第55話 持つべきものは警察の友達だよな
最後のゴリラに襲撃されてからおよそ10分、次の追手が来る様子は無い。
一先ず攻撃は止んだと思われるが、コイツらが【全ての財宝は手の中】のメンバーだと知ってしまった以上残りのメンツを潰すまで100%安心は出来なくなってしまった。
とりあえず4人には弱体化を施した後に縛って部屋の隅に置いておくことにした。
ちなみにまだ気を失ったままだ。
ひとまず俺たちは血塗れの洋服から着替えて、身なりを整えることにした。
あの格好のままじゃろくに外も歩けそうにないからな。
そういう意味では昼間洋服を沢山買っていた白縫やいのりは着替えの選択肢が多くて良かったと言える。
なにせ配送業者に預けてもなお、手元にはまだ3日分くらいは着替えがある。
汚れてしまった服は…もう着れないかもな。残念だが。
あと、部屋の破損箇所はあらかた直しておいたのでいいのだが、そこらじゅうべったりの血糊はどうにもならなかった。
従業員が見たら卒倒もんだ。
そして現状で最も深刻なのは護衛対象の白縫が、先ほどからソファで震えながらうずくまって動かないことだった。
しかしそれも無理はない、彼女は酸素女による攻撃だけではなく、最初の変身男に銃弾まで打ち込まれていたからな。
ダメージは無くても恐怖で動けなくなるのも仕方のないことだ。
一方その白縫を横で慰め続けているいのりは流石だ。
彼女は一度誘拐もされているし、それ以前から危険な目にあっていてもおかしくない身分だ。
メンタルが据わっているのだろう。
更に愛は護衛としての役割も果たす使用人だけあって、咄嗟の判断力や冷静さは抜群だ。
無事に帰るためには彼女の力が必要不可欠だ。
しかしとりあえず、これからどうしたもんかな…。
コイツらの処分に白縫の安全確保、どちらも難しい問題だ…。
特に、コイツらは何故白縫の命を狙うんだ?
確か、何とかのナントカっていう宝石を狙ってたんだよな。白縫がソレを持ってるとか?
「…」
白縫の方を軽く見てみるが、やはり今の白縫にそれを聞くのは難しそうだな。
コソドロの誰かが起きたら聞き出すしかないか。
いのりの能力もあるし。
それより現状を何とかする一手だが、余り頼りたくはないがやはりアイツに相談するのがベターだろうな。
警察なら何かしら情報を持っているだろうし、何より俺たちがここから出るためにはもう普通にエントランス出入り口からというわけにはいかない。
これだけ部屋が血塗れで、かつ"無傷"だ。
これはもう能力を知っている警察の協力が不可欠だ。
そうと決まれば、早速"心の友"に電話だ。
あ、もしもし…?
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