第4話「いつもと違う日常」
一旦は円満に終わったように見えたが、問題は山積みだった。
ぐー、と花成はお腹が鳴った。
「ニレイって食事はとるの?」
「そうですね、基本的に私の動力は電気です。USBケーブルをつないでいただければ、電気をそのまま充電することもできます。」
ニレイはいきなりバッと服をめくるとへそをだした。
花成は少しタジタジだったがよく見るとへそが充電端子になっているのが見えた。
「おお・・・やっぱり本物なんだ・・・。」
未来から来たアンドロイドだという言葉にまだ半信半疑だった花成の疑念は一瞬で消えた。
「ええ、セックスアンドロイドは電気自動車100台分くらいの電力で24時間動けますが、現在の技術では実現できないほど、高効率な充電をすることができるようになるので、
2時間あれば充電完了します。
ちなみにこれは自由形端子で、アダプターを使用することでだいたいの充電端子に接続できます。」
「なるほど・・・え、電気自動車100台分?」
「はい。」
「それどのくらいの電気代になるんだ・・・。」
「そうですね、今の時代の電気代でいうと月に20~30万円といったところでしょうか。」
「まじかよ・・・未来でもそんなにかかるの?」
「未来では宇宙のダークエネルギーを活用したダーク発電が主流になり、さらに高効率な電力発電が可能になった結果、電気の料金も下がるので月に10万と少しといったところでしょうか。」
「ダーク発電・・・?でも、それでも月に10万かかるのか。」
「『維持費10万で良いカラダの嫁が買える!優しい旦那が買える!』というキャッチコピーで広告を出しているセックスアンドロイドメーカーもあります。」
「なんかヤだな・・・未来・・・。」
「もしくは、24時間動く必要がないのであれば、人間と同じく寝たり、ゆっくりとしていることで、つまりスリープモードや省電力モードになることで、もう少し、電気代は抑えられます。」
「どのくらい?」
「それでもこの時代だと15万円くらいでしょうか。」
「無理だ・・・高校生には・・・てか大人でもキツイだろ・・・。その他の充電方法は無いの?」
「あとはソーラー発電と地熱発電、運動発電、バイオ発電を組み合わせることですね。
ちなみに現在のソーラー発電や地熱発電の仕組みとは少し違います。」
「どういうこと?」
「私達は眼球パーツや皮膚下に仕込まれた発電パネルに紫外線を取り込むことで充電ができます。それだけでは不十分なので、地熱を利用したり、体を動かすことで、電力をためます。
要は、普通の人間と同じように、運動したり食事したり、外に出て日光を浴びることで電力を貯める方法が一番費用は抑えられますね。」
「それしかないな・・・。」
「ただ、その場合は電力が足りないので、常に省電力モードのように低いテンションで過ごすか、スリープモードの時間、つまり寝る時間が長くなります。
2つ組み合わせるとより一層電力が少なくすみます。
よろしいでしょうか。」
「全然大丈夫だよ!てか、いまニレイは省電力モードなの?ずっとテンション低いけど・・・。」
「そうですね。未来から来て、まだあまり日光も浴びておらず、運動もしていないので電力を温存しています。」
「え!?大丈夫なの?充電しないと・・・でも、電気代・・・」
「大丈夫です。あと半日くらいは。食事もこれから取ってスリープモードも併用すれば。ただ、明日は日光を浴びたいです。
曇りでも雨でも晴れの日に比べれば効率は落ちますが、発電可能です。」
「分かった。明日はちょうど休みだし、外に出よう。」
一瞬、元気いっぱいのニレイも見たい気もしたが、高額の電気代が浮かび、頭の中からその考えはかき消えた。
「あとは膣内でピストン運動をし、奥の充電端子に定期的に衝撃を与えることでも充電できます。私の場合、貯まる電力は少量ですが。
ちなみにモデルや型番によっては電力を多めに貯められたり、それが一番、高速で充電できる方法のモデルもあります。
特に高速充電モデルの場合、スリープモードから起動した瞬間が一番電力を使うので、『朝から求めてくれる元気な嫁・旦那』という売出しをしているメーカーも・・・。」
「待て待て!もうやめだ。分かったから。てか、さっきからその嫁・旦那シリーズなんなんだ・・・絶対同じメーカーだろ・・・。」
真面目そのものな表情でとんでもないことを言い出すニレイを花成は全力で止めた。
「ちなみに、気分悪くするかもしれないけどそのセ・・・アンドロイドって本体いくらくらいなの?」
「全然構いません。そうですね、モデルにもよりますが、私はメーカー希望小売価格5000万円くらいですね。」
「ごっ・・・」
花成は開いた口が塞がらなかった。
5000万が目の前に無防備に・・・というと例のよく知りもしないアンドロイドメーカーの宣伝のようで気分が悪くなったが、思った以上に自分は大変な状況だと悟った。
「とりあえず・・・今日は料理する気力も無くなったし、ファミレスでも行こう。」
花成はため息をついた。
今日は人生で一番ため息が多い日かもしれない。
「わかりました。」
ニレイは立ち上がった。
その時、ニレイの美しい脚が目の前に伸びていた。
こうして見るとすらっとした長さで白くてキメの細かい肌の脚だと思った。
下心なく、ただただ綺麗で見つめてしまっていた花成はすぐに目をそらした。
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