第8話 十七分先の未来まで君と

「桃倉、こっちだ!」


 遠くの方で、大好きな声が響いたのはその時だった。


「走れ!!」


 目の前でまばゆい光がぱんっと音を立ててはじけて飛んだように辺りはその明るい色に包み込まれた。


 気付いたら、誰かに腕を掴まれ、全力で走り出していた。


 心地よいほどの勢いで風を切る。


 前方から飛びこんでくる光で前はよく見えなかったけど、それでもその腕の温もりに涙がでた。


「あいつらの次の地点は……そうだな、十七分後に北北西の1.3キロ離れた川沿いの橋の下に隠れている。すみやかに回り込め」


 後ろの方で、淡々とした声が聞こえた気がした。それでも私は必死に走り続けた。

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