第6話 君のいない世界で私は
白ちゃんが学校を休むようになったのは、それからだった。
四日目になり、こんなに続けて休むなんてありえない。
そう焦る私が耳にした言葉はもっとありえないと思える現実だった。
「桃倉、廊下を走らない!」
「せ、先生、白ちゃんのこと、知ってますか?」
担任の
頭に激痛が走った。
その後の先生の言葉はよく覚えていない。
バカなことを言ってないでそろそろ本気で進路のことを考えろと言われたような気がする。……そんなのどうでもいい。
気づいたら裏庭に出ていた。
ここではいつも白ちゃんがスケッチを続けていた場所。
今はそこに、誰の姿もない。
「ど、どうして……」
何もかも信じられなくなってしゃがみ込む。
『秋月白夜? 何年生だ?』
先生も、やっぱりそう言った。
白ちゃんのクラスメイト同様、彼のことを知らないと言った。
頭がおかしくなりそうだった。
「ど、どうして……」
白ちゃんの存在が、誰の中でもまるで存在してなかったように扱われている。
頭を抱えたら泣けてきた。
「どうして……」
「桃倉さん? まだ授業の時間でしょ?」
探していた声がきこえた。
私は涙を必死に堪え、振り返った。
きっと、この人に話さないといけない気がしたから。
だから、真っ直ぐに志木先生を見た。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます