2023年 3月

厚き本を作ってみたいとてつもなく個人的な書評で埋められた


再読をする流れになっていてこれは否応なしの神の采配


重力は死してもなお私を離さず夜には愛撫す透明の手で


カラフルな私の部屋の主成分本棚に並ぶ明るき本たち


どうしても母と父にはなれなくてならなくていいのに呻いている


友人に恋人ができるカラクリの変化の兆し押し留めたい


しゃかいせい→しゃかいせいかつ送ってる綿毛の行き先知りたいけれど


白い壁白い天井白い球 息苦しくて寝返りをうつ


好き好き大好きこんなにも愛してるんだから愛を寄越せよ


クリームを口いっぱいに頬張ってみることでしか救えない部分


反骨心豊かな妹従順な淑女の私本当は足を広げて座っている


時計台のある大広間に逃げ延びてラスボス戦が今始まる


ハムスター飼ってた元同僚の攻撃性をつらつらと思い出し


ソフトクリームどこで買っても巻いていて直毛はおらず上から食う



24日


温かき空気はどこからやってくる? 夏の始めのソーダの儀式


真っ白のペガサスが一匹飛んでいき向かうは海永遠の場所


赤色の命を握りしめているいつか世界に塗りたくるんだ


髪の毛に魔力が宿る黒色は意志の色なりあなたを呪う


慈しむ神の表情を見てみたいこの世は安全なのですか? ねぇ


おもしろきことしかないよ君と二人どこまででもいけたならば


二人乗り自転車の速いこと「このまま時間そのものになろうよ」


愛の色触ってみたら指に染みそれで君の頬を触る


許されざる二人の関係夜の闇が静かにそっと隠してくれる


ゆっくりと育っているね公転の遅い惑星みたいに生きて



29日


暖かき季節を希う春はいつやってきますか


麗しきカーテンのひらめき横切って終わりの国の柔らかき棘


購って日々の糧を得てゆくはまだ温かき肉を食すこと


おもしろきものなどとんと見つからぬそういう幼馴染みの唇


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