第1章 覚醒~脱出 12 仲間 4
《ルイスラッド》
一休みして頭が回る様になってきた。
姫様の暴走に巻き込まれると考える暇が無くなるから困ってしまう。
これ程の暴走だなんて考えもしなかった。
手鎖も外され自由になったのだし、色々と考える暇が出来た。
捕まってからの姫様の様子は以前と違い思慮深く周りにも気を使っていた。
感情が高ぶると暴走するのは変わらないのだけど、思慮深さが加わって、的確に暴走すると言うか、どこまでも暴走してしまうという感じで、付いていくのがやっとの思いだった。
あの姫様の力については、姫神子の力だとスゥは言ってるけど、彼女は何か確信があるようだ。
でも、ソアラ様にお願いされたのは僕らも同じなのだから。
その姫様は未だ目を覚まさないが、何もせずに待っている訳には行かない。
この先の方針だけでも立てないといけない。
それに大人達がどこまで信用できるのか確認しないと駄目だろう。
「ノルン先生、他の人達はどうしているんですか?」
ノルン先生の疑問を躱していた、ミル姉に代わって話し掛けます。
「今は入口を片付けて、外に出られる様にしているよ。あえて子供達に手を出そうとするものは居ないだろう。監視していた兵士達も逃げ出しているからね」
「兵士達は戻って来ますか?」
「必ず戻って来るよ。あの台座が飛行石の一種だと彼等も承知している。実験は諦めても、アレだけは絶対に回収に来るだろう」
それではここから逃げないと又捕まってしまう。
それも、出来るだけ早くしないと、でもどうすれば?
「早く逃げようぜ!もう捕まりたくないからな」
「そうだね、セラ達が起きたらすぐにここを離れよう!」
「二人とも待って!子供の足では大して逃げられないわ。浮島から離れられないのだし」
「この浮島は広そうだし隠れる場所なら幾らでもありそうだぜ」
「かくれんぼ遊びじゃないの!何日も何日も逃げ続けるの、水や食べ物をどうするの?」
ダン兄さんやミル姉の慌てた動きをスゥが諌めてくれる。
こういう時は頼りになるね、彼女は。
「ノルン先生。どうすればいいと思いますか?」
「前にも言ったけど、大人達は故郷の家族が人質みたいなものだから、積極的には助けられない」
「先生も?」
「私は今さらかな。家族も故郷と一緒にね・・・」
「・・・ご免なさい」
「十年も前の事だよ、気にしないで良いよ。でも、どうやって逃げたものかね。彼等の飛行船は使えないだろうか?」
ノルン先生の疑問にみんなで顔を見合わせる。
どう話したものか。
姫様と繋がっていた時に、姫様の見たものが伝わってきたので、逃げた1隻を除いて飛行船が全て浮島に墜ちたのは知っている。
でも姫様はどうやって外を見ていたんだろう?
まあ姫様だからね。
「ノルン先生、飛行船は仲間を呼びに行った1隻を除いて全部壊れています。何故分かるか、とかは説明出来ませんけど・・・」
「フム、飛行船は使えないのだね。では本当にどうしたものか」
ノルン先生はあっさりこっちの話を受け入れて先に進めてくれた。姫様が懐くだけあって、懐が深いと言うのだろうか、頼りになる。
「姫さんに頼んでさ、あの台座ごと空に逃げたらいいんじゃねえの?」
ジルの突拍子もない意見が出たのは、その時だった。
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仲間視点。
ルイ兄さんはセラが不在時の舵取り役。
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