第292話 【第7章の登場人物 前半】※7章を見た方用

【登場人物】



・塚田 卓也…本作の主人公。あらゆるモノの数値を操る能力者。『幸せとは何か』を模索中。

 12月中旬、宝来の店主 玄田から『他人に能力を与える能力者』討伐の依頼を勧められるままに請けた卓也だったが、ターゲットと自分はお互いを狙う関係だった。

 12月18日、調査のためいのりと二人で出かけた帰りに、複数の能力者が卓也の家で待ち伏せしていた。彼らはある人物により三千万円の賞金が懸けられた卓也の命を狙う刺客なのであった。

 刺客を難なく退けた卓也はそこで、能力を受け取ったものの懸賞金目当てではないという二人の高校生から、自身に懸けられた懸賞金や『カードで能力と枷を配る能力』を持つターゲットの情報を得ることに。


 敵に自宅の場所が割れていた卓也は念のため駒込の計らいで特対へと身を隠すことにした。しかし仕事終わり、卓也と彼を尾行していた同僚の星野のふたりは謎のドローンの襲撃にあい怪我を負ってしまう。

 すぐに傷の治療を済ませた卓也だったが、このまま自分が会社勤めと任務の両方を行えば能力を持たない同僚の命が危ないと感じ、事件の早期解決と退職を決意したのだった。


 廿六木の協力により殺し屋たちが自分の命を狙っていることを知った卓也は、カード能力者の討伐と殺し屋討伐を同時進行する作戦を立てることに。

 クリスマスイブ当日。いのりと共に澁谷センター街を殺し屋たちを討伐しながら周り、八人居るとされる殺し屋を全員無力化したところで例のドローンが再び姿を現す。そしてドローンに導かれるままに辿り着いた先には、異能力庁のナンバー2と3が一触即発の状態で対峙していた。

 異能力庁ナンバー3であり、ネクロマンサー事件の裏で暗躍していた日高芳もとい【善斑芳】は卓也と少し言葉をかわすと、すぐに満足そうに帰っていった。


 その場に残された卓也は、異能力庁ナンバー2であり特対部長代理:鬼島正道の息子【鬼島修一郎】と話をし、裏で様々なことをしている善斑を一緒に止めてほしいと言われそれを受けることに。


 そしてクリスマスの朝。卓也は『能力を配る能力者』が殺害されたというニュースを見て同時進行していたもうひとつの作戦が主旨とは少し違う形で実を結んだことを知るのだが、その能力者の名前を聞き今回の一連の出来事を裏でコントロールしていた者の意図を察した。


 その後廿六木を呼び出した卓也は、彼女に自分の推理を聞かせる。すると廿六木は『善斑の企みを利用して、カード能力者:後鳥羽侑李を卓也に殺させようとしたこと』を白状するのであった。

 全ては特公職員である後鳥羽璃桜を卓也に討伐させ、その卓也を倒して自分が優れた能力者であることを証明するための土台作りである。


 廿六木に宣戦布告した卓也は表の世界との決別を惜しみながらも、自身の幸せのために障害を排除することを誓うのだった。



・南峯 いのり…テレパシー能力者。南峯財閥の令嬢であり、女神を身に宿す。自称卓也の一番の相棒。

 卓也が宝来で依頼を受けると自分に連絡が行くように細工をしており、カード能力者討伐に協力すると名乗り出た。街の調査は不発に終わるも、卓也の家で待ち伏せしていた刺客の心を読み、発言の信ぴょう性を担保するなど一見地味だが多大な貢献をしていた。


 殺し屋討伐作戦時は卓也から依頼し、いのりのテレパシーと女神のパワーにより敵を傷つけずに退けた。(ただし、自分の体型を揶揄した男だけは酷い目うわなにするやめ―――)


……卓也の周りで最もカワイイ。


 カワイイだけでなく愛情も深く、南峯家のクリスマスパーティーに参加するためタクシーで移動中、他人に甘えることができないという卓也の性質を見抜き、今後甘えることが上手くなるよう慈愛の抱擁でもって優しく包み込んだ。

 しかし、卓也へのアプローチが強めになった妹の紫緒梨に対してはムキになって接するなど年相応の面も覗かせた。


 卓也のクリスマスプレゼントが父の司に渡った際はそれを譲ってもらおうと交渉するも、中々首を縦に振らない父に業を煮やし―――――――喜んで譲ってもらった。



・南峯 紫緒梨…いのりの妹で、同じ聖ミリアムに通う初等部6年生。

 類稀なる絵の才能を持つが感性が特殊で、万人に受け入れられる絵が描けずにいた。本人はそれで良いと思っていたが、卓也との2度の出会いを経て『皆が良いと思える絵を描く』ように軌道修正される。

 それ以降、コンテストの結果のみならず周りからの評価も変わり、世界が少しだけ変わって見えるようになった。と同時に卓也が自分にとって無くてはならない存在であることに気付き、世話係の二ノ宮と一緒に彼を獲得する作戦を行う。



・竜胆 志津香…卓也が特対に身を寄せた際は連絡しなかったことに少し不機嫌になるが、事情を聞いて心配する。が、周りから見ると表情の変化には気付けない。

 新メニューのかき揚げを回し食いしたときは平然と振る舞いつつも耳が赤くなっていた。その後卓也と食堂長の過去話を聞いて、もっと食堂のメニューを味わって食べようと密かに誓う。

 自分では結構よく喋るタイプだと思っているらしく、駒込が引いていた。


 都内の大学には『竜胆語A・B(通年:4単位)』、『志津香概論Ⅰ(半期:2単位)』を教える教授が居るらしい。



・水鳥 美咲…特対のサイコキネシス使い。

 世間の能力者への偏見を無くすため、広報部隊の一人に選ばれた。その為一般人から絶大な人気を誇っており、一躍時の人となっている。スタイルの良さもあり、今度グラビア写真を出さないかというオファーまで来ているとか。インタビューなどにより彼女の正義感や本来の性格の良さが同僚職員(特に2課や3課)にも伝わり、外部のみならず内部の人気も高まった。

 普段友人たちから頼られることが多く、たまには誰かに甘えたいと思っている。が、卓也が特対に来たときも中々二人きりになれずやきもきしている。

 クラスメイトの結婚式に呼ばれたときに、同じく参加する友人たちから『ご祝儀っていくらくらい包めばいいかな?』って相談されるタイプ。



・風祭 なごみ…特対の職員で、閉塞的な環境にいるピース生の中でも屈指の女子力を誇る。と見せかけているだけの恋愛ビギナー。

 特対の廊下で後輩二人に恋愛のいろはを指導していたところに卓也が出現し、見事実践よわよわな醜態を晒した。後輩の生暖かい目は見てられない。



・和久津 沙羅…特対職員で、現在は異能力庁に出向中。能力を解析する能力で、ライセンス発行時の虚偽の申告を防ぐ役目を担う。

 特対外部の人間と触れ合い自分の在り方に疑問などを感じて疲弊していたが、街中で偶然卓也と会い夕食をともにする。

『飲みの席で愚痴を吐く』という、これまた外部の人間が一般的に行うストレス発散方法でメンタルを回復させた。同時に卓也の話を聞いて、自分以上に過酷と思える境遇にも平然と自ら対処していた姿に感銘を受ける。これからも一緒に幸せを探すという名目で飲みに行く予定。

 異能力庁で鬼島修一郎に声をかけられ、『塚田卓也と引き合わせてほしい』という頼みを受けたことを後日卓也に直接伝えたが、セッティング前に二人が会ったため必要がなくなった。


 極端に酒に弱く、アルコールの薄いお酒をサワーグラス半分も飲まなくても絡んでくるようになる。そのせいで卓也には絶対よそで飲むなよと釘を刺された。



・鷹森 光輝…特対職員で卓也のゲーム仲間。美咲と同じく広報活動をしており、世間(主に女子)からの人気は凄まじい。鋭い一面があるが、基本天然。

 卓也が職場の同僚とランチを取っているところに、パトロール中の光輝と美咲が近くを通りかかる。卓也は能力のことを隠しつつ二人との関係性を説明するのは難しいと考えスルーしようとしたが、光輝は気にせず堂々と挨拶をした。友人がいたら挨拶をする、当然の思考だ。美咲はおかげで同僚にチクリと一刺しかました。

 卓也が特対本部に身を寄せた際は自身の部屋へと招き、鷹森隊の面々とともにゲームを楽しんだ。そこで、窮地にも関わらず多くを一人で背負い込もうとする卓也に『もっと自分を頼れ』と言う。結果的にはカード能力者の件で頼ることは無かったものの、この言葉が卓也を変えるキッカケとなる。

 


・駒込 瓜生…特対職員。歳はまだ若いが、課の垣根を超えて皆に頼られる聖人。と同時に苦労人。

 懸賞金目当ての刺客に家に乗り込まれ困っていた卓也に、特対に一時宿泊するよう手を差し伸べ、手続きをしてあげるなど色々とサポートした。

 廿六木と卓也の話し合いネタバラシに半ば強引に参加させられ、廿六木の正体や卓也の置かれている状況を理解する。その上で卓也のお願いに応じ、この先困った時に手を差し伸べることを約束した。だがその前に、駒込の“ある悩み”を卓也に打ち明ける…



・藤林 驟雨介…特対職員。粒子を操る能力者。特対の広報活動によく使われており多忙を極める。

 本合三丁目で矢川が殺された際、たまたま近くをパトロールしていた為現場に駆けつけ卓也から情報提供を受けた。代わりに矢川の調査内容を卓也に横流しして貢献した。



・鬼島 修一郎…異能力庁の副大臣にして、特対部長代理:鬼島正道の実子。影で様々な企みを行う同僚の日高=善斑芳を以前から警戒している。

 今回、東京近郊で行方不明になった人の数と、善斑の息のかかった人間で能力に覚醒した者の数が急増した事を不審に思い、クリスマスイブの日にとある倉庫へ彼を呼び出した。そこで無理やり能力で真実を吐かそうとしたが、まさに衝突するというタイミングで卓也が乱入してきて三つ巴の状況となった。

 結果的には衝突はせず、善斑が去ったあと卓也といのりと話をし協力関係を結ぶこととなる。善斑に対しては『国の重要機関の中枢に置いておくのは危険すぎる』と、最大限警戒している。


 卓也の事は、彼が属託期間の特対での大立ち回りをした話を聞いたときから気にしており、和久津を通して会えるように仕向けていた。が、廿六木の思惑とはいえ倉庫にベストタイミングで乗り込んで来たことで会うことが出来、同時に“不思議な引力”を確信したのだった。



・玄田…町中華“宝来”の店主で、能力者に仕事を斡旋している。

 新しい世界で、民間に能力者の受け入れ先が生まれ“安全で高給な仕事”が増えた事で依頼をこなす能力者に困っていた。そこで卓也には、みだりに能力者を増やす能力者の討伐を依頼することに。

 依頼は結局警察の仕事ということになってしまったが卓也の働きはキッチリ評価しており、今後個人で活動する予定の彼のサポートをすると告げた。



・星野 ひかり…卓也の先輩社員で、社長室所属。営業部男性から絶大な人気を誇る高嶺の花子さん。その割に浮いた話のひとつもなく、外部に男の気配もないことから不可侵領域となっている。

 12月中旬、卓也が同僚とランチに行った際にパトロール中の美咲とバッティングし、そこで美咲に『自宅に行ったマウント』を取られ急きょ卓也の家に篠田と小宮が遊びに行くことになる。星野は小宮の付き添いで卓也の家に行き、料理の実力を見せつけた。


 卓也の家に遊びに行った日、皆より早く帰らなければならない星野は卓也に駅まで送ってもらおうとするも、その道すがらに炎の能力者にナンパをされる。初めて目の辺りにする“超能力”を前に恐怖を覚える星野だが、それをあっさり退けた卓也に対し只者ではない気配を感じた。

 それ以降卓也の事が頭から離れずにいた矢先、自宅とは違う方向へと帰っていく彼を発見し尾行することに。そこで卓也が能力者警察組織、特対本部へ入って行くところを発見してしまう。なぜ卓也の秘密を暴くような真似をするのか…自分の気持ちが整理しきれないまま尾行を続けたところ、特対本部前で襲撃され怪我を負ってしまった。

 怪我自体はすぐに治療してもらい精神的な傷も無く済んだのだが、この件がキッカケで卓也は表の世界=会社から離れる決断をすることになる。


 その後卓也が社長と退職についての話をしているのを聞き、自分に原因があることを察し珍しく取り乱した様子でそれを拒んだ。しかし卓也の決断が変わりそうにないこと、逆に感謝をされたこと、そして今後も家に遊びに来てほしい(?)ということを聞き受け入れた。


 ストーキングをしてしまった理由、辞めると聞いて感情が昂ぶった理由、もう小宮のことを応援していない理由は分かっていない。



・三口 美園…都内の進学塾に通う高校3年生。能力【味を変える】NG行動【自分の年齢の数以上の階層に行けない】

 模試の成績の事で母と折り合いが悪くなっているところに声をかけられ、カードを引き能力者となる。戦闘向きの能力では無かったが、NG行動を踏んだときのペナルティを確かめるため卓也討伐作戦に参加した。

 ペナルティの内容が死だと分かり卓也に交渉を持ちかけるも、決して自分が優位に立てることはないと悟りお願いに切り替える。話を聞き能力解除に協力してくれることになった卓也から、能力は使わずNG行動に気を付けながら普段通り過ごすよう指示を受けた。


 カード能力者の死亡後卓也と連絡を取り、能力と枷の消失を報告した。また母の言う通り大学進学することに決め、そのことについて自分の夢が浅いと卑下するようなことを言うも、卓也に『自分が選んだ道を正解にすることに集中しよう』と励まされた。



・末吉 来也…三口と同じ進学塾に通う高校3年生。能力【空間転移】NG行動【体温が40℃を超える】

 昔から母に虐待まがいの扱いを受けており憎んでいた。そんな時学校の帰り道に声をかけられカードを引いてしまう。

 様子見のつもりで卓也の家に行こうと準備をしていたところ、些細な会話からこれまでの不満が爆発し能力で母親を殺害してしまった。三口から卓也への説明が一通り終わった段階でそのことを自ら暴露し、大人しく特対に捕まっていった。そのついでに三口が襲撃者の中には居なかったという偽装工作に一役買うことに。

 塾の同じクラスというだけでロクに会話もしなかった三口が、卓也家襲撃の際に『危害は加えないように様子見だけしようね』と気遣ってくれたことに少なからず感謝しており、庇うような行動に出た。



・須藤 亮二…能力【右手で触れた物を半分に割る】NG行動【教えていない相手から名前を呼ばれる】

 卓也の家に襲撃してきた六人のリーダー格の男。右手で掴んだものは対象の硬さや材質等に左右されず半分に割ることができ、その能力で自分の恋人を奪ったヤクザ(矢川 辰彦)を殺害した。

 ヤクザを殺したその足で塚田家に向かうも、ちょうどすれ違い留守にしておりその日は失敗に終わる。翌日改めて家で待ち伏せをし、調査(デート)から帰ってきた卓也といのりを六人で襲撃しようとするも返り討ちにあう。その際卓也の能力で名前を見抜かれ呼ばれてしまった事でペナルティが発動。全身が結晶化し砕け散ってしまった。



・矢川 辰彦…炎を操る能力者。親がヤクザの若頭で、その威を借りて好き勝手していた。

 昔から我儘で傍若無人な振る舞いをしており周囲から疎まれていたが、本人は微塵も気にしないような性格だった。能力が公表されると親にお願いし、真っ先に覚醒サービスを受ける。そして僅か数日で能力が発現するという天才ぶりを見せた。

 能力を身に付けてからはそれをチラつかせ、気に入った女性を脅しては手を出していた。須藤の恋人もそれで奪い、ビデオや写真で脅して飽きるまで付き合わせていたが、同じく能力を身に付けた須藤本人に報復される。生きたまま体を真っ二つにされるという凄惨な最期を迎えた。自業自得だが。



・郷田…食堂長。かつては長野で大衆食堂を営んでいたが事故で店と家族を失い、自暴自棄になっていたところにかつての超対部長代理に声をかけられ本部の食堂で働くことに。

 その後能力を持つ子どもたちが危険な戦場に送られていることを知り、一度は超対を辞めようとした。が、栄養もボリュームもないメニューに不満を持つ職員の声を聴き、抜本的な改革に打って出る。以降本部の食堂は素晴らしい料理が安価で食べられる場所となったのである。

 試作品をと卓也に渡した天ぷらを志津香と二人でシェアしたという話を聞き自分の子供たちの姿を彼らに重ね、自分の身の上話をした。職員が食堂のありがたさを認識していなくても、これからも彼らの為に美味しい食事を作ることを決意している。








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_________


あとがき


あまりにも長くなりそうだったので分割にしました。


しょうもない自画自賛…? なんですが

食堂長の名前を忘れたので調べようとエピソードを読み返していたら、食堂長の過去話がけっこう良くできてて驚きました。

あれ、ゴーストライター頼んだっけ?

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