2022年 12月
緑色のブックカバーを重しにし月の重力に思いを馳せる
人は皆心に無限の宇宙を持つと云う師走の風の中の結晶
就活が上手くいくことを反芻しシュミレーションする炬燵の中で
飴色の夜が落ちこむこんな日は山の狸も寝ているでしょうね
7時から好きなアイドルが歌って華やかになる気持ちと会場
サッカーの連帯を昔ほどには疎んじずだから私は大人になった
面接は好感触でだからこそ不安になったどっちか分からぬ
さらさらと流れゆく哲学の言葉たちを掬い取って飲み干したい
人生は自由なのか不自由なのか考えていたら一日終わった
任された家事手伝いも板につき着々と一人暮らしへ邁進
紙製の好きな作家のエッセイを読むは極楽この世はいい所
タロットの本をめくれば蘇る必死で未来を見通そうとした日々
父母の苦言を胸に収める勇気をやっと持てた今日は記念日
9日
彼の手に絡んだ髪の艶に仄かに嫉妬するどうして僕らは出会ってしまった
先輩の残り香を吸いこむ抜け殻の部屋でひとり蜂が飛んでる
盗み見る怜悧な横顔真面目な眼僕に向けられる顔を予想し
触れ合った指をなにげにそのままに永遠の時間をもし得られたならば
波音に君の喉仏を垣間見て明日もこの世にいられたらいい
山道を二人して歩く晴れの空どこまでも心を吸いとっていって
君のいる写真を写真立てに入れ西日の落ちる窓に飾る
26日『闇』
今生の目的は殺されることと思い込みあらゆる努力を放棄しており
恐ろしき影を背負って生きていく人生の負の面を呪いながら
悪業を消化せぬまま十数年やがて飲み込まれし黒い影
制御できぬ影と友情を育むことができたなら今よりもっと光を受けて
人は皆大きいものの現れで一角が病めば病人あらわれ
病みし者を殺すことで人間は闇に復讐されるのかも
熱き地獄暖かき天国どちらもいけぬ大地を踏みしめ
美しき人も皮を剥いでみれば地獄の様相を呈しているのか
卑怯者お前はどうしてそんなにも何もしないでおれるというのか
31日
年の瀬に紅白を見る幸せを未だリアルに感じ取れない
なんとなく昔に買った群像を読んでいる少し前の現実が封じ込められている
詩を書く勇気をくださいありのままを羅列する勇気を
まだ未熟だと言える歳のリミットが刻一刻と迫ってきて圧死する
立ち止まることをほんとはしたくないのにずっと足が動かないのはどうして
思春期から私を追い立てる超自我をいつか殺したい願わくば年内に
超自我は私を幸せにすることはないならなぜ私に居座るのか
やるべきことを教えてくれる超自我は適量ならば有用になってくれるのか
華やかな人々に憧れていた本当はずっと今の自分を否定しながら
血みどろの漫画を愛する土壌が生まれていたのこれも成長
制御できぬ力が生まれて暴走するそんなの思春期にやっときなよ
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