彼女のおかげで大人になれた
あれは確か、肌寒い冬のことだった
「ねえ、付き合っちゃわない? 私たち」
別れ際に彼女はそう言った
この人は大学3年で、2個上の先輩
大学の授業で知り合って、お互いに仲良くなり、3回目のデートで告白するつもりだった僕よりも先に、2回目のデートで先輩から告白してきた。
これが彼女との始まりだ
それから1年間、最高に幸せだった
恋人が一度もできたことのない僕には、本当に幸せな時間だった
彼女が大学4年の冬、別れは突然やってきた
付きあった時と同じ時期、同じ場所
あの時と違うのは、就職してしまう彼女と、大学3年になる僕だけ
別れを告げたのは、彼女からだった
僕は必死に「嫌だ」と伝えたけれど、彼女の返事は想像以上に冷たかった
「お互い、私が卒業するまでの火遊びみたいなものだったじゃない?」
彼女がそう呟いた瞬間、お互いに同じ気持ちではないことを悟った
「彼女のおかげで大人になれた」と自分に言い聞かせながら、僕は帰っていく彼女の背中から目が離せなかった
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