第7話

「舞、起きなさい、朝よ?」

そんな声が聞こえる。そう聞こえたので、目が覚めると、目の前に西村恵子さんがいた。


「舞?目覚まし鳴ったのに、おきないってど~言う事なの?」

「え……?あ、ほんとだあ……」


俺は、目覚ましを確認してみる。

時刻は、7時40分となっていて、学校が始まるのが、8時だから急がないと、遅刻って感じなのであった。

と言う事は……今日は、お弁当を作る時間がないって事かな?それに恵子さんが起こしに来てくれたので、結構優しい人なんだと思った。


「えっと……お母さん、起こしに来てくれたの?」


「ええ、そうよ?さあ、着替えなさい、あ、それと昨日言っていた、ジャージだけど?洗って、スポーツバックの中に入れといたからね?あと、はいお弁当」

そう言ってお弁当箱を渡してきた。


「じゃあ学校に遅刻しないようにね?」


恵子さんは、部屋から出て行く。俺は、早速服を脱いで、着替える事にした。

着てるパジャマを脱いで、下着姿になり、学校指定の制服を着る。もう、女物を着る事に、全く抵抗とか感じなくなったな……と、改めて実感、制服に着替え終わって、日付を確認、今日は十二月二十一日の木曜日だった。着替え終わり、今日はお弁当を作っている時間が無く、恵子さんがお弁当箱を渡してきたのでそれを鞄の中に入れて、リビングにたどり着くと、朝食が用意してあった。

朝食は、牛乳にコーンフレークだった。

「舞、時間がないけど、大丈夫?」

「何とか大丈夫かも……これ食べ終わったら、すぐ行くよ、いただきます」

そう言って、朝食を取る。量が少ないので、早い時間に食べ終わった。食べ終わって、自分の部屋に戻り、鞄とスポーツバックを持って、外に出て、一応、隣の家に向かうと、孝之の母親が出て来て


「あ、舞ちゃん、孝之を迎えに来たのね?ちょっと待って?孝之~舞ちゃんが、来たわよ~」

と言うと、「わかった」と声がして、制服姿の孝之がやってきた。


「お待たせ、舞」


「別に全然待ってないけど」


「とりあえず、行こうぜ?」

と言って、ナチュラルに手を握ってきた。俺は、何すんだこいつ!内心思いながら、振りほどこうとしたけど、力が強く、全く振りほどけなかったので、仕方が無く、そのまま、登校することにした。

登校途中、考えているのは、今日は、他の攻略対象キャラに会ってみるか……と思ったので

行動にうつす事にしたのである。

学校には、遅刻ぎりぎりで辿り着き、教室内に入って、自分の席に座る。鞄から、ノートと教科書を机の中に入れて、スポーツバックと鞄を、端に掛けた。

そして、キーンコーンとチャイムが鳴って、授業が始まる。

俺は、最初に誰から会いに行くか……と、思っていたのであった。学校にたどり着き、自分の席に座り、授業を受ける。

今日は、授業内容は、比較的に簡単で、黒板の文字をノートに写す作業だけで、何なく、こなす事に成功した。

あっという間に、時間が過ぎて、お昼になった。今日は、寝坊して、お弁当を作っていないので、恵子さんに貰ったお弁当を食べる事にした。中身は、色とりどりのおかずにご飯で

めちゃくちゃ美味しそうで、あっという間、完食してしまった。食べ終わって、どうしようかな?と思い、とりあえず屋上に向かう事にした。屋上に出てみると、誰かいるのを発見、よく見てみると

~ラブチュチュ2~運命の選択肢~に登場する攻略候補の一人、空を眺めていたりしているこの人物は、三年生の、高村菫と言い、銀髪の髪の色をしている。

普通に考えて、舞と同じくありえない色だろ?と思うのだが、銀髪が日に照らされて輝いて見えて、結構綺麗だった。

胸の大きさも、舞とほとんど同じで、スタイルが抜群だと思われる。え~っと舞=自分は、菫と会った事あるのかな?と思い、とりあえず話しかける事にした。


「こんにちは」

「え~っと……貴方は……?」


「私は、二年の西村舞って言います、菫先輩ですよね?」


「ええ、私は高村菫と言うけど……よく私の事知っているわね?」


「結構、有名ですから、菫先輩は」


「そうかしら?」


「ええ……それでですね?実は、私の幼馴染で、初崎孝之ってのがいるんです、孝之の事って、知ってますか?」


「孝之君ね……そうねぇ……前に話しかけて来た男の子がそうだったわ、まあ、私としては、ちょっと変な奴と思ったけど、悪い人ではないわね~でも、恋愛感情があるかないかと聞かれたら、今の所は無いわね、ほとんど話さないしね?」


「そうですか、ありがとうございます」


「でも何で、そんな事を聞くのかしら?もしかして……孝之君の事、好きなの?」


「いえ、そう言うのではないのです、ちょっと幼馴染としては、色んな女の子にちょっかいを出すのは、よくないなと思いまして、あ、でも、先輩が孝之の事を好きなら、私は応援しますよ?」


「そう……どうなるかは分からないけど……そう言うのだったら、私は、何も言う事はないわ」


「そうですか、じゃあ、私は、行きますね」

そう言って、屋上を出る。

すると、キーンコーンとチャイムが鳴ったので

自分のクラスに、戻る事にしたのであった。

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