つ『異次元の道具箱』を取りだす。
この『異次元の道具箱』は【最後の鍵】の使い手である僕にしか開閉出来ない特別な道具だ。
あらゆる武器や道具、アイテムを無制限に入れて置ける。そしていつでも自由に取り出すことが可能だ。
さらに『異次元の道具箱』にはもう一つの性能がある。それは、一度この道具箱に入った自分の所有物は好きな時に道具箱に戻せるというもの。
【最後の鍵】で開けて中を見る。そして、シャングたちに「貸して」いた全ての道具やアイテムを戻すと『竜神族の剣』『蒼天式最終鉄甲』『豪炎の猟銃』『雷槍ケラウノス』などが道具箱に戻ってきた。
「アイテムは回収した時点で僕の物だし、ただ貸していただけなのに…。シャングたち大丈夫なのかな?…ま!もう僕パーティーメンバーじゃないし、いっか!」
勘違いしているのかもしれないけど、もう僕にはどうでもいい事だった。彼らは彼らで頑張るんだろう。
よーーし!これからは田舎暮らしでもしてのんびり暮らすぞーーー!
そう思いながら、僕は新しい人生を歩き始めた。
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