第一章3話 女神からの依頼、そして転生へ!


女神様が俺に期待してるって事だが、いったい何を期待してるって言うのだろうか?むしろ俺が女神様との今後を期待したい。


『貴方はまた変なことを考えてますね』


「そ、そんなことは……」


『そうですか?ですが先程から貴方は私の谷間と会話してますよ?』


バレてた……。いやいやそんなことはどうでもいい!


「そ、それよりも女神様、俺に期待してるってのはどういうことですか?」


『…まぁいいです。貴方に期待してるのは事実です。貴方には選択をしてもらいます』


「選択ですが?」


いったい何を選択するのだろうか。ここでまた変なことを考えると女神様からまた何か言われるかもしれないから黙っておく。


『えぇ。貴方には現実世界で生きるか違う世界で生きるかを選択してもらいます』


「いや俺、死んでますけど」


『分かっております。貴方を生き返らせます。その際に現実世界で輪廻転生をして人生をやり直すのか、違う世界、私の管理してる異世界に行くかを決めてもらいます』


俺はまた唖然とした。生き返らせるのは少し驚いたが輪廻転生などよく小説等で聞いたからまだわかる。


実際人間はそうやって生き返るのだろうなと一人納得していた。


問題はその後だ。異世界だと?小説で異世界転生などの話を聞いたとしても、憧れることはあってもそういう話は絶対ないと思っていた。


「い、異世界へ転生できるのですか?」


『えぇ。剣と魔法の世界です!まぁゲームの中の貴方、ルークの体を使っての転生ですから転移とも言えるのかもしれませんね』


本当にできるみたいだ!というかルークで転生?転移?するのか!ルークはめちゃくちゃイケメンではないがそこそこイケメンだ。俺よりはイケメンだ。


これはモテる!女神にもモテ…


『モテません!話をしっかり聞いてください!』


過保護な女神さん。だけどこれ以上怒らせるのはやめよう。


「すいません」


『分かればよろしいです』


しかし選択か…。俺も異世界小説が好きだからよく読むのだがチートみたいなスキルを貰えるということか?


チートが貰えるならどんなのがいいかな?便利なチート貰えたらなあ。服が透ける魔眼とか…


『チートはあげられませんよ?』


「あっはい」


俺の夢は儚く散った。


『それに異世界へ転生するには条件があります』


「条件ですか?」


まずい!ゲスみたい考えをしてたから貴方は異世界へいけませんなど言われたらどうしよう!


俺は女神様から転生する条件について身構えて女神様の言葉を待った。


『条件とは言っても依頼ですね』


「…依頼ですか?」


『そうです。女神からの指名依頼と思えばいいです』


女神様からの直の指名依頼。絶対ロクでもない依頼なんじゃないか?魔王を倒せとか…。絶対嫌だ!


『安心してください。魔王は勇者に倒され今はいないです』


「よかった……ん?今は?」


『はい。今はです。魔王は元々、何百年〜何千年周期で現れます。前回の魔王を勇者が倒してから2百年ですからまだ大丈夫です』


そうか。なら良かった。魔王を倒せとか言われたらかなり悩んでたな。全く女神様、俺を焦らせてくれるぜ。


『私からの依頼はですね…戦争を止めてほしいのです』


前言撤回。全然良くない!下手したら魔王より面倒いぞ!魔王はただ倒せばいい。だが戦争はどうだ?いやいや俺一人で?無理だろ。


「女神様いくらなんでもそれは…」


『実は貴方一人だけじゃないんですよ』


「…え?俺以外にも?」


『ええ。でもその話は一旦置いといて私が管理している異世界のことを教えますね』


置いとくのか!聞きたい!今すぐ聞きたいが我慢する。


「わかりました」


『私が管理している異世界の名はブルへイアという異世界です。魔王がいなくなってからこのブルへイアは戦争が多くなりました。魔王という共通の敵がいなくなった今、大国は領土を広げようと必死になっています』


よくある話だな。魔王という驚異が無くなってから2百年だ。聞いたことがあるが戦争は武器や鎧など作っている連中からしたら儲かるのだろう。そんな連中が戦争を起こしたいとかそういうのも絡んでそうだ。


『そしてその主な大国が冒険者の国と言われる国、冒険者大国ハルバード。王都は迷宮都市とも言われてます。次に獣王国レオニール。2年に一度大きな大会がありそれに優勝するとレオニールを名乗れるのです。次に魔導大国エクセリオン。魔法の頂きを目指す者なら誰もが一度は行く国で、なんでも賢者がいるらしいですよ。次に神聖ルナミール皇国。その名の通り神を信仰しているのですが正直私の名前を勝手に使わないでほしいですねっ!特にこのルナミール皇国が領土を広げようとしています。そして最後に魔王国ヘルゴーラです』


神聖ルナミール皇国でプリプリ怒ってたミールさん可愛かったけど今は気になったことがあったから質問する。


「魔王国って魔王いなくなったんじゃないのですか?」


『はい。ですが魔王復活を目論む魔王の配下が色々暗躍しているみたいです』


「勇者はいるんですよね?そういうの勇者がほっとくんですか?」


その質問を聞いたとき女神様が顔を顰める。


『勇者は確かにいます。神聖ルナミール皇国にいるのですが今の勇者は皇都で色んな女を侍らせ遊ぶだけです。そして傲慢です。欲しいものは力で奪い取る。今の勇者は駄目です』


「勇者じゃないなそれ。ってか勇者って転生者なんですか?」


『いえ。正確には転移者ですね。2百年前の勇者は正義感に溢れてたのですが近代の勇者は……』


「その神聖ルナミール皇国の偉い人は何も言わないのですか?」


『むしろ皇帝が勇者に女を与え飼い殺しにしてるんです。勇者はそれに気付いてませんけど』


「なるほど」


女神様に呆られてるって相当勇者駄目っぽいな。神聖ルナミール皇国想像以上にヤバそうだ。


「で、その5つの主な大国の戦争を止めてほしいと」


『はい。他にも国はあるのですが主にこの五つのですね』


「ちなみに他の国はどういう国があるんですか?」


『そうですねー。龍人族の国とかエルフの国というよりも集落?とかですね。この2つの国はあまり人と干渉しない鎖国ですね。まだ他にも国はありますよ』


「そうなんですか。なるほど。わかりました。でも俺に戦争を止めるとかできるんですか?」


他の国の話も気になるが今は戦争を止める事が本当に出来るか聞きたい。だってチートもらえないんだよ!無理ゲーじゃね?まぁ話は分かったがとても一人じゃ無理だ。


『先程の一人じゃないと言った話ですが』


「あぁその話聞きたかったんですよ!協力者なんですか?」


『協力者というよりも貴方の国、トワイライト王国です』


「………へ?」


俺は今日何度目かの唖然だ。トワイライト王国も一緒に転移するってことか?民達はを入れれば5万人はいるぞ。


「た、民達も一緒にってことですか?」


『ええ。もし異世界に行くと言うならトワイライト王国も一緒にです。これが貴方を助けたもう1つの理由です』


なるほどな。俺の国が抑止力になればいいってことなのか?会話で戦争が止まるならそうしたいんだが。


しかしあの配下NPC達だぞ?仮想世界と言えど簡単な命令しかできない。複雑な命令をこなすには技術はまだ追いついてないのだ。


「ですが簡単な命令しかできない配下でも大丈夫なんですか?」


『あぁ。それは大丈夫ですよ!』


「えっ?何が大丈夫なんですか?」


『まぁ行けばわかります。行ってからのお楽しみですね』


フフと女神様はニコニコしながら微笑んでる。んー?どういうことだ?気になる。


『それで答えは決まりましたか?』


「…まぁ答えは決まってます」


確かに悩んだ。だけど輪廻転生して良い人生が歩めるかはわからない。もしかしたら新道龍也の人生より酷くなるかもしれない。


毎日仕事して帰ってきても一人。親からも一切連絡はこない。まだゲームの中にいた方が寂しさが和らいだ。何より配下達アイツらと一緒にいたい。


俺が築き上げたトワイライト王国でルークに転生して配下達アイツらと生きたい。


必要最低限な事しか喋らないだろうけど、人間味は無いだろうけど、それでも現実世界よりはましだ。


「その依頼全うできるかわからないけど引き受けた」


『貴方なら必ずできますよ』


「ちなみに期限はあるのですか?」


『期限は特に無いです。だからといってあまり放置しすぎると人が住めない地域になりますからね。それでも言います。貴方らしく生きてください。貴方のやりたいように生きてください。貴方なら間違えることは無いでしょう。貴方は一人ではない。貴方には頼りになる配下達がいます。それではご武運を』


そうして女神様の手から光が溢れ出した。あぁ…いよいよか。本当の剣と魔法の世界。ワクワクするなぁ!


俺は新道龍也改、ルーク・シルバ・トワイライトとして生きる。


頼りある配下達アイツらと。やがて光が一段と眩しくなりそこで俺の意識は飛ぶ。


最後に女神様の声が聞こえた気がした。


《貴方、ルークと配下達に良い人生を》

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る