2022年 1月
ありがたいことに私は凡人で ありきたりな幸せが享受できる設計
新年の夜はいくら夜ふかししていても 健康に響きませんよ、神様の特例です
文字は脳みそ、絵は衝動 音楽は義務でコミュニケーションは暖
いけいけの幼馴染に気後れし どうやって空気になろうか画策
つんつんな妹のあたまをわしわしと 撫でてやりたいけれどもガマン
ハナミズキ 脆い硝子の骨を持つ 永遠の少年となる君
凛々しくて 優しいあなたが 黙ってる ストレス性の円形脱毛
照明と音声マイクの森の中 僕らはずっとふたりぼっちで
盾となる そう言ったきり 背を向けた あなたの涙を拭ってあげたい
月日経ち 生きやすくなった君の 指先に宿る少年を見る
《眠気》
眠たさをこらえつつ書くことの 地獄めいた酩酊について
妹の天使のような歌声を 子守歌がわりに眠ろうかしらん
正月の再放送をぼんやりと 眺めながら日は暮れていく
こたつにて半目になっても勝手に豊かになっていく世界
ゆるゆると三が日が終わっていくが それはともかくまぶたがおもい
《蝶の恋》
触覚を撫でて目を瞑ったら とってもいい気持ちなのよ
ふくよかな 白い花弁に包まれて わたし、卵から生まれてきたの
誰も彼もがひとりなの 少年が手鞠をしている白い飴玉
イオニアの柱に走り寄って泣く 少年の胸に抱かれたうさぎ
モンシロチョウ 閉じた翅を震わせて あの子の元に飛んでいく夢想
眠ってる少年の胸に口よせて 涙の蜜を吸い取ってあげる
ハルジョオン 昼行性の少女ひとり レースのワンピースひらめかせ翔ぶ
鱗粉を零して薔薇の園を去る 白薔薇の向こうにあの子の笑顔
《明治少年》
つばめ鳴く 水琴窟の水音に 来たるべき死のことを考える
姉上の 鼈甲櫛を手にとって 日に透かしてみると、金の線路
浅草十二階の十三階目には 銀河の林があるのといもうと
祭りなんて行かないよと云う兄置いて 回り灯籠まわして走る
洋館の 外人さんはいつの日も アイロンの匂いさせてお辞儀す
三つ編みの少女が持ってるビードロを 壊した少年の虹の涙
薄暗い通りに迷い込んだ日に 手をひき出口に連れていってくれた芸妓さん
《お菓子》
キャラメルを口に含んで尖らせる あなた何にも言ってくれないのね
マシュマロのボールを天高く投げて このまま熱帯まで飛んでいってよ
甘いあまいマーブルチョコレートの呪い 赤しか食べちゃいけないのろい
世の中は世知辛いねと君とふたり クッピーラムネをふかしながら
アポロチョコ いつか金星に辿り着いて わたしとの約束だからね
マカロンはどうしてあんなに高いのよ なめて食べなきゃいけないじゃない
生チョコのスケートリンク 滑ってる 寝そべりながら、あじみしながら
春の日に パウンドケーキのクッションをお庭に出して ちょっぴり昼寝
必殺! バームクーヘン説法! みんなカロリーゼロになぁれ
大口を開けてチーズケーキ食べるきみ お団子りんりん揺らしながら
もしもし母さん? 今イチゴタルトの森にいるんだ え? ……夕飯は用意してほしいな
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます