第2話 砂だらけの街で、俺は雨に紛れて泣いた。


まばらな雨が屋根を叩く。

俺は、部屋に残る砂を掃除機で淡々と片づけながら考える。

昨晩のこと。

女は誰だったのか。何故、ここに来たのか。

どうして、砂になったのか。


きっと俺は、答えを知っている。

だから考えるのをやめた。

これが現実なら、きっともう手遅れなのだ。


掃除機内の砂を捨てるか少し悩んだ後、窓を開けて勢いよくぶちまけた。

俺は「ヒ、ヒ、ヒ」と歯茎を剝き出して笑った。


雨の中に飛び出す。

いつもの街並み。

視界の隅に映る砂を振り切るように、俺は走る。


何かに躓いて転ぶ。

頬に感じる砂の感触。

俺は仰向けになって、全身を雨に晒した。


随分長い間、俺はそのままで泣いていた。

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シキベタカヲ @SKBTKW

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