2024年 笹井宏之賞応募作『花輪を編む』
不可思議な言葉を投げて形づくる世界はきっと素敵になるよ
まんまるの言葉をあげる君にならちゃんと届く気がするよ
温かい言葉を心にふんわりと浮かべてみてもいいかもしんない
ぽんやりと生きているんだ僕達は そして優しい世界に行くんだ
現実は幸せしか持ってこない そう念じて今日も生きる
藤棚の下で笑う君と二人 きゃっきゃと声をあげて走る
家族以外の誰にも優しくされなくても 優しくあれる? 子どもの無垢
その気になれば簡単に被害者になれる でもならない そうやって生きる
E.T.が私をずっと守ってくれた 優しいあのこの胸で眠る
お母さんを大事にしよう 誰よりも優しい私のたった一人の
本能を否定しては生きていて 苦しみばかりを引き寄せるのかな
美味しいものをたくさん食べて大きくなろう 眠たいときに眠ろう
遠慮ばかりしてたら大きくなれないよ もっと自分のパイを取るんだ
弱くて 芸術と勉強ばかり得意で 運動神経は悪くて いつも眠たかった毎日
会話が苦手 現実的な処理が苦手 ぽてぽて生きていた 丸くなって眠る
おなかすいた ねむたい ふえん なく 今日はあんまりよくない日 だね
存在がフィクションみたいな弱々しさ しかしどっこい生きているのだ
どれくらい 生命として弱くても生きていけるかの実験体です
わおわおわー 意味ない言葉を呟いて 空気に溶かす バタフライ効果
桃色の思考をほんわりまとめては わたあめみたいに食べている春
10回に1回はダダ漏れの人と乗り合わせるよ でも静かにしてる怖いから
気持ち悪いって思うこともあるよ バケモノが暴れる時間もあるよ人間だもん
どんな浮かび上がりもよくないね 地平線に佇んでいよう
運悪いところですっ転ぶ人たちに花束を差し出す簡単なお仕事
妹の冷静なところを頼ってる しかし私は爆弾でいよう
君たちの大きな声にはうんざりだ 僕は静かにワカメを食べよう
たったかた 歩いてねむねむ たったかた もうすぐお家だがんばるぞ
みうみうと鳴いて甘える子猫のまんまで生きたいとつとに思う
かんわいいお洋服を着てお仕事に行くんだほんとは海に行きたい
壮大なことは私の頭には入らない 四畳半で暮らす
四畳半の窓から海を眺めてる 虹色のうねりが流れているところ
抽象は具象のためにあるのかも もんにゃりとねじれる二つの軸
ほんとうはとっても優しくて可愛いの ひょっとこの仮面をつけて踊る
ばかなふりして笑わなくていいよ 君は賢いよ誇っていいよ
かわいこぶりっこして嫌われたことにはなってるほんとは素
猫が二匹こっちを見ていたので今日はいい日ということにしよう
ぽわぽわと思考を浮かべる重くなる 掴まらなくても浮かべたらいい
共感も武器だと思ってた 戦場の世間を渡っていくための
戦争を起こす気概に溢れてた 刺激こそが生きる目的
悪意と技巧それだけがコミュニケーションだと思ってた時期
チョコレート食べたらふわふわ夢を見る 明日の空に続く図書館の
ぼんやりとした輪郭の夢の中 たった三人の肉親を探す
おままごとみたいな恋をしていたの 偽物の ブリキでできた
虚構なんてどこにもなかった どれだけ歩いても現実ばかり
ソーダ色した空にさくらんぼ浮かべてみたら明日もハッピー
自我の玉 当たりですか?ハズレですか?ハズレでもそれで生きるの
不真面目な生き方をして自傷した 藍色のもったりした流れ
華やかなお菓子の箱が空っぽで ただ捨てられる運命にある
ハイトーンの靴下を履く 足が少しだけ軽くなる
もあもあと雲が流れる僕達はきっとどこまででも行けるよね
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