2022年 11月
『死と乙女』
骸骨が追いかけるは麗しの乙女栗毛を振り乱しながら
手の中で微笑む花が萎むのを夢想しながら死神笑む
骸に収斂していく大気の引っかき傷を乙女は食んで
鎌の先端を服に引っ掛け冥府に連れて行かんとする死の欲動は黒く揺れる
水気を孕む乙女の体を押し包む 死の匂いは呼び水となる
庭園の薔薇でさえ死は免れない だから愛すの有限の夕べに
花飾り震わせて乙女は泣く雫すらも地下に吸われどうすればいいというの
青空はあっけらかんと死を見届け乙女の乱れた足跡を海が隠す
『BL短歌』
白薔薇の園に友人を招待する 彼に似合う花で花冠を編み
黒髪の君にあげし花冠の 茎が光って神代を告げる
地下倉庫 彼の寝顔のスケッチを描きため保存する夜中
清らかな背伸びを脳裏に焼き付ける もう一生君を逃したくない
雪の降る日に踊りに出かけていく 君は生きることに愛されている
鏡の前に立って上半身を捻ってる君の背中に頬を寄せたい
金色のスプーンを光にかざしながら あと何度夜を過ごせば君に会える
柔らかき花弁を体に流し込み 繊細な指の奏でるノクターン
縁の光る水を手のひら一杯に掬って密やかな愛を染み込ませていく
跳ねていく銀色の悲しみが いずれ君を傷つけた者を刺し貫く
橋の下 無常の時の流れる河に イマジネーションで心中をする
どうしても貴方がいいの 囁やけば 僕もだよと返ってくる幸せを指の間に
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