2023年 5月
5日
その刹那硝子の破片空に舞い君を殺そうと落ちゆく
痛々しい傷跡を見せて君はやんわり微笑んでいたり
気味悪い雑木林を急ぎゆく貴方の瞳を思い出しながら
暖かき空気を吸ってまた吐いて黄色い愛を求めていたり
まんまるの瞳をこちらに向けている小動物の赤き血管
私とは正反対の少年の導きを得て空を駆ける
ジョバンニとカンパネルラの邂逅を人は運命と名づけていたり
青々し少年二人の共同体アーキタイプと喜んでいる
『犯罪短歌』
銀の糸俺の人差し指を貫いて罪の意識を裁いていたり
同じ罪背負ってくれた親友と下る冥府の階段長し
永遠に罰を与えずという罰青年は宙をかき懇願し
青い水喉に注がれ息詰まり殉死の男は磔にされ
銀色のナイフを腰に忍ばせて悪意はいつも光っており
復讐の鬼に成り果てて落ち延びた村の住人脅す
新しい殺意を広げ計画を立てる俺にはこの生き方しかできぬ
他人から取り立てる金薄汚れているものか金は金だ
赫い頬光らせて少年は木彫りの犬を彫っているなり
空色のバスを待っているのです そう少女は指を並べて
美しき 中空に浮かぶUFOは愛をひたすら撒き散らして
第六感あなたはきっと明日の昼豚骨ラーメン食べているわ
明るくてしゃらしゃらしてるスカートを草原に広げ花束作る
待ってるよ猫背の恋人は甘えた声出して高い椅子に座る
神様の通る道を空けておく ここは神経埃を払って
黄緑の蛙が目の前横切って もうすぐ夏だ あつい夏だ
〈BL短歌〉
君の髪の薫りが香ってきて もうそれだけでしあわせになる
真っ白なシャツの向こうに君がいて いつまで経っても掴まえられない
可愛らしい笑い声にきゅんとした 君の声を食べてしまいたい
ゆっくりと動く雲を捕まえるふりをして君は屋上で笑う
弁当を向かい合って食べている 君の横にはいつ行けるのか
君の手は大きくてあったかい そういう心の埋まっている胸
永遠に君と一緒に生きていたいそれが叶わないならば夢の中で
白い鳥横切っているまるで君が純だと示すように
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