第14話 綺麗め女子たちに囲まれました ー 寺本聖

 朝の水やりの後で思わず起きた至福の凄いイベントを終えて教室に戻った私を待っていたのはクラスの中でも綺麗めで中心的存在となっている女子たちからの質問攻めでした。

 まっ、私の本音で言わせてもらえれば『クラスの中心的存在』というよりか『クラスの中心的存在と認めてもらいたい』人たちでしょうかね。

 もちろん、そう思っていることは口に出しませんけどね。こういう人たちは自分たちに都合の悪い相手を排除するためにすぐに虐めをしたがるのです。

 もう虐められるのは懲り懲りです。


「寺本さん、ちょっといいかしら」

「な、何でしょうか?」

 私の席は美女三人に囲まれてしまいました。

 なんか嫌な雰囲気だなぁ。

「さっき中庭の花壇にお水をやってたみたいだけど」

「緑化委員の仕事なんです。今日が担当曜日なので」

「小野里先輩と一緒みたいだったけど?」

「小野里先輩も緑化委員で私と先輩の二人が今日の担当になったんで」

「一緒にご飯も食べてなかった?」

「先輩が水やりした後に『腹減った』って言うので。ちょうど朝ご飯用におにぎりを持って来てたから『よかったら一個どうぞ』って言って食べてただけですけど」

「これからも毎週あるの?」

「水やりですか?」

「そう」

「毎週二回かな。今日もこの後、昼と夕方に水やりすることになってます」

「先輩と一緒に?」

「そうですよ。一人じゃこんな広いところ出来ませんもん」

「他の人はいないの?」

「中庭の担当は他にもいますけど、この火曜日と金曜日の担当が私と小野里先輩なんですよ」

「ずっと、小野里先輩となの?」

「そうですけど」


 美女三人は何も言わずに目配せだけをしています。

「分かったわ」

 そう言って三人は私のところから去って行きました。

 あー怖かった。どうして綺麗な女子は怖い子が多いんでしょうかね。

 私なんか怖がられたことなんかただの一度もありませんよ。


 私は昔からその手の女子に目の敵にされて虐められるんですよ。それが最大級になると『虐めないという虐め』になるんです。

 中学校の時には、私の親友だった男の子のことを好きになった綺麗、勉強出来る、お金持ちと三拍子揃った女子にその親友の子供を私が妊娠したと勘違いされたこともありました。

 仲がよかった、と言うか他に友達らしい友達が誰もいなかった私とその親友は女と男というだけの理由で恋愛関係にあると周囲から思われていたのです。

 その時は私への虐めではなくて親友を好きになった女子が親友だった男の子を私に取られまいと親友を誘惑して妊娠してしまい大騒ぎになりました。

 私はあくまでもその男の子は親友であって恋愛感情はなかったので後で勘違いだったと彼女が知った時には唖然としてましたけどね。


 後日、何かの拍子に小野里先輩に「こんな事があったんですよ」と、この時のことを話したところ、「俺に良い考えがある」と、とんでもない事をして頂きました。

 綺麗目女子の皆さん! ありがとうございます。

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