第293話 【第7章の登場人物 後半】※7章を見た方用

【登場人物】



・日高 芳…異能力庁政務官。裏で活動する時は【善斑】姓を名乗っている。

 卓也に懸賞金を懸け、カードで能力を与えられた一般人やプロの殺し屋に襲わせた張本人。全ては“何か”を確かめる為にやったことであり、直接話をしたことで卓也の中に求めていたその“何か”を掴み、殺し屋への依頼を取り消し満足して去っていった。


 善斑の能力【銀の箱ウィー アー 庭の主ザ ワールド】は、親交のある相手のコピーを作り出すことができる。コピーの再現性は“親密度”によって左右し、より仲良くしている相手であれば本物と遜色ないものを作り出せる。

 また相手が能力者であれば、内容を知ることができた場合その能力までも再現することが可能だ。

 尾張に協力した理由の一つに『既に亡くなっている強力な能力者とコミュニケーションを取れる』というのがあり、蘇らせた元特対などのコピーを何人も抱えることが出来た。


 今回善斑は“オリジナルの後鳥羽侑李”に卓也への刺客作りを、“コピーの後鳥羽侑李”に部下の能力開花を手伝わせていた。都内近郊で起きている行方不明事件は、コピー侑李が配った“NG行動”を踏んだ一般人の末路である。


 部下と一般人のそれぞれにカード一式を配り、一般人がキャンセルを申し出た際に預かったカードのうち『一般人の能力カード』と『部下のNG行動カード』を返却する。そうすることで一般人には枷だけが、部下には能力だけが残るという算段であった。行方不明者は、自分に枷が無くなったと思い込んだ人が誤って踏んでしまった結果である。


 後鳥羽侑李を雇い自分の計画に協力させていたが、途中で第三者の介入の気配を感じ取る。その第三者は侑李を誰かに殺させようとしていたため、あえて守ることをせず、むしろ積極的に外へと出させた。善斑としては、コピー侑李を使った犯行が『オリジナルの死』という形で清算されるのは好都合だったからだ。

 見殺しにしたため後鳥羽璃桜とは衝突やむなしの構えであったが、結果的には優先目標が卓也に向いたため一番面倒な事態にならずに済んだ。



・贄野 翔太…善斑の右腕的存在。認可組織の代表をしており、多くの部下を持つ表向き普通の経営者。

 基本的に善斑の言う事は絶対だが、思考回路や行動が理解不能だったり、たまに直接不満を漏らしたりする。しかし逆に、ただのイエスマンではないところが善斑に気に入られている要素だったり。



・廿六木 梓…特公職員。これまで卓也に多くの情報や知識を授け、協力姿勢を見せてきた。

 卓也の家に刺客が襲いかかってきたタイミングで訪問し、一段落したところで殺し屋の情報を与える。その後卓也から殺し屋討伐とカード能力者討伐の協力を頼まれ、『後鳥羽璃桜の討伐』を交換条件に提示し請けることに。しかし、初めから彼女は『卓也と後鳥羽璃桜を戦わせるため』に動いていたのだった。

 璃桜の弟である侑李(=カード能力者)の捜索に協力したり、星野を攻撃し卓也に退職の決断をさせたり、善斑のもとへ導き殺し屋の件を早期に解決させたりも、全ては自分の強さを証明するための手段に過ぎなかった。今回卓也に降り掛かった災難の半分は善斑、もう半分は彼女の仕業だと言える。


 真相に辿り着いた卓也が廿六木を呼び出し話を聞かせると、隠さずに全てを打ち明ける。そして自らの目的を話し、改めてお互い宣戦布告をした。

 多くの能力者の仲間を持ち、非公式なコミュニティのようなものを形成している。



・外園 淳…特公職員。廿六木の先輩で、彼女に協力している。特公職員は攻守に優れた自己完結型能力を有するものが多いが、彼は情報特化型。

彼の【悪意の電子ハッキングエンジェル】は一度ネットに落ちた(と判定された)情報を自身の端末に持ってくることができる。これまで卓也を間接的にサポートしていた。


 過去の経歴を漁り、サラリーマンをしながら特対も手こずる犯罪者たちを撃破していった卓也に対し『異常者』だと評している。また、後鳥羽璃桜との対面にあたり会社を辞めるように仕向けた廿六木に対しては『余計なことをした』と責めていた。



・後鳥羽 璃桜…特公職員。自分の王国を作るべく、現在裏で様々な情報や人員を集めている。ただしそれらの行いの一部が特公の規定に抵触しており、独立した瞬間“討伐対象”となる。

 特公としてはそんな内部ミスを出したくないので、今のうちに独立阻止を目論んでいる。そしてその目論見の多くは廿六木に任されているのであった。


 今回は直接関わっていないが、善斑にレンタルしていた弟が殺されたことで怒り心頭となっている。善斑はもちろん、死に関わったとされる卓也や…



・後鳥羽 侑李…後鳥羽璃桜の弟で、善斑に金で雇われ協力していた。

ふぞろいのノーペイン林檎たちノーゲイン】という能力を使い、素質のあるなしにかかわらず能力を持たない者に能力をランダムで与えることができる。ただし同時に『NG行動』が付与され、それを破ると体が結晶化し砕け散るというデメリットもある。能力の強さとNG行動の難易度に因果関係はなく、完全に運で決まる。


 約一月ほど前から善斑の頼みで一般人に能力を配っていた。そして同時に卓也を討伐すると三千万円が貰えるという話をさせて、不特定多数の人間が卓也を襲うよう動いていた。その際、なるべく悩んでいたり、誰かに強い恨みを持つ人間を選ぶようにし、容易く殺しへ踏み切る状況にある者を能力者にしていた。


 途中で自分が警察に捕まるんじゃないかと心配していたが、善斑に言葉巧みに操られカード配布を続行。そしてクリスマスイブの夜、カードで能力を身に着けた人間に大切な人を殺された報復として、表三道の公園でヤクザに銃殺されてしまう。


 廿六木からは兄璃桜の怒りを買うための道具として、善斑からは自分の悪事の清算としてそれぞれ死を望まれていた。結局誰から助けられることもなく、利用され続け殺されるという哀れな最期を迎えた。



【殺し屋】

・1番=ウノ…毒物を使う殺し屋。澁谷で卓也に襲いかかるもあっさりとやられ、いのりのテレパシーで無力化した。

 毒針や毒ナイフで傷をつけてこっそり殺すという手段を好んで取っていたが、相手に傷がつけられないとどうしようもない。他にもターゲットと親しくなり服毒するという手段も使うが、足がつきやすいのであまりやりたがらない。



・2番=ドス…打ち合わせでは能面をつけていた男。素顔は傷だらけの凶悪な形相。最後に現れた殺し屋。

 卓也が異空間に行っているあいだ、外で帰りを待ついのりの前に登場する。彼女を人質に取り卓也殺害を有利に進めようとしたが、逆にいのりの能力実験に使われることに。飲み物を買ってこさせられたあと、四つん這いでいのりの椅子にされた。何故そんなことに…?



・3番=トレス…打ち合わせに包帯ぐるぐる巻きの姿で参加する。

 諜報活動を行っていたところを廿六木の仲間に見つかり捕らえられた。以降変身能力の女が成り代わり、殺し屋たちの動向が見張られていた。



・4番=クアットロ…殺し屋のひとり。すぐやられた。



・5番=スィンコ…元気な少女の殺し屋。マトに設定したモノ以外には攻撃が当たらなくなる【限りなく透明ブルースカイに近い殺意メソッド】という能力を使う。

 歳に似合わず殺し屋としての実力は確かだが、自身の攻撃を防いだ卓也に方法を聞くなど精神面はまだ完成には程遠い。



・6番=セイス…周囲の人間を草原のような異空間に飛ばす能力を持つ。また、5番と7番と手を組み卓也殺害の確実な遂行を目指した。

 卓也との戦闘中はボウガンを使い、スィンコのサポートに回ったが、一人ずつ確実にやられていってしまう。



・7番=シエテ…物体を霧状に変える能力と槍の組み合わせで卓也に襲いかかるも、5番を庇うために卓也に捕まり無力化された。女子殺し屋トリオの中では最年長の、頼れるお姉さん。



・8番=オチョ…八人の殺し屋のまとめ役。と言っても、カードで引いた能力がサポートに向いているという理由だけで選ばれたに過ぎない。しかし、成功報酬ひとり三千万円という破格の条件を提示したクライアントのため、前向きに役目を引き受けた。

 卓也殺害の実行日は、喫茶店で殺し屋たちのサポート兼クライアントからの要求の1つであった経過観察をするためスタンバイしていた。ところが卓也に真っ先に狙われ、1番早くにリタイアしてしまう。普段の殺しの手口は不明。



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