第5話『幸せ、最強夫婦』

 私達の結婚式は、それはもう盛大に執り行われた。


 お父さんとお母さんは貯金でなんとか、なんて言っていたけれど、全額国が負担してくれた。

 というか、国民が、俺が私がなんて挙って援助金を出してくれた。本当に、感謝してもしきれない。


 ウエディングドレスを着れるなんて、本当に夢みたいだった。

 真っ白で、ふわふわで、煌びやかで、幸せに包まれて。

 今でも笑っちゃうわ。

 クディアったら、誓いのキスの時、緊張してかなりの時間を硬直しちゃって、それはもうみんなクスクス笑ったり野次を飛ばされていたわ。

 最強の勇者様が一体何をやっているんだかね。


 本当に、本当に幸せ。

 沢山の祝福を受けて、嬉しい気持ちが止まらない。


 二人の家を建てて、新しい生活が始まって。

 新しい家族をいつでも迎え入れられる準備ができて。

 順風満帆――それ以外の言葉が当てはまらなくて。




 だけど、だめね。

 やっぱり私達は。


 


 結婚式の後、新婚旅行より先に私達は自分達が受け持つ部隊の前に立っていた。

 国を守るため、守れる人を守れる力をつけるため、立ち上がる人達のため。


 私達は、根っからの人好きなのかもね。




 その後、私達夫婦はこんな呼ばれ方をした。


 おしどり夫婦もとい――【最強夫婦】、だなんて。

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女聖騎士と最強勇者~戦いの最中自分の心に蓋をした聖騎士は、全てが終わった後に感情の蓋を開ける~ 椿紅 颯 @Tsubai_Hayato

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