第3話



 僕が、夢の中で死んでも現実の世界では死なない、と言い切れる理由だが、簡単に言ってしまえば体験したことがあるからだ。


 体験したことがあるのは実際の“死”ではなく、夢の中の“死”である。しかし、僕にとって夢の中の“死”は、実際の“死”に似たような意味があるので、実際に“死”を体験したことになるのかもしれない。……いや、それはないか。


 夢の中の“死”は、あくまで夢の中であり、夢のことであり、現実の事実、実際とは違う。


 夢であり、想像であり、幻である。

 嘘であり、偽りであり、ニセモノである。


 僕が予知夢を見るとして、夢の中で死んだと思っている事柄は、死ぬまでに至っているのか分からない。


 それこそ僕が先程に語った、想像力の豊かな子供だった、ということになるのだろう。


 それでも僕は自分の予知夢を信じており、僕が死ぬと思った日には、僕はきっと死んでしまうのだ。


 僕は僕が死ぬ夢を何度も見ている。


 階段から転げ落ちるところを。

 駅のホームで突き飛ばされるところを。

 両手で首を絞められるところを。

 撃鉄の音と心臓に穴が空くところを。


 何度も見ている。


 僕は死ぬ。しかも、誰かに殺されて死ぬ。

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