第二章3話 拠点宝珠と念話について
王都出発まで後5日、やりたい事を思い出したので王都へ行く前に終わらす。
色々とやりたい事があるのだが、その1つは拠点宝珠だ。
拠点宝珠は玉座の近くに置いていたのだが、それは〈聖戦タクティクスウォー〉をログインすると強制的に拠点宝珠の近くにログインする為、玉座の近くに置いていただけだ。
今はログインとか無いので執務室に置いている。拠点宝珠の忠誠ポイントで交換できる物は意外と馬鹿にできない。王都で商売すると言ったが、この拠点宝珠から交換できる物を商売に使おうと俺は思ったのだ。
俺の国は民、下級魔物を合わせて約5万人、中級魔物が1千人(各守護王達の配下百人ずつ)、上級魔物が100人(各守護王達の配下10人ずつ)、守護王10人、側近1人で約7万ポイントが3時間に一回入る。つまり1日で約56万ポイント手に入る!やったぜ!と言う訳ではない。
1日で手に入るポイントの上限は20万ポイントが限界だ。そしてポイントも無制限に蓄えれるかというとそうでは無い。300万ポイントが上限になる。
なので300万ポイントが貯まる前に使わないと損なので使う事にしている。1日に20万しか貯められないと思うかもしれないが、実はそうでは無く20万も貯めれるという感覚だ。
ポイントの割合を見て分かる通り、このポイントの殆どが民なのだ。民が少なければポイントは入らないし、民を多くしようとすれば土地と住居が足りなくなる。だから国を大きくしないといけないのだ。
国を大きくするにはもちろん忠誠ポイントが必要になる。〈聖戦タクティクスウォー〉で俺の国みたいに民が5万人というプレイヤーはほんのわずかしかいない。
俺は執務室の拠点宝珠を手で触れる。
・トワイライト王国忠誠ポイント:2653000
・交換できる対象物
↓
・野菜の種100粒:500
・紙(書類等)1000枚:1000
・
・家(小):200000
・家(中):400000
・家(大):600000
・転移門テレポータル:500000
・……
・……
・……
とまだ他に家具等、色々あるのだが、全てを書くと切がないので俺がよく交換する物を書いた。
野菜の種は俺からしたらお得だ。交換リストに種が育った野菜があるのだが、ちょっと高いんだよ。それに毎日、国の食料を補うなんてできない。畑を耕し種を植えたら最悪、木魔法で成長を早める事ができるから種の方がいい。
紙は2種類あって1つは書類等に使うA4サイズ。もちろん他のサイズもあるのだが俺はよくA4を使う。1枚1ポイントと高いが、この世界は紙の価値が高いのだろうな。そしてこの紙はこの世界なら最高級の部類に入ると思う。
この世界なら羊皮紙が主流じゃないのかな?そしてもう1種類がトイレットペーパー用の紙だ。日本人の俺としてはどうしてもこれで拭きたい。この世界では藁とかで拭いたりするみたいな事をフリージアさんからきいたな。
俺としては藁で拭くのは想像もしたくない。尻が痛くなりそうだ。
家は小が4人まで、中が8人、大は12人まで住める。家は国を大きくする時にゲーム時代によく買っていたのだが、今はトールが作ってくれるから多分もう買わない。
そして
それはそうだ。1つ買った所で、対となる門が無ければ意味ないのだ。実質100万ポイントだ。家具等は椅子や机でポイントが変わる。1つ1つ書くと、とんでも無い量になる。ちなみに妖精の大木は1つ限定で80万ポイントだった。
あ、そうそう。紙なのだが、なにも俺だけが使うのではない。このトワイライト王国には通信部というのがある。
まぁ簡単に言えば民の皆に情報をいち早く伝える、前の世界でいえば新聞か?街の至る所にお知らせ板がありそこに最新情報が書かれた紙が貼られる。
フリージアさんが来た時もそのお知らせ板に載っていた。とまぁ俺だけが使う為に紙を買うのではない。国全体が使う紙を買うのだから買うときは50万枚は一気に買う。
それに紙だけじゃない。調味料とかもこの拠点宝珠で買えるのだが、もちろん国全体に行き渡る程の量を買っている。まぁ実際に各家庭に押し付けているわけではない。
塩を扱う店がトワイライト城に買いに来るのだ。そういう形で塩や他の調味料もこの国全体に流通させているのだ。
ちなみにこの拠点宝珠は俺の他に側近のイーリスだけが使える。俺がトワイライト王国を離れても大丈夫だ。
さて王都に行くのだ。トイレットペーパーを多めに買って
少し買いすぎたかもしれない。イーリスはポイントをなるべく節約しようとしているんだよなぁ。家庭を支える母みたいだ。
さて
確か2階の執務室から一番離れた部屋辺りは全く使ってないから
「さて、設置するか」
俺は2階の使ってない部屋もとい、
起動させると
この方が多く置けるだろ。
もちろん
「これで王都へ行く準備ができたな」
ちなみに今は1人ではなくエールが側にいる。俺に声をかけられるまでは黙っている。さて後は…あっそうそう。レイアに会わなければならないな。
「エール、俺は執務室に戻るから、レイアを執務室に連れてきてくれないか?」
「レイア様ですね!畏まりましたぁ!」
とエールは
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
執務室でいつもの日課、書類を整理していると
――――コンコン
と扉がノックされる。
「妾の主よ、いるか?レイアじゃ」
「入ってくれ」
そういうとレイアとエールが入ってくる
「急に呼び出してすまんかったな」
「よい。主の呼び出しは妾にとって何より優先される事じゃからな。それにちょうど一息つきたかったのじゃ」
「そうか。今は何の研究をしているんだ?」
「新しい魔法を研究しているのじゃ。木の魔法で植物の成長を促進させる魔法があるのじゃが、その魔法を使うと植物が目に見えて成長するのじゃが、植物が埋められている周りの土の栄養を根こそぎ吸い取ってしまうのじゃ。これはトールやセレス達エルフが視えるという、土の精霊達に聞いたから間違いないのじゃ」
植物の成長促進をさせる魔法があるのは俺も聞いた事があったが、そのようなデメリットがあるのか。
それよりも精霊には、土の精霊とかいるんだな。他にも火の精霊とかもいそうだ。
「なるほど」
「栄養が根こそぎ吸い取られた土を、栄養のある土に戻そうとすると、時間が掛かるのじゃ。そこで土の栄養を戻す魔法開発しているのじゃ。この魔法が完成すれば食糧問題も解決されるじゃろう」
「すごいじゃないか!」
「じゃろう!」
両手を腰にやり小さい胸を張っているのが可愛い。
「じゃが、目処はまだたっておらんのじゃ。まぁ新しい魔法を創るだけでも相当難しい事じゃからな」
「そうなのか。でも俺はレイアを応援しているよ。何か手伝える事があったら俺に言ってくれ」
まぁ何も無いとは思うのだが…
「うむ!そうさせてもらうのじゃ!それはそうと主よ、妾をここに呼んだのは何か話したい事があったからじゃないのか?」
「あぁそうだった。実は無属性魔法に念話という魔法があるのだが…」
「あぁ、知っておるぞ?遠くの者と会話できる魔法じゃろ?」
「知っていたのか」
「当たり前じゃ!妾は見ただけで魔法を使える天才じゃぞ?」
そういえばレイアにはユニークスキルの【魔法の神】があったな。自分で見た魔法を全て扱えるチートだ。
「妾の配下には優秀な者が多くてな、今では全属性の1級から特級まで使えるぞ?それにイーリスの雷魔法にリルの氷魔法、トールの金魔法、ヴィーナの幻術洗脳魔法、タナトスの死魔法、ルーシーの時魔法にドラグの重力魔法も扱えるのじゃ!」
まじか…。見せてもらったのか?とんでもないチートだ。
「す、すごいな。それで念話の魔法なのだが、あの魔法少し使い難くてな」
「あぁ、確かにあの魔法は使い難いな。念話は一方通行しか繋げられんからのぅ」
「そうなんだよ。今後、俺がこの国に不在な時も出てくるだろうし」
「妾としてはそうあってほしくないのじゃが、この国で大人しくするのは嫌なんじゃろ?一方通行じゃと、もしも妾の主に何かあった時はこちらから確認できぬ。まぁ妾は念話を出来るのじゃが、何かを報告するのもほとんどイーリスの役目じゃからなぁ」
こんな小さな女の子に心配される俺…。だがやはり外の世界を見てみたいのだ!
イーリス達が念話を使うには無属性魔法を覚えなければならないのだが、無属性の適性がなければイーリスや守護王達でも厳しいはず。
「今後王都に向かう、その際トワイライト王国の状況を把握出来ないってのは俺も心配だ。もちろん何も無いとは思うが、万が一の事があるかもしれないからな」
「確かにそうじゃな。報告は逐一しないと妾達も心配じゃからなぁ。まぁ出発の前に念話の件を片付けておくかのぅ」
「いつもすまないな」
「なに、これが妾の仕事じゃからな」
小さいのにしっかりしているなぁ。撫でてやるか。俺は席を立ち
「な、なんじゃ?」
「いつも頑張っているから偉いなぁーと」
「な、何をするのじゃ!頑張るのは当たり前なのじゃ!よしよしをやめるのじゃー!」
本当に小さい子は癒やされる。レイアもやめろとは言うけど、されるがままなんだよなぁ。抵抗してする気配もない。レイアが満足するまで撫でていると
「も、もういいのじゃ!妾はもう行くのじゃ!」
そう言ってレイアは執務室から出ていく。
「行っちゃったな」
「あ、主様わたしも…」
「書類の整理とか終わったらしてやるからな」
「はいっ!」
俺は王都出発の日まで執務をして空いた時間で羽を伸ばすのであった。
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