第1章 覚醒~脱出 10 暴走 2

襲い掛かる大量の機材に巻き込まれる様に、指揮官も兵士達も吹き飛ばされました。


残念なことに、あいつらには運良く、後方の入口から外に叩き出され、大量の機材は扉を巻き込んで入口を完全に塞いで止まってしまった。


大広間の中に兵士達は残っていませんが、周りから兵士達が集まってきましたね。

次々と拒絶の感情で遺跡の外へ吹き飛ばします。

遺跡の中から兵士達を追い出すと拒絶の感情が落ち着きました。

あの指揮官の様子をと思うと、その周囲に《視界》が飛んだ。

便利だね、これ。


見えはするけど、拒絶の感情でもあの斥力の《力》は遺跡の外には及ばない様ですね。

残念。さらに残念だけど指揮官は生きていて、兵士達に抱えられながら逃げている処でした。

でも、こちら側を睨み付ける目は憎悪に満ちていて、その意思をはっきりさせていた。

憎しみなら私の方が上だとばかりこっちからも睨み付けていましたが、ふと、向こうからは私が見える筈もないのに気が付いて、気が抜けてしまった。

何をやっているんだかね。


そこで漸くみんなが私と繋がろうと、心を拡げているのが判りましたけど、今の殺意に満ちた私には触れられたくありませんね。

あのシェーンガルトと言う指揮官は絶対にこのままでは済ませませんね。

多分飛行船で空から遺跡ごと私達を潰しにかかるでしょう。

遺跡の中には近付けないのですから、私ならそうしますからね!


草原の側の駐屯地に意識を飛ばし、飛行船の集団を《視界》に納めます。

あの斥力の《力》は遺跡から外では使えませんでしたね。


さて、どうしたものか?

意識の中にはこの浮島を支える飛行石も繋がっているのが判りました。

この飛行石も今や私が操作できますね。

しかもこの飛行結晶の力も合わせるならば・・・。


あいつらの飛行船が飛び立つ準備を進めています。

私も準備を進めています。

飛行結晶から繋がっている浮島の飛行石にも心を拡げて、一瞬で掌握して操作出来る様にね。


あっ、ちょっと心がぐらつきましたね。

怒りと薬の作用で意識が保っているだけで、無理に無理を重ね続けていますから。

でも、もう少し頑張らないとね。


飛行船団が飛び立ち始めました。タイミングが重要です。

全部の飛行船が飛び立ったのを見て、全ての飛行石と飛行結晶を操作して、浮島を一気に浮上させようとします。

でも、・・・維持できません。

心を拡げているのが難しくなっています。

あいつらを逃せばみんなが危なくなるのに!


・・・フッと背中を支えられた感じがします。

右からも左からも、気が付けば周り中から支えられ暖かい感情が流れ込んで来ます。

みんなが私に心を繋いで来たんですね。


ミルお姉さんの力強い思いが力を与えてくれます。


スゥお姉さんの聡明な想いが落ち着きをを与えてくれます。


ネネちゃんのいたわる心が私を温めてくれます。


ダンお兄さんの溢れる気持ちが勇気を与えてくれます。


ルイ兄さんの確固たる意思が考える力を取り戻してくれます。


ジル兄の陽気で自信に満ち溢れた心が活力を与えてくれます。


そして私に寄り添うマリの心が私に自分を取り戻させてくれます。


今までの倍以上の圧力があったのに、みんなは良く私に心を繋げて来れましたね。


でも、もう大丈夫です!


みんなに支えられて、私は浮島を一気に浮上させます。

今度は先程とは勢いが違います。必死に飛び立とうとする飛行船に、次々とぶち当てて行きます。相手からすると浮き上がろうとしているのに、逆に墜落したように感じるでしょうね。

ですが、先行する何隻かが必死に浮島から離れようとしています。私も飛行結晶を操作して浮島を加速させようとします。

クッ、最後の1隻に躱されましたか。

ギリギリで外に出た飛行船を追い越して、浮島は高度を上げて行きます。

浮島は更に高度を上げてから緩やかに上昇を止めました。

唯一逃れた飛行船は高度を下げつつ離れて行きます。

このままではすまないでしょうね。

判ってはいますが、これ以上は意識を保っていられません。

おやすみなさい。











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《視界》

セラのチート能力その2

みんなの力添えとは姫神子を支える眷属の力。


但し、眷属に思い至ったのは2章過ぎてから。

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