第15話 リモート通話

 引き籠り生活を始めて200日が経過した。

 時が経つのは本当に早いものだ。


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小森飛喜

 職業:ひきこもり

 レベル:200

 HP:2000 MP:2000

 筋力:200 耐久:200 敏捷:200 魔力:200 精神:200

 ユニークスキル:部屋の主 部屋セキュリティLV10 通販LV10 ゴミ捨て

 スキル:排泄耐性LV10 空腹耐性LV10 暇耐性LV10 清潔維持LV10 騒音耐性LV10 寒さ耐性LV10 快眠LV10 消音LV5 瞑想LV4 日曜大工LV5 体型維持LV5

 SP:450

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 今の俺のステータスは上記の通り。

 あれからも変わらず毎日一つずつレベルが上がり、各能力値の上昇量も一定だった。


「これでようやくレベル20のクラスメイトと同じくらいの強さか……弱いなぁ」


 ひきこもりに戦闘力を求めても仕方ないのだが、さすがにちょっと悲しくなる。


 ユニークスキルの通販はレベルをカンストさせた。


 レベル8では、なんと家電製品やカメラなどを買うことができるようになった。

 もっとも、電気のないこの部屋では家電製品なんてあっても使えないのだが。


 レベル9はパソコンやオフィス用品などのジャンルが増えた。

 これもこの世界では宝の持ち腐れだ。


 そしてレベル10では車やバイク用品や研究開発用品など。

 驚くべきことに、通販で車も買うことができるらしい。

 ガソリンも買えればこの世界で車に乗ることができたのだが……生憎と通販でガソリンは売ってないようだった。


 ちなみに太陽光でも蓄電ができる発電機を買ってみたのだが、蓄電に時間がかかり過ぎるのと、金ちゃんならともかく、リュナさんにそれを頼むのに気が引けて、結局部屋の隅に置きっぱなしになっている。


 他には寒さ耐性と快眠、そして消音スキルをカンストさせた。

 どうやら外の世界では冬が近づいてきたらしく、部屋の壁が薄いこともあって随分と寒くなってきたのだが、寒さ耐性のお陰でぬくぬくと過ごすことができている。


 また、通販で買った食料品を、排泄する必要がないのをいいことに毎日食べまくっていたら、ぶくぶくと太り始めてしまった。

 排泄はしないのに脂肪は増えるのが不思議でならないが、このままだとダメだと思って、体型維持スキルを取得し、レベル5まで上げた。

 もしかしたら健康維持スキルも取得しておいた方がいいのかもしれない。


 当然ながらそんな生活をしていると、部屋の中にゴミも増えてしまう。

 俺一人では処理することもできないので、すべてリュナさんに持っていってもらっていた。

 ……ゴミ袋の中には性欲処理した後のティッシュとかも入っていたりして、ちょっと背徳感がある。


 だがレベルが150になったところで、新たなユニークスキル「ゴミ捨て」を取得できた。

 これは部屋の中で出たゴミであれば、無制限に捨てることができるというものだ。


 使うとゴミが忽然と消える。

 一体どこに行ってしまうのだろうか。


 ちなみにこのユニークスキルにはレベルが存在せず、必要なスキルポイントは1000だった。


 そしてレベルが200になり、再び新しいユニークスキルが現れた。


〈ユニークスキル:リモート通話が取得できるようになりました〉


「リモート通話って……離れたところにいる人と話ができるってことか?」


 これまた引き籠りを助長するようなスキルだが、悲しいことにこれが役立つのは通話する相手がいる人間だけだ。


「……い、一応、俺にも金ちゃんがいるけどな」


 他はって?

 聞くな。


「だいたいここは異世界だからな。そもそもクラスの連中しか候補がいないんだから仕方がないって、うん」


 取得は1000ポイントだ。

 スキルポイントが貯まるまで、数日待ってから取得する。


〈リモート通話を取得しました〉

〈リモート通話が可能となるユニークスキルです。友好関係にある相手と、離れていても通話することができます〉


 通話可能な人のリストには以下の名前が並んでいた。


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 坂本金太郎

 リュナ

 加藤真莉

 神野勇気

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「金ちゃんだけじゃなく、リュナさんの名前もあるな。しかし真莉はともかく、神野は……」


 その他のクラスメイトの名前はない。

 うん、知ってた。


「せっかくだし、金ちゃんと通話してみようかな。……さすがにいきなりだとびっくりするか。次にリュナさんが来たときに伝えて……」


 ――変な気遣いや遠慮はよしてほしいでござるよ。


「そうだな。金ちゃんのことだ。怒ったりはしないだろう。……いやでも、日中は仕事で忙しいだろうし……やっぱり夜にするか……」


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