第4話
「蒼い〇〇」4
あたしの歌の歌詞はノイズに消されていく
弦から流れ出すメロディは都会の渦に巻き込まれて
誰の耳にも届かない
闇の中に浮かぶ小さな光に向かって歩く
誰の耳にも届かない
口笛を吹きながら小さな夢を持って歩く
あたしは中野のレコード店のバイトが終わると毎晩新宿アルタ前でオリジナルをアコースティックで弾き語りをしていた。
売れない適当な男が経験値を求めて彷徨い歩きレベルの低いあたしで遊んだ。
あたしはあたしなりの経験値を求めてその誘いに乗って脆い夜の橋を歩いた。
そして、ギターもキャリーバッグも無くなって手も足も口も何かに繋がれて操られて小さな自意識が微かにかくれんぼしている。
マサシさんの横にいつもいる男が掃除をしている部屋に入ってきた。
奥の部屋を掃除している少し太った女の子の髪の毛を掴んでその場に押し倒してレイプし始めた。もう一人の女の子は恐怖で何も出来ないで呆然としている。
あたしは後から近付いてだらしのない男の尻にアイスピックを突き刺した。それから何度も何度も何度も何度も何度も男の身体中に突き刺した。暴れる男を太った女の子と呆然としていた女の子が押さえ付けた。あたしはそれからも突き刺した。
男は痙攣し始めて泣きじゃくって藻掻いている。
アタシ達はコンビニの袋にそれぞれの荷物を入れて部屋を抜け出した。
高田馬場駅まで三人で向かった。
太った女の子は警察へ行くと言って明治通り方面へ徒歩で向かった。
呆然としていた女の子は実家に帰ると改札へ向かった。
あたしはあの公園へ向かったー。
誰もいないベンチに座り紅く染まるビルの谷間を見ながら涙がたくさん出てきた。唇を噛み締めながらでも涙は我慢できなかった。
「自分が悪いんだ自分が悪いんだ自分が悪いんだ自分が悪いんだ自分が悪いんだ自分が悪いんだ」
呟きながら自分を責め続けた。アイスピックで突き刺した感触が手に戻ってきて薄らと残る血痕を見て震えが止まらなくなった。恐怖と絶望とこれから何が起こるのか解らない不安感に苦しくて息が出来なくなってベンチに寝転んで蹲った。
つづく
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます