第12話

目が覚めて、時刻を確認してみると午前の九時となっていた。

まあ、学校が無いので、別に問題はないと思う。ベットから降りて、カレンダーを確認すると

今日は、十二月二十四日の日曜日、世間一般的にはクリスマス・イブと呼ばれる日なんだと思う。

と言うか……この世界に、クリスマスと言う概念があるのか?どうか不明なんだが……

あと、サンタクロースは実在してるのか?とかな……まあ、考えたってしょうがないので、とりあえず顔を洗う事に決めて、部屋から出る事にした。

部屋から出て、洗面所に向かい、顔を洗って、鏡を見てみるとそこに写り込んでいるのは、西村舞の姿で、思いっきり美少女だった。

ゲーム「ラブチュチュ2~運命の選択肢~」のメインヒロインで運動神経抜群、容姿端麗、料理上手と三拍子揃ってるキャラなので

彼女にするなら目茶目茶いいなとは思った事はあるのだが……

まさか、自分がその彼女になるとは思わなかった。まあ、ここがラブチュチュ2~運命の選択肢~の中なら、ゲームのクリア方法は主人公とのベストエンディングを迎えるって事だけど……それって、隣の家にいる初崎孝之と、ラブラブになってあんな事やこんなエロイ事をしなくちゃいけないって事なのか?と思ってしまい、ちょっとと言うか、かなり絶望してしまった。

やっぱり……バットエンドで、元の世界に戻れるといいんだけどな……とは思うんだけど

今の所、孝之とのラブイベントはあまり起こっていない感じだし、でも、ゲーム、ラブチュチュ2の時間軸で言うと、今日が最終日の筈なんだけど、あれ?最終日であってかな?ちょっと記憶が曖昧だな?

まぁイベントが起こる兆しが無いし、それにまだ学校も冬休み突入してないしな……

多分と言うか、絶対にゲームでは無かった続きが展開されるんだと思われる。

まあ、そんな事を考えても、俺がゲームをプレイした時、西村舞を攻略対象にプレイをあまりしなかったから、どんなイベントがあったか、全く覚えてないんだよな……

説明書には、確か「十二月二十四日で、最終日、女の子から告白されれば……」

とは書かれてあったけど……

絶対に自分から、告白はしないぞ!と決めているので、どうなるか?解らないのであった。

ま、なるようになるか……と思う事にして、身だしなみをチェックし、終わった後、朝食を取るためにリビングへと向かう事にした。

リビングに辿り着くと、舞の母親の西村恵子さんがいた。


「あ、舞、おはよう」


「おはよう、お母さん、朝食は?」


「もう九時過ぎてるわよ?まあ、今から作れば用意するけど……舞も手伝う?」


「うん」


そう言って、台所に行き、エプロンをつけて、恵子さんと一緒に料理する事にした。

出来た料理は、ポテトサラダに目玉焼き、あと焼き魚だった。出来た料理をテーブルの上に置いて、恵子さんと一緒に食べる事にした。

うん……自分で作ったからか、結構美味しく

あっという間に食べ終わってしまった。

そう言えば……さっき思った事を恵子さんに聞いてみる事にした。


「ねえ、お母さん」


「何?舞」


「今日ってさ……何かのイベントデーなんでしょ?」


「そうね……あ、確かにそうね、今日はクリスマス・イブよ」


「やっぱり、じゃあサンタはいるよね?」


「ええ、もちろん、さすがよね~あの人達は」


「え……?」

さすがって、何なんだ?


「だって、誰にも気付かれずにプレゼントを配り続けるのよ?さすがって感じだわ、まさにプロの仕事よね」


「仕事……それって、もしかしてトナカイが引いてるソリに乗って?」


「なわけないでしょ?まあ、少なくともバイクとか使って、送り届けてるんじゃないかしら?そう言う職業なんだし」


「そうなんだ……」

職業って、サンタってこの世界ではそうなのか……ちょっとと言うか、かなり驚いてしまった。朝食を食べ終わった後、どうしようかな?と悩んでいると、ピンポーンとチャイムが聞こえたので、玄関に向かうと


「よ、舞」

そこにいたのは、隣に住んでいる主人公の初崎孝之だった。一体何の用なんだ?こいつ……


「一体、何?」


「舞、今日デートしようぜ?」

いきなりそう言って来た。

デートって……何で俺が、お前とデートしなきゃならないんだ?と思ったので、断ろうと思い、話し出そうとしたら


「あら、孝之君」

恵子さんも玄関にやって来た。


「恵子さん、舞をデートに誘いに来たんです、いいですよね?」


「ええ、もちろん、舞?せっかく来てくれたんだから、行ってきなさい」


「え?ちょっと待って、私、断ろうと……」


「駄目よ?きてくれた孝之君に悪いでしょ?お小遣いあげるから、楽しんでいらっしゃい」

そう言って、俺にお小遣いをくれた。

っく、これは断るのは不可能って事なのか……


「分かった、じゃあ着替えてくるから、ちょっと待ってて」


「ああ、解った」

そう言って、俺は自分の部屋に戻り、外行きの服に着替える事にした。冬なのでダッフルコートにロングスカート姿になって、部屋をでて

玄関に向かうと、恵子さんが


「舞、これをつけて行きなさい?」

と言って、カチューシャを渡してきた。

付けないと悪いかな?と思い、カチューシャを装着すると孝之が「おお、舞、かわいいな?」とか言いやがった。

可愛いのは自分でも認める。だが、お前には言われたくないな?って感じなんだが?


「じゃあ、行ってきます」


「行ってらっしゃい、あ、ちゃんと頑張るのよ?」


「何を・・・?」


「ううん、解らないなら孝之君に任せるといいわよ?きっと優しくしてくれると思うしね?」


何を優しくされるのだ?と疑問に思ったが、深く考えない事にした。


「じゃあ、行こうか?舞」


「ええ」

こうして、孝之と強制的にデートをする事になったみたいである。これって、ラブイベントなんだと思うので、出来る限りバットエンドになるよう行動しようと、心の中で、そう思っているのであった。

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