2024年 6月

梔子の帽子を被って少女たちは笑いながら海へと駆ける


少年は愛に生きて愛と共に死んだ愛する人に知られないまま


赤ちゃんの頃に感じていた気持ち 温かい光に満ちた


人生の隘路にはまったかもしれない 心の羅針盤よ動け


読むことと書くことだけがしたいこと 知らずに体が動くことで


生活はセロトニン 人付き合いはオキシトシン 仕事はドーパミン そゆこと


悲しいことがあっても愛に戻ろうね 神様はそこにいらっしゃるから


たくさんの映画が私に囁いた ここは愛の源の世界



妹に私は何色めいているか訊く「うすピンク」胸を衝かれる



おとなしい受け答えしかできないの 春はあけぼの 夜は金糸雀


きっといつかたどり着くはずの世界に一足先に行ってみたよ


静かな性質を持っている そのままの自分で生きていこうと思う


たらこパスタをうまうまとコンビニのイートインで食べている


女性専用車両は空いている比較的の話だけれど


耽美と青春を愛している 幼さと可憐を抱きながら


まっさらな世界に放り込まれてわたし どうしようかと考えている


現実は夢幻のようなもの 向こうに無が広がっている


保育園にぞろぞろと帰る幼児たちの列 ぱやぱやとした話し声



生見愛瑠のたましいが好きだなと思う まんまるで可愛い


ぽやぽや何か言っている妹が可愛くて笑ったら「あん?」と凄まれた


荒々しい側面をなるべく人に向けないように生きてきたのは無駄だったのか


卑しくていじわるな部分がぎゃはぎゃはと他人の欠点を見て笑っている


隙あらば死にたがる人格がいる 乗っ取られないように気を張る


もうとっくに私の人生の賞味期限は来ているのではないかと感じる


出がらしのような魂を薬で抑えている 温和にしている


文学を愛したことは忘れない 本の中にしか居場所はなかった


温厚と酷薄のはざまで 酷薄だけを削り取ろうとしていた


悲しみという感情を流れるままに任せておく いつか成仏する


可愛いお顔の俳優さんがちゃんと評価されるように祈る


花を綺麗だと思えるうちは大丈夫ですよと老人が云う


ひんやりとした窓に近づいて夜の気配を閉め出していく


さわさわと揺れる木々が生い茂る中を歩いて家まで帰る


何をそんなに抗う必要がある 君の人生は目の前にある


きれぎれの記憶をぼんやり思い出す 場所ばかりが浮かび上がる


人間と話すことは嫌いだが人間と共にいることは好きな人外



恋愛をしてみんとてするなり …誰かよい人はいないものか


恋愛の好機は未だやってこず 私は一人仕事をしている


心優しい平凡な人がいい どこにも無理のない人がいい


急がない 急ぐは不幸の始まりだ ただ流れのままに生きる


かつて他人だったことがある 幸福になりたいなりたいのです


神の国は心の中にあるのだと囁いてくれる人を求む


幸福のボルテックスの中にいる人たちの輪に入っていく


一人ぼっちなわけがないのだ昔から人の中で生きている私



むいむいと書類をひたすら読んでいく 僕らは生まれてしまったわね


思春期をやっと終えることができるかも 人よりゆっくり歩いている


逃げると立ち向かうなら 立ち向かうを選択していきたい春


自分一人で立ちたいならコミュニケーションが必要不可欠


面白い小説を書くためにわざと苦難の道を歩く


だいたいの人は仲良いのが大好きよ だってそういうふうにできているから


ほにゃほにゃとした部分とぱきっとした部分でできている


否定ばかりは幼い頃で卒業よ これから頷きの時代なのよ



ハッタリと嘘で生きていく覚悟はある? 長髪の少年がこちらを覗きこむ


動画アプリ飽きて解約してからまた観たくなる現象is何


黙々と書類の正誤を確認し 合間あいまに想像をする


想像は創造なりや僕達は常に未来を創造している


片脚の鳥のようにちょんちょんと現実に触れて歩いている夏


キリがいいところで手を止め弁当を食べる アイスがほしいほしい


人生は波乗りみたいなものなので恒久の何かというのは存在しない


平凡な人は平凡を演じている どの人も一皮剝けば限りない深淵


愚か者についてやたら論じているある経営者の愚かさを思う


敵を作るなんてもう古いよ君 時代は共感そして高揚


自転車を封じられてから歩いてる 朝と夜 5分間だけ


もちもちとした肌の持ち主がぷちぷちと笑っているえくぼがへこむ


妹とずっと話していたけれど何の話をしてたか忘れた


自分の言葉に共感を それだけやっていればいいよ


大好きよって真っ直ぐな愛をくれた妹は誰よりも清廉潔白


バイオリンを弾いていた時代の写真を見てあまりの地黒に驚いてしまった


お化粧さえしたら私も可愛くなれる? とは思うもののギリギリまで寝ていたい


自堕落が私の本質であると思う 本棚ばかりこだわりがある


堕ちていくルートを選んでも仕方がない 真っ直ぐ地獄に進むだけ


毎日お仕事をして生活をして人間関係をする それだけでよい


陰と陽を大事にしている 心の中のイザベラをひたすら愛しているよ


イザベラは醜くいじわるな女の子 金髪碧眼でむすっとしている


ホラーはごめんです なぜなら観ると体調が悪くなるからです


衝動を叶えていこうと心に決め 本を取ってレジに並ぶ


道徳は身体感覚で捉えるもの 抱えきれない良心を導に



かんわんと回る時空生成器の周りに小さな妖精がたむろしている


そう意図して作り上げた 静かで穏やかで満ち足りた世界


青色の鳥を眺めている夏の昼下り 永遠に生きようと思う


ひよひよと鳴く小鳥はママの帰りとご飯をずっと待っている


一重地黒黒髪くせっ毛ソバカスが美しいのだと気づくための人生



紫色の髪した少年はとうとうと流れる川に足を浸した


平和にさえ生きたらそれで合格です 人生スタンプを押してあげます


時短で仕事 実家で寝てる 恋人はいない 何も持っていない


身軽でいたいという願いが現在進行系で叶っている 地球は回る


十二歳の無垢な心をずっとずっと持っていたかった だから処女


白樺の林をゆらゆらと彷徨う人影を幻視している生ぬるい春


ラピスラズリの中で眠りたい永遠の星空を眺めているように



生真面目は夢中に勝てない僕達は没頭する先を探している


水色の炎の先に見えている未来都市は銀色で円柱


ピンク色の花を愛でている 幻のような高山の花畑


華やかなモデルやフリルのついた洋服に興味がなかった思春期の頃


本だけが本だけが友達だったと言えたらよかったのだけれど


少年の悲劇に同調してよく泣いていた 車輪の下に追いやられた子


京大には図書館警察があるという 魔宮を牛耳る一人の男


突っ切った趣味を持った子どもを羨む さぞ楽しい日々なんだろう



最後の光をあげるよ 神に還る前の 両手を出してごらん


政治のツイートをリツイートしている友達にはらはらしている


陰謀論とかカルト宗教にはハマらないでね 私との約束


二次元の推しの顔が良いことは素晴らしいことであるなぁと嘆息している


何度でも生まれ変わって君を探し出すよと言わんばかりの美青年


推しの遍歴といえども 変わるわけではなく積み上げている


沢山のマスキングテープ 色とりどりの刺繍糸 グラデーションの色鉛筆


不憫で真っ直ぐな男の子を愛している 早く幸せになりなさい



恋愛もしない 人と遊ばない ただひたすらこもっている


まとまったエネルギーがほしい あっちこっちに散逸している


目標を立ててもよそに逸れていく 目標に向かうエネルギーがほしい

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