第13話

「さあ、行こうか?舞?」

そんな事を孝之がそう言って、手を握ってきた。っく、何するんだ!と思い、手を離そうとしたけど

こいつ……力が強く、振り解けなかった。だから、俺は


「孝之、離して」

俺がそう言うと、孝之が


「やだ、このまま行こうぜ?」

とか言って来た。内心嫌だったが、離す事も出来そうにないので、そのままの状態で歩く事にした。

うん、クリスマス・イブの日に、手を繋いで町の中を歩く……

これって、カップル状態って感じじゃないか……よし、とりあえず、ラブイベントは出来るだけ、回避する方向で動こうと思う。

家から出て、最初に向かったのは、駅前だった。

駅前は、クリスマスのイルミネーションで飾られていて、カップルが町の中を歩いていた。


「最初に何所に行くか?舞」

そう孝之が言ってくる。

何所に行くか?って言われてもな?これと言って行きたい場所とか全くないんだが……とりあえず俺は


「孝之が行きたい場所って何所なのよ?」


と言ってみると


「そうだな、じゃあ……最初に映画でも見に行くか」


「孝之がそうしたいなら、私はいいわ」


「じゃあ、決まりだな、行こうぜ」

そう言って、映画館に行く事が決まった。映画館に辿り着いて、やっている映画を見てみる。

前に来たときと同じで、「戦いとは非常なり」のアクション物

「あたしと貴方のラーメン日和」と言う恋愛物

「ゾンビって、臭いっす……」と言うホラー物だった。前は確か……同じクラスの志木香織と三人で「戦いとは非常なり」を見たんだっけ?


「前は、戦いとは非常なりを、志木と三人で見たよな?」

孝之がそういっているので


「ええ、そうね」

「じゃあ、今回は、これにしようぜ?」


そう言って、指差したのは、「あたしと貴方のラーメン日和」だった。

別に断る理由もないので


「分かった、それでいいよ」

「じゃあ、入ろう」

映画が決まったので、中に入る。

中は薄暗く、前の席が空いていたので、そこに座った。数分待って、映画が始まり、内容を簡単に言うとある少女が、一人の男性に恋をして、その男性の職業がラーメン店の店長で、少女はお店に通いながら男性にアプローチしていくと言う話だった。

最後にキスシーンもあり、思いっきり恋愛物だなあ……と実感。

まあ、話的にも面白く、とりあえず、ラーメンが食べたくなるような映画だなと、そう感じてしまった。

上映が終わり、外に出ると、もうすっかりと暗くなっていて街頭に、クリスマスケーキを売っているサンタの格好をした人やカップルが幸せそうに、歩いていた。


「映画どうだったか?」


そう聞いてきたので、俺は素直に


「まあ、面白かったかな、内容的にもね」


「そうか、俺もそう思った、まあ、ラーメンが食いたくなるような映画だったな」


そうか、孝之もそう感じたのか

そう思っていると、孝之が


「次は、何所に行く?」

そんな事を聞いてきて、俺はとりあえず、デート定番の映画?は見たので


「帰るわ」

と言うと、孝之が


「ええ?まだ早いだろ?」


なんか……引き止めてきた。

こっちは、すぐに帰りたいので、とりあえず


「用事があるのよ、だから今日はここまで、それじゃ」

そう言って帰ろうとすると


「じゃあ、家まで送るよ、どうせ隣だしな」


再び手を握ってきて、振りほどけそうになかったので、そのまま家へと戻る事にした。

家に辿り着き、最後に孝之が


「はい、舞、これ」

と言って、ポケットから、何か箱らしき物を取り出した。


「これは?」

「クリスマスプレゼント、舞に似合いそうなのを持ってきたんだ、開けてみて」


そう言ったので、箱をあけてみる。

中に入っていたのは、ネックレスで

雪だるまのキーホルダーがついていた。


「これ、高そうなんだけど」


「そんな高くないよ、まあせいぜい500円ぐらいの品物だな、どう?気に入った?」


そう言われてもな……まあ、見た目は可愛いので


「とりあえず、ありがと」

社交辞令的なお礼を言って


「それじゃあ」


そう言って、家の中に入ろうとすると


「あ……舞」


「え?」


そう声をかけられた瞬間、唇を塞がれてしまった。いきなりの事に驚いて、離そうとしたけど、抱きついてきたので、無理やり引き離す事が出来ず、長めのディープ・キスになってしまった。数十秒とキスをされた後、孝之が


「ご馳走様」

とか言ってきて


「な、なにを……!」


「だって、舞としたかったからさ、別にいいだろ?あ、用事あるんだったよな?じゃあな?」


そう言って、孝之がいなくなり、とりあえず……家の中に入ると、母親の西村恵子さんが、出迎えてきてくれた。


「お帰り、舞、見てたわよ?」


「見てたってまさか……」


「孝之君とキスしてたでしょ?しかも長めにね?」


「あ、あれは孝之がいきなり……」


「でも、顔赤いわよ?感じちゃったんじゃないの?」


「え……べ、べつに感じてなんか……」


「まあまあ、あ、それよりご飯は食べてきたの?」


「いや、食べて来てないよ?」


「じゃあ、夕食にしましょうか、丁度ケーキもあるし、クリスマス用のパーティ料理も出来てあるしね?」


「うん、そうする」

そう言って、家族と一緒に、クリスマスケーキとチキンを食べる事にした。

ケーキは、ホールで結構大きく、切り分けて食べてチキンは、いい焼き加減で、美味しくつい食べ過ぎてしまった。

料理を食べ終わった後、恵子さんが「お風呂沸いてるから、入りなさい?」と言って来たのでお風呂に入る事にした。

脱衣所に向かい、着ている服を脱いで、風呂場に行く。

最初にシャワーを浴びて、体を石鹸で洗った後、頭をシャンプーで洗った。

鏡を見てみると、素っ裸の自分の姿が映っていて、なんと言うか……女の体を見ても、性的興奮?とかあまり感じてなく、まあ美少女だよな……と

そんな感じに思えてしまった。

最後に湯船に漬かり、さっきの事を考える。


「何であの時、嫌って思わなかったんだ……?もしかして……本当に孝之の事を?いや、でも……そんな筈ない!あれは無理矢理されたから、驚いちゃっただけで……」


そんな考えをした後、風呂から出ると

いつの間にか、着替えが用意してあり

風呂に入っている間に恵子さんが持って来てくれたんだと思われる。

下着の色を見てみると、水色のブラとパンティーで、ちょっと透けてたりしていた。

これはこれでなんかエロク感じるな?と思いながら、それを履き青色のパジャマがあったので、それを着て、髪を乾かす。それが終わった後、部屋に戻り、ノートにこう記す。

「クリスマス・イブ当日、孝之にデートに誘われて、無理矢理唇を奪われた……でも、これでハッピーエンドじゃないみたく、やっぱり……エッチとかするとハッピーエンドなのか?と思ってしまう。出来ればやりたくはないので、まだこの体で明日を迎えるんだと思う、まあ、他の攻略キャラクターと孝之をくっつけると言う作戦もやった方がいいかも知れない」こんな感じでいいか……」

そう書いてから、ベットに潜り、眠くなったので、寝る事にした。

こうして、今日の一日が終了したのであった。

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