第314話 クソゲー

「…さん。……いさん!」


 まどろみの中、微かに俺を呼ぶ声が聞こえる。

 聞き慣れた女子の声。

 そして聞き覚えのあるセリフ。

 聞こえるはずのない声。


「…!?」


 瞬間覚醒し勢いよく上体を起こすと、思わず無言で声の主を見つめてしまう。

 多分、すごい表情をしている。


「……………真里亜?」

「はい、そうですよ。ようやく起きましたか、兄さん」


 すっかり見慣れた、見慣れたない制服を身に纏う真里亜が俺を見ている。彼女が起こしてくれたのか。

 そしてこのシチュエーション…俺は知っている。


「真里亜……どうしてここに…?」

「まだ寝ぼけているんですか? ”入学式の設営“があるから起こしてくれって頼んだのは兄さんじゃないですか。それで一緒に学校まで行こうって」


 一度聞いたことのあるセリフを耳にし、思わずこう呟いた。


「……………クソゲー」


 俺は死んで、スタート地点に戻ってきたようだった。








_________




いつも見てくださりありがとうございます。


もう少しで脱出するので、もう少しお付き合いを…

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