8月4日 鍾乳洞を探索する。
相変わらず目が覚めても世界は変わらない……いや、変わったままだ。
どれだけ寝たのか知らないが目が覚めたので、ベッドから起きあがりどうするか考える。
だがこれというものは浮かんでこない。なにしろ明確なクリア条件が提示されていないのだから当たり前だ。下手したら一生ここにいる羽目になるかもしれない。
そう考えると怖くなって来たので考えるのを止めてストレッチをする。近くで採掘をしていた小型パンダたちは、俺の動きが気になったようで少しすると集まって同じような動きをし始める。可愛い。
ベッドが邪魔だと思ったようでベッドの足を蹴った。するとベッドは煙を上げて小さくなる。ああやって小さくするのかと思いながらストレッチを続行。
暫く続け、体がほぐれたので動きを止めてサムズアップをすると、小型パンダたちも同じポーズをして採掘に戻って行く。喋れなくても多少意思疎通が取れるようで良かった。
つららみたいになった水晶が、あちこちから生えている幻想的な風景に魅了されなんとなくそのうちの一つに触れて見ると、何故か水晶が反応し始めた。
「おわっ!?」
反応したのにも驚いたが、小型パンダたちがすっ飛んで来てその水晶の根元につるはしを叩き付けて削り始めた。一体何が起こっているのかと呆然としながら見ていると、凄い速さでその水晶を採取して小躍りしながら喜んでいる。
説明を求めたところで言葉が通じないし、せっかく喜んでいるんだからそっとしておこう。そう考え小型パンダたちを放置し一人散策を開始した。
鍾乳洞がずっと続いて行くのかと思いきや道なりに進んでいくと、急に掘って開けたような穴が現れその先に誰かに造られたような場所が現れる。
壁も地面も天井も石で埋め尽くされた学校の昇降口くらいの大きさの穴を通って中に慎重に侵入した。取り合えず罠はないようでほっとしつつ辺りを見回すと、ここでもたいまつが小刻みに置かれていて明るい。
灯りが置かれていることを考えると、ここにも誰かいるのは間違いない。居なかったらそれはそれで怖いけど。
手の込んだダンジョンだなぁと思いながら警戒して道なりに進んでいた時、左脇に木の扉が現れた。
見た感じ古ぼけていてしっかりしまらないのか少し開いていた。壁に背を当てながら少しずつ近寄ってみる。誰かが居る気配はない。
俺はもっとよく中を見るために勇気を振り絞って恐る恐る足でその扉を開けてみる。ギギギと音を立てながら扉が開き始めた。鬼が出るか蛇が出るか……!
「何だコラァ!」
心臓が止まりました。
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