第一章21話 新たな住人とお出迎え
フリージアさん達妖精組はトワイライト王国に来ることになったので、荷物を纏めたりと準備をしている。
準備には2日ぐらい掛かるらしいが、俺は念の為、3日後に出発する事にした。その3日間はまったり過ごす。あぁ仕事が無くただダラダラ過ごすと言うのは幸せだな。
あっそうだ。セレスとヴィーナに謝った日、逆に俺の方が泣かされて、次の日セレスとヴィーナに顔を合わせるのが気まずかったな…。
泣いたと言うのが恥ずかしくてまともに目を見れなかった。その都度、俺を見て笑うからなあの二人。まぁ今はもう3日経って気にしなくなったがな。
さて。今日はフェアリーガーデンに滞在するのも最後の日だ。フェアリーガーデンに滞在して約2週間。色んな事があった。最初に出会えた人がフリージアさん達で良かったなと俺は心の底から思う。
俺は朝食を済まし、セレスとヴィーナそれと俺のテントに住み着いたララを肩に乗せて広場へ向かう。
するとフリージアさん達妖精組は既に集まっていた。
「おはようございます。フリージアさん」
「おはようございますルーク様。ララもおはよう」
「おはよー!」
「ルーク様に迷惑掛けてないですか?」
「うん!大丈夫だよー!」
「ならいいのですが」
と言っているが、まだフリージアさんは心配そうな顔をしている。
「フリージアさん達はもう出発できるのですか?」
「はい。何時でも大丈夫ですよ!」
「このフェアリーガーデンはどうしますか?」
「出来ればこのままにしてほしいです。ここでの思い出は残しておきたいたいですから。ですがこれは私の我儘です。残しておくのが無理なら…」
「無理じゃないですよ?俺もこのフェアリーガーデンは残しておきたいと思いましたから」
フリージアさんがここを離れれば幻術の結界は解ける。色んな人間や下手をしたら山賊達が住み着いてしまうかも知れない。
だが俺もこのフェアリーガーデンを残したいと思ったのだ。何だろうなこの気持ち。多分だがあの悲劇を忘れない為に、あの過ちを繰り返さない為に残したいのかも知れない。
「そうなんですね。では行きましょうか。ここにいると何時まで経っても出発出来なさそうですからね」
「そうですね。では行きますか」
と俺達と妖精組はトワイライト王国に歩き出すのである。
ちなみに亡くなった妖精達の墓はトワイライト王国に作る予定だ。みんなの近くにいたほうが亡くなった妖精達も楽しいだろうとの事だ。
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
歩き始めて2時間後ぐらい経ってようやくトワイライト王国近くの綺麗な湖にまで辿り着いた。道中は特に危なげ無く進むことができた。
「ここで少し休憩しますか」
「そうですね。
この綺麗な湖は妖精達が水浴びをする所だ。早速妖精達が服を着たまま水浴び…ではなく水遊びをしている。あれは水浴びではないな。この綺麗な湖で少し休憩して出発する事にする。
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
「では行きましょうか。もうすぐトワイライト王国ですよ」
「はい。楽しみです!」
綺麗な湖から出発して30分ほどしてようやくトワイライト王国についた。
「着きましたよ。トワイライト王国に」
「……え?ですが周りは森だらけですよ?」
肩に乗ってるララも妖精組も顔を傾げてる。
「それは認識阻害の魔道具で使っているからですよ。簡単に言えば幻術の結界と似たような結界が張ってあるのです」
フリージアさんが張っていた幻術の結界は方向感覚を狂わせるのだがこの認識阻害の魔道具はトワイライト王国を森に見せている。つまり視覚を誤魔化してると言えばいいか。
フリージアさん達はいま、森の中に、不自然に開けた平野に見えているだろう。
「そ、そんな事が出来るのですか?」
「まぁ見てもらうほうが早いですね。ララもビックリするぞ?」
「楽しみー!」
と俺はフリージアさんの手を取り結界の中に入っていく。勿論結界は認識阻害だけではない。この国に害ある者なら入れない防御結界も張っているが、フリージアさん達は害ある者ではないから防御結界は発動しない。
そして結界を通り過ぎると目の前にトワイライト王国が出てくる。
フリージアさんは口を開けて唖然としている。ララ達妖精組はビックリはしているがはしゃいでる。
「すごーい!おおきいー!」
「すごいだろ?ララ!」
俺の城は城郭都市だ。と言うよりブルへイアの大きな街はほとんど城郭都市みたいだが。
「フリージアさんどうですか?」
「え、えぇ。すごいです。精霊から話を聞いていたのですが、聞くと見るとでは違いますね」
とそこに黒い鎧を着た大男が近付いてくる。顔は鬼のような仮面つけていたため、フリージアさんは身構え、妖精達は俺やフリージアさんの後ろで隠れて震えている。フリージアさんもその大男の強さを感じ取ったのだろう。緊張しているのが分かる。
「フリージアさん大丈夫ですよ?悪い人じゃ無いです。それに肩を見てください」
「……肩?」
俺の言葉にフリージアさんも妖精達も大男の肩を見る。そこには二人の妖精が両肩に乗っている。まぁ俺がスサノオに出てくる時は怖がるから前もって両肩に妖精を乗せて出てこいと伝えてある。
そして妖精組は恐る恐るだが、持って生まれた好奇心旺盛には勝てず、少しずつ近付いていく。大男、スサノオの周りには大量の妖精が飛んでスサノオが歩けないでいる。
「フリージアさんいこうか」
「は、はい!」
俺達も歩いて行きスサノオの前で止まる。
「…我が主。…帰りを待っていた」
「あぁ。ただいまスサノオ。そしてこちらがフリージアさんだ」
「よ、妖精女王のフリージアです」
「……我はルーク様の守護王が一人、スサノオだ。…ルーク様が世話になったな」
「ちょ!?スサノオ!なんか子供扱いしてないか?」
「…そんな事はないぞ。…我が主」
「ま、まぁいいけど。フリージアさん先程も言いましたがこの鎧の大男は俺の信頼のできる守護王スサノオだ。セレスやヴィーナと同じ立場の者だな」
「やはりそうでしたか。スサノオ様からはセレス様やヴィーナ様と同じ圧倒的強者のオーラが出ています」
やはりそういうのは分かるんだ。やはりある程度強いと相手がどれくらい強いのかが大体分かるのか?それとも魔力視で魔力を見たのかな?スサノオの魔力も黒い。
「流石ですねフリージアさん。ここで話すのもあれなので中に入りましょうか」
と俺はいい正門まで歩く。そして俺が正門の前までくるとゆっくり開門される。そしてその扉の先には…
「……え?ルーク様これは?」
そう。扉の前に集まった民達だ。俺はゆっくり民達の方へ進みフリージアさんに振り返る。
「ようこそ!フリージアさん!トワイライト王国へ!そしてフリージア!我ルーク・シルバ・トワイライトは新たな住人として歓迎する!」
「うぉおぉーーー!」
「よろしくなぁー!」
「今度お話しよー!」
俺が友として、王として宣言すると民達から割れんばかりの歓声が響く。これは前もって俺が用意していたのだ。フリージアさん達をビックリさせるために。
「す、凄いです…」
そしてトワイライト王国の妖精組も飛んでくる。
「わー!仲間だー!」
「よろしくねー!」
「うん!これからもよろしくねー!」
とさっそく打ち解けている。早いな打ち解けるの。妖精にコミュ障はいない。まぁ危機感がないだけだと思うがな。
「さて、フリージアさんのこれから住む家に行きたいけどいいかな?」
「はい!お願いします!」
そして俺達は北西エリアの端っこにある大木に向かう。フェアリーガーデンの妖精組はずっとキョロキョロしていたが、好奇心を我慢してついてきてくれる。まぁ住むとこが決まったらトワイライト組の妖精達が案内するだろう。そして大木に着く。
「この大木がフリージアさん達が住む家になる」
「木の家なんて素敵です!」
「でかい大木だから中はまだかなりのスペースがあると思う。トワイライト組の妖精達と相談するといい。後トワイライト組の妖精達のまとめ役にもフリージアさんにお願いするよ。女王だしね!」
「えっ?それはいいのですか?」
「俺の国に妖精の女王はいないんですよ。ですから皆を纏めてくれると助かります」
「ですがいきなり私がこの国の妖精の女王だなんて…」
だがトワイライト組の妖精達は
「いいよー!」
「私達の女王様ー!」
「よろしくー!」
俺の国の妖精達はどうやら凄く軽いらしい。まぁ争いとか無くてそれはそれでいい。
「トワイライト組の妖精達もああ言ってることだしいいんではないでしょうか?」
フリージアさんはトワイライト組の妖精達に振り向き
「不束者ですがよろしくお願いします!」
「よろしくー!」
「女王様案内してあげるー!」
「私がするー!」
とトワイライト組からは既に人気者だ。
「ではフリージアさん何かあれば何時でも俺か妖精に言ってくださいね。この国で使うお金は後で送っておきますね」
「何から何までありがとうございます!」
「ここから城まで少し遠いですがフリージアさんなら何時でも城に入れるようにしときますね」
「ありがとうございます!」
「ではまた!」
「はい!」
そしてフリージアさんはトワイライト組の妖精達に手を引かれ大木に入っていく。まぁこの国にいるなら何時でも会えるだろう。
ちなみにこの国にも通貨はある。だがこの世界の通貨と統一させたいので円は変える予定だ。
「さっ俺達も城に戻るか」
「えぇ!」
「了解でありんす」
スサノオは門番の仕事を引き続きするため持ち場に戻っていた。真面目だな。と思いながら城に戻る。
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
城に入ると出迎えてくれたのはイーリス、フェンリル、プリン、ルーシー、ドラグそして意外なのがレイアだ。レイアは研究で忙しいと言って来ないと思っていたが。
「ただいま皆」
「おかえりなさい。主様」
まずイーリスが言う。
「執務の仕事ありがとうな」
「かなり溜まってますけどね?」
「あ、あぁ頑張るよ」
と言い近付き頭を撫でる。
「ひゃ!どうしたのですか主様!?」
「頑張ってくれた褒美だ。これは嫌か?」
「嫌じゃありません!」
と目を細めて大きい尻尾をゆらゆらと揺らしている。相変わらず可愛いなぁイーリスは。いつかその尻尾をもふもふしてやる。そして俺は手を離す。名残惜しそうな顔だが褒美を上げるのはイーリスだけじゃないからな。
「リルも留守の間ご苦労様。褒美は何がいい?」
「う、ウチも撫で撫でがええなぁー」
リルは俺より背が高いがぎりぎり届く。リルにも撫でてやる。相変わらず尻尾はイーリスと違いはち切れんばかりの勢いで揺れている。可愛いやつだ。そして次はプリンだ。
「プリンも留守の間ご苦労。プリンは何がいい?」
「あの、ボ、ボクも撫で撫でがいいなのです」
皆撫で撫でか。そんなに撫でられるのがいいのかな?と思いつつ撫でる。まぁプリンは子供だから仕方ないか。違和感はない。撫でられてるプリンは終始笑顔で、まるで天使の微笑みだ。男じゃないなこりゃ。次にルーシー。
「ルーシーもご苦労様。ルーシーは何がいい?」
「ん。皆と同じ」
やっぱりルーシーも撫でるのか。まぁいいがルーシーもまだ子供みたいなもんだから仕方ないか。ルーシーは表情には出さないが嬉しそうだ。無表情で撫でられながら見つめてくる。でも嬉しい気持ちは伝わってくるのが分かる。
「…もっと」
「また今度してやるからな?」
不満そうだが我慢してるのが伝わる。無表情だが。次にレイアだ。
「レイアは研究で忙しいと言って来ないと思ってたが来てくれたんだな」
「なんじゃ。妾には来てほしくなかったか?」
「いや来てくれて嬉しいよ?ありがとう」
「ふ、ふん。当然じゃろ」
やはりツンデレなんだよなレイアって。少し意地悪したくなったからしてみるか。
「レイアにもご褒美だがそうだな。レイアは甘い物が好きだったからそれでいいか?」
「な、なぜ妾だけ甘い物なのじゃ!?」
「いや甘い物好きだろ?」
「そ、そうじゃが…」
「ほかに欲しいのあるの?なに?」
「そ、それは……」
「うーん。無いのか。なら甘い物でいいね?」
「うぅ……意地悪なのじゃ!」
「え?何が欲しいかちゃんと言わないとわからないよ?」
「ぐぬぬ……妾にも撫で撫でするのじゃー!」
と涙目で訴えてくるので流石にこれ以上いじめると可哀想なので撫で撫でする。可愛い奴め!
「最初からそうしてればよかったのじゃ!」
と怒って言うが内心は撫でられて嬉しそうだ。
「ルーク様、レイアちゃんをあまりいじめてはいけませんよ?」
「そうでありんすよお前様。レイアは可愛いから虐めたくなるのは仕方ないでありんすが」
セレスとヴィーナに怒られてしまった。まぁこれは俺が悪いから仕方ないが虐めたくなるんだよな。
「あぁ。悪かった」
「か、可愛くないのじゃー!」
とレイアは怒るが無視だ。そして最後にドラグニル。
「ドラグも留守の間、ご苦労。褒美を与えたいが流石にドラグも撫で撫でと言わないよな?」
「言ったらしてくださいますか?ご主人様」
「まじで欲しいのか!いや欲しいならするけどさ」
「冗談ですよ。ご主人様」
と笑っているドラグ。全くこっちは笑えないぞ?
「……で、何が欲しい物があるか?」
「いえ、わたくしは何も。わたくしはご主人様の執事です。ご主人様のお帰りこそが褒美なのです」
全く良くできた執事だ。普通は何か欲しがってもいいのだがドラグも真面目だからな。
「ありがとうドラグ。お前が執事で良かったよ」
「もったいなきお言葉」
「さて、今日は色々あったから疲れた。お風呂に入り今日はゆっくりする。イーリス、執務の仕事は明日からやる!じゃあ俺は部屋に戻るぞ!」
と言い足早に部屋に戻るのであった。このまま仕事なんて嫌だ!と俺は今日1日ゴロゴロして過ごすのであった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます