第7話
「蒼い〇〇」7
バイクを停めて二人で歩き始めた。
俺は他愛も無い事を喋りながら歩いていて女が返事をしない事に気付いて振り返った。女は三十メートル位後ろで立ち止まっていた。俺は何かあったかと思って走って戻った。
「どうした?疲れたか?大丈夫か?」
女は俺の右手を掴んで建物に入った。
「ここラブホテルじゃん」
俺は動揺した。
「うん、少しで良いから休もうよ」
「え、あ、う、うん」
女の積極的な姿勢にびびった。こういうのはもっとドラマチックだと思っていたからである。
部屋はエンジのペーズリー柄の絨毯で大きなベッドがあって丸見えの風呂でデカいテレビで…女が抱き付いてきた。
俺は望んで居た事が起きたが動揺を隠せなくてでも女を抱き締めた。
「俺…初めてなんだ…」
女は俺の頬に手を置いて少し微笑んでからキスをしてきた。俺は唇に力を入れてどうやって動かしていいのか解らなくて…笑ってしまった。
女も笑ってくれた。
「ごめん…あたしが変な空気作っちゃった。楽しくしよ」
「いや、ごめん」
「好きな人とは楽しくエッチしたいな」
「大丈夫かな」
「大丈夫だよ」
そう言いながら女が俺の服を脱がしてくれた。
俺を裸にして自分も裸になった。
初めて見る女の身体に緊張して女の乳首をジッと見つめてしまった。
「なんでおっぱいばかり見るの?」
「あ、ごめん…どこ見て良いか解らなくて…」
女は優しく微笑みながら俺の目をジッと見つめた。
「あたしね…人を殺しちゃった」
「確かに俺は殺されたようなものだね」
「違うの…本当に人を殺しちゃったの…それで逃げてあそこの公園に居たの…もしかしたら貴男が居るかもしれないと思って」
「まじか…」
「ごめんね…だから貴男に奇跡的に逢えて嬉しくて最期に貴男とこうして一緒に居られてあたしは後悔しないよ」
「俺はバイクもらって最初にアンタを後ろに乗せて走れたら最高だなって思いながらあの公園の前を走ったんだよ」
「これって奇跡だよね」
「奇跡だな」
「アンタが殺した男はヒモか?」
「違う。友達がレイプされそうになったから後からアイスピックで刺したの」
「アイスピック位じゃ人はなかなか死なないぞ」
「え?」
「致命傷を与えないとアイスピックじゃなかなか殺せない」
「俺は刑務所に入ってた」
「そうなの?」
「お互いに傷を持ってるな」
女は俺の身体中にキスをした。
「お互いの傷を舐め合おう」
「そうだな」
俺は女をベッドへ寝かせてお互いに身体を舐め合った。
初めて他人の身体に触った。
他人の血の暖かさは憶えていた。
弱々しいこの目の前の身体には数え切れない程の傷を負っていると思うと大事にしなくてはと思った。
だが、女は俺に跨がって俺を中に入れて激しく腰を振って俺は直ぐに爆ぜた。
「ごめん…いった」
「気持ちよかった?」
「気持ちよかったけど中にいってしまった」
「残念だなぁ」
「なにが?」
「ピルを飲んでるから子供出来ないと思う」
「ピル?何それ」
「子供出来なくなる薬」
「そんなのあるの?」
「貴男の子供なら産みたい」
「まじか」
俺は女を抱き締めた。
キスもなれてお互い舌を絡ませた。身体も上手に絡ませた。全身で女の体温を感じ取れてこんなにも暖かかったと幸せを感じた。
つづく
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