第3話



 僕はシャワーを浴び終えると、タオルで身体を拭く。脱ぎ捨てたパジャマを再び身につけて、洗面台に置かれたドライヤーを手にした。


 コンセントを繋ぎ、ドライヤーで髪を乾かす。


 さて、僕が彼の『黒髪ロングの巨乳』発言にイラッとした理由であるが、特に意味はない。


 先程、僕が精神的に性別を意識することは少ないと言ったが、潜在意識が反射的に、意図せずに反応することがあり、きっとその類だと思っている。


 彼の好みが『黒髪ロング』であるとか、『巨乳』であるとか、そんなことはどうだっていいのだ。


 彼は言っていることが適当であり、破茶滅茶なのである。


 僕自身が彼の言葉に振り回されることが杞憂であり、相手する必要がないことなのだ。この間なんて『金髪碧眼は良い良い』とはしゃいでいた。……ムカつく。


 朝から彼を思い出して、あれこれと考えを巡らせるのは無駄なのだ。彼自身が適当であり、彼の発言にあれこれと考えるのはとりこし苦労なのだ。


 そのとりこし苦労を僕がしていることに気がついたが、僕はそう思うと不満なので知らないフリをした。

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