たぬきときつねの姉妹の話

宵埜白猫

小さな出合い

 もこもこふわふわたぬきさん。

 冬の衣装で一人きり。

 家族と離れて独りきり。

 冷たい雪にさらされて、

 震えるたぬきは独りきり。


 キリっと小さなきつねさん。

 一人でフラフラ歩いてる。

 親の顔すら知らぬ間に、

 一人でフラフラ歩いてる。

 独りぼっちの、きつねさん。


 白雪しらゆきの上に足跡つけて、

 トコトコ歩くたぬきさん。

 行く先知らず、道知らず。

 歩くたぬきに雪つもる。


 雪に飛び込むきつねさん。

 時間も知らず、親知らず。

 積もった雪は穴だらけ。

 雪にまみれたきつねさん。


 歩くたぬきが覗き込む。

 ぽっかり穴を覗き込む。

 ひょっこり顔出すきつねさん。

 あらこんにちはとたぬきさん。


 出会う二人は顔を見合わせ、

 銀世界にて笑い合う。

 独りぼっちの二人は出合い、

 銀世界を寄り添い歩く。


 とことこ歩くたぬきさん。

 行く先知らず、道知らず。

 歩くたぬきに笑み絶えぬ。


 ぴょんぴょん飛ぶはきつねさん。

 時間も知らず、親知らず。

 けれど隣に姉一人。


 たぬきときつねの姉妹が一組。

 家族と離れて二人きり。

 けれど二人はとことこぴょんぴょん。

 上機嫌な二人組み。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

たぬきときつねの姉妹の話 宵埜白猫 @shironeko98

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ